税金が安い国ランキング|法人税・所得税・消費税で比較

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税金が安い国ランキング|法人税・所得税・消費税で比較

日本では、所得税と住民税を合わせると最高で約56%になります。稼いでも手元に残りにくいと感じて、税金が安い国への移住を考え始める方もいるのではないでしょうか。税金が安い国ランキングは、税金の種類によって顔ぶれが大きく入れ替わります。

この記事では、所得税・法人税・消費税の3つの税金で、比較の基準とする日本を含めた15か国を比べます。使うのは、各国の税務当局とOECD(経済協力開発機構)が公表しているデータで、公表で確認できなかった一部の数字はPwCの各国税制概要で補っています。移住しても日本の税金が終わらないケースも、国税庁などの一次情報をもとにお伝えします。

なお、1章から5章は公表データに基づく客観的な紹介で、移住先のおすすめ順ではありません。筆者自身の考えは、6章でお伝えします。

※本記事の税率は、各国の税務当局・OECD・PwCの各国税制概要が2026年10月時点で公表している情報に基づいています。税率は表面上の税率で、控除や社会保険料を含む実際の負担とは異なります。各国の税制や日本の制度は改正されることがあるため、移住や会社設立の前に、各国の公式情報と税理士など税務の専門家にご確認ください。本記事は個別の税務アドバイスではありません。

1. 税金が安い国ランキングの見方:3つの税金と使ったデータ

電卓とペンが置かれたノートの手元

税金と一口に言っても、誰にかかるかは税金の種類によって違います。この記事では、次の3つを取り上げます。

① 所得税:個人で稼ぐ人にかかる税金です。働いて得た収入や、事業の利益が対象になります。

② 法人税:会社を持つ人にかかる税金です。会社の利益が対象になります。

③ 消費税:その国に住む人全員にかかる税金です。買い物やサービスの代金に上乗せされます。

3つの税金を足し合わせた総合順位は作っていません。どの税金が重くのしかかるかは、会社員か、個人事業主か、会社を経営しているかといった働き方で変わります。足し合わせると、どの税金を重く見るかという書き手の重み付けが入ってしまうためです。そこで、税金の種類ごとに、公表されている税率の低い順に並べています。

使ったデータは、各国の税務当局や政府機関(日本の国税庁、シンガポールのIRAS、香港税務局、イギリス政府、オランダ税務当局など)と、OECDの公表資料です。税務当局の公表で確認できなかったブルガリアの税率と、州・市によって幅があるスイスの所得税・法人税は、PwCの各国税制概要の数値を使い、その旨を表に記載しました。表の数字は制度上の表面の税率で、控除や社会保険料、地方税を含めた実際の負担とは別のものです。日本の税金全体の仕組みは、海外移住で税金はどう変わる?個人事業主が知っておくべき全体像で解説しています。

取り上げるのは、税金が安い国として名前が挙がりやすいアジア・中東の国と、ヨーロッパで税率が低い国、日本人の移住先として名前が挙がるヨーロッパの国の14か国です。日本は比較の基準として、表の末尾に載せています。

2. 税金が安い国ランキング:所得税・法人税・消費税の税目別

シンガポールのパステルカラーのショップハウスが並ぶ街並み

3つの税金ごとに、公表されている税率の低い順に並べます。同じ国でも、税金の種類によって並びは大きく入れ替わります。

所得税が安い国ランキング(個人の最高税率)

並び 国 個人所得税の最高税率
1 UAE 個人所得税なし
2 ブルガリア 10%
3 ハンガリー 15%
4 香港 17%
5 エストニア 22%
6 シンガポール 24%
7 マレーシア 30%
8 タイ 35%
9 アイルランド 40%
9 台湾 40%
11 イギリス 45%
12 ポルトガル 48%(別に連帯付加税あり)
13 オランダ 49.5%
参考 スイス 21.9〜43.2%(州・市により幅あり)
基準 日本 約56%(所得税45%+復興特別所得税+住民税10%)

※2026年10月時点の公表値。公表税率の低い順に並べたもので、住みやすさや移住先としてのおすすめ順ではありません。同率の国は国名の五十音順です。出典は3章の一覧表に記載しています。
※イギリスはスコットランドを除く税率です。アイルランドは、所得税とは別にUSC(ユニバーサル・ソーシャル・チャージ)と社会保険料(PRSI)がかかります。ブルガリアは税務当局の公表で確認できず、PwCの各国税制概要(2026年8月確認)と欧州委員会の資料によります。スイスは州・市で税率が異なるため並びに入れず、PwCの各国税制概要(2026年7月確認)の幅を参考として載せています。

表の数字は最高税率で、高い所得の部分にだけかかります。所得全体にこの税率がかかるわけではなく、所得が低い部分には、低い税率が適用されます。

香港の個人所得税は、累進税率で計算した税額と、標準税率(最初の500万香港ドルまでは15%、超えた部分は16%)で計算した税額を比べ、低い方が適用される仕組みです。累進税率の上限である17%がそのままかかるわけではありません。

日本の約56%は、所得税の最高税率45%に復興特別所得税(所得税額の2.1%)を加え、住民税10%を足した数字です。45%×1.021+10%で、約55.9%になります。課税所得が4,000万円以上の部分にかかる税率で、日本でも所得が低い部分には低い税率が適用されます。2027年(令和9年)1月1日以後に生じる所得からは、復興特別所得税が1.1%に下がり、新たに防衛特別所得税(所得税額の1%)が加わります。合計は2.1%のままなので、約56%という数字は変わりません。

移住によって個人の所得税が変わるのは、日本の非居住者になった場合です。この条件については、5章で説明します。

法人税が安い国ランキング

並び 国 法人税率
1 UAE 9%(課税所得AED375,000までは0%)
1 ハンガリー 9%(別に地方の事業税あり)
3 ブルガリア 10%
4 アイルランド 12.5%(事業所得)
5 香港 16.5%(最初の200万香港ドルは8.25%)
6 シンガポール 17%
7 ポルトガル 19%
8 タイ 20%
8 台湾 20%
10 エストニア 22%(利益を配当したときに課税)
11 マレーシア 24%
12 イギリス 25%
13 オランダ 25.8%
参考 スイス 11.66〜20.54%(州・市により幅あり)
基準 日本 法人税率23.2%(地方税を含む法人実効税率は29.74%)

※2026年10月時点の公表値。公表税率の低い順に並べたもので、住みやすさや移住先としてのおすすめ順ではありません。同率の国は、UAEとハンガリーを先に、以降は国名の五十音順です。ブルガリアとスイスの扱いは、所得税の表と同じです。

OECDの資料では、145の国・地域の法定法人税率の平均は、2025年で21.2%です。このうち、税率が10%未満の国・地域は3つで、ハンガリーとUAEはその中に含まれています。日本の法人実効税率29.74%は、地方税を含めた数字です。財務省の資料では、2026年4月1日以後に始まる事業年度から防衛特別法人税が加わり、その課税の対象となる会社の法人実効税率は30.64%とされています。

法人税の表は、会社をどこに置くかを比べたもので、個人が住む国を選ぶ物差しとは別のものです。個人と法人の税率の比較や、法人化の時期については、海外移住者の法人化タイミングと税金比較|個人と法人の分岐点で解説しています。

消費税が安い国ランキング(付加価値税・標準税率)

並び 国 消費税(付加価値税)の標準税率
1 香港 なし
2 UAE 5%
2 台湾 5%
4 タイ 7%
5 スイス 8.1%
6 シンガポール 9%
7 マレーシア 売上税10%・サービス税8%
8 イギリス 20%
8 ブルガリア 20%
10 オランダ 21%
11 アイルランド 23%
11 ポルトガル 23%
13 エストニア 24%
14 ハンガリー 27%
基準 日本 10%(軽減税率8%)

※2026年10月時点の公表値。公表税率の低い順に並べたもので、住みやすさや移住先としてのおすすめ順ではありません。同率の国は国名の五十音順です。スイスの消費税は国全体で同じ税率のため、並びに入れています。
※マレーシアは付加価値税ではなく、売上税(主に10%、品目により5%など)とサービス税(主に8%、飲食や物流など一部は6%)が別々にかかる制度です。タイの7%は、法律で定める税率を期限付きで引き下げている措置です。最新の税率はタイ歳入局でご確認ください。

表のヨーロッパの国では、スイスを除く7か国で、消費税の標準税率が20%以上です。消費税の税率が低い国でも、家賃や物価が安いとは限りません。生活費の比較は、物価が安い国ランキング|海外移住で生活費を抑えられる国を比較で解説しています。

3. 税金が安い国ランキングの比較一覧表(15か国・3税目)

タリンの旧市街の石造りの城壁と塔

基準の日本を含む15か国の3つの税金を、1つの表にまとめました。行は地域順で、順位は付けていません。

国 所得税の最高税率 法人税 消費税(標準税率) 出典
UAE なし 9% 5% UAE政府、UAE連邦税務庁
香港 17% 16.5% なし 香港政府、香港税務局
シンガポール 24% 17% 9% IRAS(シンガポール内国歳入庁)
マレーシア 30% 24% 売上税10%・サービス税8% マレーシア内国歳入庁、マレーシア関税局
タイ 35% 20% 7% タイ歳入局
台湾 40% 20% 5% 台湾財政部ほか
ブルガリア 10% 10% 20% PwC(2026年8月)、欧州委員会・欧州議会の資料
ハンガリー 15% 9% 27% ハンガリー税関・税務庁、OECD
アイルランド 40% 12.5% 23% アイルランド歳入庁
エストニア 22% 22% 24% エストニア税関・税務庁
ポルトガル 48% 19% 23% ポルトガル税務当局
イギリス 45% 25% 20% イギリス政府
オランダ 49.5% 25.8% 21% オランダ税務当局
スイス(参考) 21.9〜43.2% 11.66〜20.54% 8.1% スイス連邦税務局(消費税)、PwC(2026年7月、所得税・法人税)
日本(基準) 約56% 23.2%(実効29.74%) 10%(軽減8%) 国税庁、財務省、総務省

※出典(いずれも2026年10月確認):日本=国税庁 No.2260・国税庁 No.5759・国税庁 No.6303・国税庁 防衛特別所得税Q&A・財務省・総務省/UAE=UAE政府 法人税・UAE連邦税務庁/香港=香港政府 個人税率・香港税務局/シンガポール=IRAS 個人・法人・GST/basics-of-gst/current-gst-rates)/マレーシア=内国歳入庁・関税局/タイ=タイ歳入局/台湾=台湾財政部・Invest Taiwan/ハンガリー=ハンガリー税関・税務庁/アイルランド=アイルランド歳入庁/エストニア=エストニア税関・税務庁/ポルトガル=ポルトガル税務当局/イギリス=イギリス政府/オランダ=オランダ税務当局/スイス=スイス連邦税務局/OECD=Corporate Tax Statistics 2025/PwC=個人所得税・法人税・付加価値税
※2026年10月時点の公表値。住みやすさやおすすめの順ではありません。州・市で税率に幅があるスイスと、比較の基準である日本は、最後に別枠で載せています。ブルガリアの税率とスイスの所得税・法人税の幅は、税務当局の公表では確認できていない数字です。最新情報は各国の税務当局でご確認ください。

表を見ると、税金の種類によって並びが入れ替わる国が多いことが分かります。たとえば香港は、消費税がなく、所得税と法人税は低い方に入ります。ヨーロッパのハンガリーは法人税が低く、消費税は15か国の中で最も高い27%です。シンガポールは、所得税・法人税・消費税のいずれも日本より低い税率です。反対に、オランダとポルトガルは所得税の最高税率が48%以上で、消費税も20%を超えます。所得税が低くても、消費税や生活費は別の話です。

国ごとのビザや暮らしを詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。

ドバイ移住の完全ガイド|ビザ・費用・税制の仕組みと注意点

シンガポール移住の完全ガイド|ビザ・費用・税制と暮らしのリアル

マレーシア移住の完全ガイド|MM2Hビザ・費用・生活のリアル

タイ移住の完全ガイド|ビザの種類・費用・後悔しないための注意点

4. 税金が安い国ランキングの数字だけでは分からない各国の税制

看板が並ぶ香港の街角

税率の数字には、制度の中身や最近の変化が表れません。表の数字の背景を、国ごとに見ていきます。

UAE:個人の所得税はなく、法人税は2023年から

UAE政府の公表では、個人の所得に所得税は課されません。法人税は、2023年6月以後に始まる事業年度から導入され、税率は9%です。課税所得がAED375,000までの部分は0%とされています。付加価値税(VAT)は5%で、大規模な多国籍企業には別の制度があります。ビザや税制の詳細は、ドバイ移住の完全ガイド|ビザ・費用・税制の仕組みと注意点で解説しています。

香港・シンガポール:段階的な税率と、税率以外にかかる費用

香港の法人税は16.5%ですが、最初の200万香港ドルまでは8.25%という二段階の税率になっています。個人の所得税も、累進税率と標準税率を比べて低い方が適用される仕組みです。シンガポールは、個人の所得税の最高税率が24%(2024年の課税年度以降)、法人税が17%、物品サービス税(GST)が9%です。税率が低くても、住居費などの生活費は別にかかります。詳しくは、シンガポール移住の完全ガイド|ビザ・費用・税制と暮らしのリアルで解説しています。

マレーシア・タイ:国外所得の扱いが変わってきている

マレーシア財務省の2026年度予算の資料では、居住者個人が受け取る国外源泉所得の免税は、2022年1月1日から2036年12月31日までの期限付きの措置とされています。パートナーシップ事業の所得は、この免税に含まれません。

タイでは、タイ歳入局が2023年に出した通達により、タイの居住者(その年にタイに180日以上滞在した人)が2024年1月1日以後に得た国外所得は、タイへ持ち込んだ年に課税の対象になります。2023年以前に得た所得は、対象外とされています。

どちらの国も、国外所得の扱いには期限や条件があります。国外所得は非課税というイメージだけで判断せず、移住前に現地の最新の制度を、公式情報と専門家に確認してください。

※出典:マレーシア財務省 2026年度予算 税制措置、タイ歳入局 通達 ป.161/2566

ブルガリア・ハンガリー・エストニア:ヨーロッパの低い税率の中身

PwCの各国税制概要では、ブルガリアは所得税と法人税がともに10%とされています。ブルガリアの税務当局の公表では確認できていないため、最新の税率は公式情報でご確認ください。ハンガリー税関・税務庁の公表では、ハンガリーの法人税は9%で、別に最大2%の地方の事業税がかかります。エストニアの法人税22%は、利益を会社に残している間は課税されず、配当などで分配したときに課税される仕組みです。税率の表だけでは見えない仕組みがあるため、表の数字は、各国を調べ始める入口として見てください。

※出典:ハンガリー税関・税務庁、エストニア税関・税務庁。ブルガリアは2026年10月時点で税務当局の公表を確認できなかったため、PwCの数値です。

5. 税金が安い国に移住しても日本の税金が終わらない5つのケース

搭乗券を挟んだパスポートを持つ手元

税金が安い国に住んでも、日本の条件に当てはまる場合は、日本での課税が続きます。代表的な5つのケースを、国税庁などの一次情報に沿って要点だけまとめます。2026年10月時点の内容で、手続きの詳細は各記事で解説しています。

居住者か非居住者かは、日数だけでは決まらない

日本の税金は、日本の居住者か非居住者かによって、課税される範囲が変わります。国税庁によると、居住者は、日本国内に住所(生活の本拠)がある人、または現在まで引き続き1年以上居所がある人です。滞在日数だけでは判断されず、海外に183日以上いても、生活の本拠が日本にあると判断されれば居住者となる場合があります。申告義務や納税管理人など、移住後の手続きは、海外移住後の確定申告は必要?非居住者の税務義務を整理で解説しています。

※出典:国税庁 No.2875、国税庁 No.2012

国外転出時課税(出国税):1億円以上の有価証券を持つ人

国外へ転出するとき、有価証券などの対象資産の価額の合計が1億円以上で、転出前10年以内に日本に住所または居所があった期間が合計5年を超える人は、対象資産を売ったものとみなされ、含み益に所得税が課されます。納税管理人の届出と担保の提供により、納税を猶予する制度があり、帰国したときに課税が取り消される場合もあります。税率や手続きの流れは、出国税とは|国外転出時課税制度の対象者と海外移住での注意点で解説しています。

※出典:国税庁 No.1478

外国子会社合算税制:税金が安い国に会社を作る場合

日本の居住者や法人が、直接または間接に50%を超えて持つ外国の会社は、条件によって、その会社の所得が日本の所得と合算されて課税されることがあります。租税負担割合が一定以上の外国の会社は、合算課税の適用が免除されます。この基準は、ペーパーカンパニーなどの特定外国関係会社が27%以上、それ以外の外国の会社が20%以上です。基準を下回る場合や、実体のない会社と判断される場合は、合算課税の対象になる可能性があります。海外で会社を作る前の確認事項は、海外で会社を設立する方法|日本人が法人化するメリットと手順で解説しています。

※出典:財務省 令和8年度税制改正の解説(国際課税)、国税庁 令和5年度法人税関係法令の改正の概要

住民税:1月1日に日本に住所があるか

個人住民税は、毎年1月1日に日本国内に住所がある人に課されます。総務省の資料では、前年に所得があって年の途中に出国した人でも、翌年の1月1日に日本に住所がなければ、その年度の住民税は課税されないとされています。反対に、1月1日を日本で迎えてから出国した場合は、その年度の住民税が課税され、納税管理人を定めて納めるか、まとめて納めることになります。住民票の扱いは、海外移住で住民票はどうなる?転出届のメリット・デメリットと手続きの流れで解説しています。

※出典:総務省 出国者等に係る個人住民税の調査等

相続税・贈与税:国外の財産にもかかる10年ルール

住む国が変わっても、相続や贈与の税金は、日本でかかる範囲が残る場合があります。国税庁によると、国外に住む日本国籍の相続人でも、死亡前10年以内に日本に住所があった場合などは、国外にある財産も相続税の対象になり得ます。贈与税も同じ形で、相続税法では、日本国籍の人が国外に住んでいても、贈与を受ける前10年以内に日本に住所があった場合は、国外の財産を含めて贈与税の対象になると定められています。

※出典:国税庁 No.4138、相続税法 第1条の4(e-Gov)

ここで挙げた5つは、どれも条件によって結果が変わります。個別の判断は、税理士など税務の専門家にご確認ください。

6. ヨーロッパ在住10年の私が、税金が安い国より大切にしていること

夕暮れの湖畔に並ぶヨットの帆柱

ここからは、ヨーロッパで10年暮らしてきた私の考えをお伝えします。

税金が安い国を選ぶ考え方を、否定するつもりはありません。自分で収益が得られるようになってから、一定期間、税金の低い国で資産を貯める戦略も成り立ちます。ただ、長く住む国として考えると、ヨーロッパは良さを発揮すると私は感じていて、暮らす場所にもヨーロッパを選びました。

私の場合、スイスには会社の赴任で住み、夫婦で働いていました。そこで、外貨で稼ぐ力の大きさを身をもって知りました。それでも振り返ると、スイスで暮らせたこと自体に、お金以上の価値がありました。税率や年収の数字には表れないものが、毎日の暮らしの中にあったからです。

ドバイには出張で長く滞在したことがありますが、住みたいという気持ちにはなりませんでした。ドバイの魅力を否定するものではなく、景色や街の空気が自分の心に響くかどうかという、好みの話です。

今住んでいるロンドンは、物価も税金も高い街です。それでも、街を歩くだけで心が動きます。

税金や物価を基準に移住先を選ぶのは、私の場合は本末転倒でした。税金は、国を選ぶ材料の一つです。ただ、税率が下がっても、その国で毎日を楽しいと思えなければ、住み続けることはできません。自分や家族の心が満たされるかどうかを、国選びの軸に加えていただけたらうれしいです。判断軸の全体像は、海外移住する国の選び方|7つの判断軸と自己診断チャートで解説しています。

7. 税金が安い国を選ぶ前に考えたい、海外で長く暮らし続けるための条件

ノートパソコンのタッチパッドに添えた手元

どの国のビザも、最終的には収入の証明を求めてきます。海外で長く暮らし続ける条件は、滞在資格と、生活を支える稼ぐ力の2つです。税率が低い国でも、ビザが取れなければ住むことはできません。

現地の会社に雇われて住む場合、ビザは雇用とセットになっていることが多く、仕事が切れた時点で滞在の前提が崩れます。これは雇用という仕組みの性質で、会社が悪いわけではありません。

だから私は、まず自分の事業を作り、その事業を持って住みたい国へ行く順番をおすすめしています。私の場合も、イギリスで事業を立ち上げてビザを得て、そこから永住権までたどり着きました。

最初から永住権までの道筋を考えておくと、国選びそのものが変わります。永住権の取りやすさで国を比べたい方は、永住権が取りやすい国ランキング|日本人が狙える現実的なルートもご覧ください。個人事業で動ける国は、個人事業主が海外移住するには?届出・税金・ビザの実務を整理で解説しています。

税金は、その設計ができてから、専門家と一緒に逆算して考えるものだと私は考えています。税率の低さを起点にすると、順番が逆になりやすいからです。

事業といっても、短期間で一気に稼ぐ話ではありません。日本の市場で、地道に積み上げていく過程が、海外で長く暮らすための土台になると感じています。

8. 税金が安い国ランキングについてよくある質問(Q&A)

リスボンの石畳と古い建物が続く坂道

Q1. 税金がかからない国はありますか?

UAEは、個人の所得に所得税が課されません。ただ、法人税は9%(課税所得AED375,000までの部分は0%)で、付加価値税(VAT)も5%あります。また、日本の居住者のままであれば、UAEに住んでいても日本で課税されます。税金が一切かからない状態にはなりません。

Q2. 税金が安い国に住めば、日本の税金は払わなくてよいですか?

日本の非居住者になれば、原則として、日本で課税されるのは日本国内で生じた所得です。ただ、居住者かどうかは日数だけでは決まらず、生活の本拠で判断されます。住民税は1月1日に日本に住所があるかどうかで決まり、1億円以上の有価証券などを持つ場合は、出国税の対象になる場合があります。具体的な判断は、税理士など専門家にご確認ください。

Q3. 法人税が安い国に会社を作れば節税になりますか?

外国子会社合算税制の対象になると、海外の会社の所得が日本で合算されて課税される場合があります。租税負担割合が20%以上(ペーパーカンパニーなどは27%以上)であれば適用が免除されますが、会社の実態などによって判断が変わります。法人税の税率だけでなく、設立や維持にかかる費用、ビザも考える必要があります。設立前に、税理士など専門家にご確認ください。

所得税ならUAEとブルガリア、法人税ならUAEとハンガリー、消費税なら香港、UAE、台湾の税率が低く、税金の種類によって並びは入れ替わります。税率は国選びの材料の一つで、移住しても日本の制度が続く場合があります。

税金がいくら安くても、毎日を楽しいと思えなければ、その国で暮らし続けることはできません。心が満たされる国を自分で選び、自分の力で住み続ける。そんな生き方の方が、私はずっと豊かだと思っています。

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