海外に住んでみたい。でも、英語も得意ではないし、自分は海外移住に向いていないのではないか。そう感じて、一歩が止まっている方も多いのではないでしょうか。海外移住の向き不向きは、どこで分かれるのでしょうか。
私はスイスとイギリスに10年住んできましたが、最初から海外に向いていたわけではありません。むしろ赴任したばかりの頃は、職場で周りについていけない側の人間でした。
この記事では、海外移住に向いている人・向いていない人の特徴を、性格だけでなく、稼ぐ力とビザの視点から整理します。終盤には、移住前に使える適性チェックリストも用意しましたので、自分に当てはめながら読み進めてみてください。
目次
※本記事は筆者個人の経験と、これまでサポートしてきた方々の事例にもとづいています。ビザや永住権などの制度に関する記述は2026年9月時点の情報です。制度は国によって異なり、頻繁に変更されるため、渡航・申請の前に必ず各国の移民局・大使館の公式サイトで最新情報をご確認ください。必要に応じて、ビザの専門家にもご相談ください。
1. 海外移住に向いている人は、性格だけで決まるわけではない

海外移住に向いている人の特徴としてよく挙げられるのは、好奇心がある、楽観的、細かいことを気にしない、といった性格の話です。性格の相性があるのは確かで、私もそれを否定するつもりはありません。ただ、海外移住の向き不向きが性格だけで決まるのだとしたら、もともと向いていなかった人は移住できないことになってしまいます。実際には、そうではありません。
私の考えでは、海外移住に向いている人を分けるのは二つの層です。一つは、自分で考えて決める、違いを楽しむといった、考え方やあり方の層。もう一つは、何で稼いで、どの在留資格で住み続けるのかという、稼ぐ力とビザの仕組みの層です。そして、この二つ目の層は、性格ではなく準備で変えられます。
とくに見落とされやすいのが、この二つ目の層です。どれだけ海外生活に合う性格の人でも、会社の都合で異動が決まったり、収入が途切れたりすれば、その国に住み続けられなくなることがあります。海外移住に向いているかどうかは、その国に住み始められるかだけでなく、住み続けられるかでも決まるのです。この点は、3章と4章で詳しくお伝えします。
2. 海外移住に向いていなかった私:スイス赴任でぶつかった壁

海外移住に向いている人とは何かを考えるとき、私がいつも思い出すのが、初めてヨーロッパに住んだ頃の自分です。
私の場合、会社の赴任で初めてヨーロッパに住んだのがスイスでした。ヨーロッパの暮らしそのものには心から感動し、幸せの度合いが一気に上がったのを今でも覚えています。一方で、職場では大きな壁にぶつかりました。ヨーロッパの拠点には、各国で選ばれてきた同僚たちが集まっていて、リーダーシップもコミュニケーションも、どれをとっても私とは比べものになりませんでした。言語能力の差も痛感し、当時の自分の姿は、目も当てられないほどだったと感じています。最初の1年は、妻と悩みを話し合う日が続きました。
振り返ると、原因は英語力だけではありませんでした。同僚たちは子どもの頃から議論し、自分の言葉で発表し、フィードバックを受けながら育ってきた人たちです。一方の私は、受験に向けて静かに授業を聞き、正解ばかりを追ってきた、根っからの優等生でした。正解のない場で自分の意見を出すことには、まったく慣れていなかったのです。
赴任先では、同じような壁にぶつかり、日本へ戻っていく人も何人も見てきました。私自身も、同じ壁の前に立っていた一人です。
悔しい思いもたくさんしましたが、世界中から集まった同僚たちと同じ環境で働けること自体は、本当に楽しい時間でもありました。
あの頃の私は、海外移住に向いている人ではありませんでした。でも、その向き不向きは固定されたものではなかったのです。何が私を変えたのかは、7章でお伝えします。
3. 海外移住に向いている人の特徴5つ

ここからは、私がヨーロッパで10年暮らし、多くの方の移住をサポートしてきた中で感じている、海外移住に向いている人の特徴を5つお伝えします。性格に近い話も含まれますが、どれも生まれつき決まっているものではありません。
自分で考えて決められる人
海外移住に向いている人の一つ目の特徴は、自分で考えて決められることです。海外では、正解を示してくれる人はほとんどいません。住む場所から仕事のやり方まで、自分で判断する場面が毎日のようにあります。誰かの意見やノウハウを探し回る前に、自分で考えて決め、やってみて、うまくいかなければ直す。この繰り返しができる人は、海外で強いと感じます。
移住を実現して現地で生き生きと暮らしている方を見ていると、世の中の正解や常識より、自分で考えることを大事にしている方が多いと感じます。
自分の足で立とうとする人
海外移住に向いている人は、自分の足で立とうとする人でもあります。日本では、会社や学校が多くのことを用意してくれます。ところが海外では、誰かが何かを与えてくれることはほとんどありません。
私の実感として、海外は、自分の身を自分で助ける自立した人を受け入れている場所だと思います。冷たいという意味ではなく、自分で立とうとする人には道が開かれているということです。
雇われなくても稼ぐ力を持とうとする人
海外移住に向いている人の三つ目は、雇われなくても稼ぐ力を持とうとする人です。性格の話に比べてあまり語られない点ですが、私はここがいちばん大切だと考えています。
会社に雇われて海外に住む場合、住む国を決めるのは会社や雇用主です。解雇や異動があれば、住む国は自分の意思とは関係なく変わります。一方で、自分の事業を持っていれば、住む国を自分で選び続けることができます。さらに、多くの国のビザは、申請や更新のときに収入の証明を求めます。稼ぐ力は、そのまま住み続ける力になるのです。
違いを楽しめる人
四つ目は、言葉や文化、暮らし方の違いを楽しめる人です。海外移住に向いている人は、日本の当たり前が通じない場面を、不便より先に面白いと感じられます。この受け止め方の違いで、同じ国でも暮らしの満足度は大きく変わります。
バルセロナに移住した受講生の椎原さんは、移住そのものはやろうと思えば多くの人ができるけれど、それを快適に楽しめるかどうかは人によって違う、と話していました。私も本当にそのとおりだと思います。椎原さんの道のりはバルセロナ移住の体験談で紹介しています。
他人の目より自分の心で選べる人
海外移住に向いている人の五つ目は、他人の目より自分の心で選べる人です。日本にいると、友人に会えば仕事の話、親族に会えば家族の話と、周りの目や評価をつい気にしてしまうものです。
ところが海外に長く住むと、そうした他人の目は、海を越えてまではついてこないことに気づきます。私の場合も、気づけば、自分のやりたいことや幸せに、まっすぐ向き合えるようになっていました。周りの評価ではなく自分の心で選べる人ほど、海外での暮らしを心から楽しんでいると感じます。
4. 海外移住に向いていない人の特徴と、今から変えられること

最初にお伝えしておきたいのは、ここで挙げるのはあくまで今の状態であって、その人の価値や能力ではないということです。私自身、これから挙げることのいくつかに当てはまっていた時期があります。海外移住に向いていない人の特徴は、裏を返せば、これから整えられる場所でもあります。
正解や指示を待ってしまう人
今、誰かの正解や指示を待ってしまう状態だとしても、それはごく自然なことです。日本の教育や会社の仕組みの中では、正解を早く見つけることが評価されてきたはずだからです。ただ、海外では指示をくれる人がいないため、正解を探しているうちに動けなくなり、つまずきやすくなります。
今から変えられるのは、小さなことから自分で決める練習です。誰かに聞く前に、まず自分の答えを出してみる。その積み重ねが、海外で自分で決める力の土台になっていきます。
移住の手段が雇用しかない人
移住の手段として、海外就職や駐在しか思い浮かばない方も多いと思います。雇用で移住すること自体が悪いわけではありません。ただ、その場合は住む国を会社や雇用主に委ねることになり、仕事を失えば、その国に住み続けることも難しくなります。私はこれを、他人に依存した移住と呼んでいます。
今から変えられるのは、日本にいるうちから、小さく自分の事業を始めてみることです。副業からでも構いません。海外で働く方法の全体像は海外移住で仕事はどうする?で整理しています。
雇われて働く道の現実は海外現地採用のリアルも参考にしてください。
貯金だけで何とかしようとしている人
お金の備えは大切です。ただ、貯金は海外に住めば住むほど減っていきますし、多くのビザは貯金の額だけでなく、継続的な収入があるかどうかを見ます。貯金だけに頼る計画だと、どこかで住み続けることが難しくなりやすいのです。
今から変えられるのは、貯めることと同じくらい、稼ぐ力を育てることに時間を使うことです。資金の考え方は海外移住の資金はいくら必要?にまとめています。
憧れだけで、住み続ける道を確かめていない人
この国に住みたいという憧れは、海外移住の大事な出発点です。私自身、スイスでの暮らしに感動したことで、ヨーロッパに住み続けたいという思いが強くなりました。ただ、憧れだけで移住を決めると、ビザの更新や滞在期間の壁にぶつかったとき、住み続ける道が見えなくなることがあります。
今から変えられるのは、その憧れに、5年後もその国に住み続けられる道があるかを重ねてみることです。国ごとの特徴は移住しやすい国ランキング ヨーロッパ編で紹介しています。
雇用前提の移住で起こりやすい具体的な事例は海外移住の失敗例7パターンにまとめています。
住んでみて感じやすい暮らしのギャップは海外移住の現実にまとめています。
5. 海外移住の向き不向きがわかる適性チェックリスト

ここで、海外移住の向き不向きを自分で確かめるための適性チェックリストを用意しました。これは合格か不合格かを決めるテストではありません。今の自分がどこを準備すればいいのかを知るためのものです。チェックが付かなかった項目は、向いていない証拠ではなく、これから整える場所だと考えてください。
当てはまるものに、チェックを付けてみてください。
A. 考え方・あり方
□ 誰かの正解を探す前に、自分で考えて決めることが多い
□ 思い通りにいかないとき、人や環境のせいにせず次の手を考えられる
□ 他人の評価より、自分がどう生きたいかを優先して選んだ経験がある
□ 言葉や文化の違いに、戸惑いより面白さを感じることが多い
B. 稼ぐ力・住み続ける仕組み
□ 会社の給与以外に、自分で稼いだ経験がある(金額は問わない)
□ 雇われなくても住める在留資格(個人事業主やフリーランスのビザ等)があることを知っている
□ 移住後、何で収入を得るかを一文で説明できる
□ 5年後もその国に住み続けるための道(永住権など)を調べたことがある
C. 暮らし・家族
□ 日本の便利さがなくても、工夫して暮らすことを楽しめそうだ
□ 一人の時間や、知り合いの少ない環境でも過ごし方を見つけられる
□ 家族やパートナーと、移住について本音で話したことがある(一人で移住する人は、身近な人に計画を話したことがある)
□ 心と体の調子を、自分で整える方法を持っている
チェックを付け終えたら、合計ではなくグループごとの数を見てみてください。次に整える場所が見えてきます。
Aのチェックが少なかった方は、日常の小さな決断から始めてみてください。誰かに聞く前に自分で決めてみる、決めたことを振り返って直してみる。考え方やあり方は、こうした小さな経験の積み重ねで少しずつ変わっていきます。
Bのチェックが少なかった方は、実はここが、いちばん準備で変えやすい場所です。Bの4項目は、どれも性格ではなく、経験や知識で答えられるものだからです。小さく自分で稼いでみる、住み続けるための在留資格を調べてみる。今日から動き始められる場所なので、最優先で取り組む価値があります。
Cのチェックが少なかった方は、まず家族やパートナー、身近な人と話す時間を先に取ってみてください。不安は言葉にしたほうが、準備すべきことがはっきり見えてきます。
チェックを終えて、次はどの国を選ぶかを考えたい方は、7つの判断軸で整理した海外移住する国の選び方も参考にしてみてください。
6. 家族で海外移住するなら、子どもの向き不向きは環境でも変わる

家族での海外移住を考えている方からは、子どもは海外移住に向いているのだろうか、という相談もよく受けます。
私の場合、娘はスイスから日本に戻ったあと、日本の小学校が合わず、自信をなくしていた時期がありました。その後イギリスに移ると、また伸び伸びとした元の娘に戻っていきました。子どもの海外移住の向き不向きは、本人の性格だけでなく、環境との相性でも大きく変わるのだと実感した経験です。
教育移住をした受講生の泊さんのご家庭でも、日本の学校では毎日のように注意されていたお子さんが、カナダの学校では先生にたくさん褒められ、学校が大好きになったそうです。一方で、現地で悔しい思いをする場面もあったと聞きました。そんなときに何くそと思える気持ちも、子どもにとっては大きな力になるのだと思います。泊さんのご家族の歩みはオーストリア移住の体験談で紹介しています。
とはいえ、学校には合う合わないがあるので、事前のリサーチは欠かせません。教育移住の国選びは教育移住とは?にまとめています。そのうえで、家族で冒険を楽しむ気持ちが、いちばん大切なのかもしれません。
7. 海外移住に向いている人になるために、私が大切だと思う順番

スイスで壁にぶつかった私が変われたのは、性格を変えたからではありません。自分で考え、自分で決め、自分で稼ぐという経験を、一つずつ積み重ねてきたからです。
私の場合、その後イギリスで自分の事業を始めました。最初は赤字からのスタートで、本気で試行錯誤を重ねながら、その国に住み続ける道を自分でつくってきました。正解を追う優等生だった私が、正解のない場で決め続けるうちに、少しずつ海外移住に向いている人へと変わっていったのだと思います。
これから海外移住を考える方に、私が大切だと思う順番をお伝えします。
① 日本にいるうちに、小さくても自分で稼ぐ力を育てる。
② 雇われずに住める在留資格と、5年後も住み続けられる道を確かめる。
③ そのうえで、心が満たされる国を選ぶ。
稼ぐ力と住み続ける道を先に整えてから、心が満たされる国を選ぶ。この順番で準備を進めれば、国選びの自由は大きく広がります。移住設計の考え方は海外移住で後悔する人の共通点で詳しくまとめています。
ここで一つお伝えしておきたいのは、短期間で一気に変わろうとする必要はないということです。むしろ、日本にいるうちから地道に積み上げていくことが、結果的にはいちばんの近道になります。
反対に、雇われる前提のまま準備を先送りにしていると、住む国を自分で決められない状態がずっと続いてしまいます。だからこそ、今日から小さく始めることに意味があるのです。
私自身も今、イギリスの永住権をベースに、子育てを終えたら妻とヨーロッパの別の国で暮らすことを考えています。自分で稼ぐ力があれば、住む場所は人生の段階に合わせて選び直していけます。
8. 海外移住に向いている人についてよくある質問(Q&A)

ここまで、海外移住に向いている人・向いていない人の特徴と、適性チェックリストをお伝えしてきました。海外移住に向いている人は、性格だけでなく、自分で考えて決める力と、雇われなくても住み続けられる稼ぐ力を持っている人です。そして、海外移住の向き不向きは、準備で変えられます。
最初は向いていなかった私が、今、心から言えることがあります。他人の目を気にせず、自分の心で選んだ場所で、自分の足で立って生きる毎日は、想像していたよりずっと楽しいということです。
自分の場合はどこから整えればいいのか、一緒に整理したい方へ。私がヨーロッパで開催した勉強会の特別講義とロードマップ資料を、公式LINEで公開しています。
海外移住を「いつか」で終わらせないために。
ヨーロッパで開催した勉強会の特別講義を、公式LINEで公開しています。
180分超の特別講義・動画集・ロードマップ資料で
海外で継続的に収益を作る方法
後悔しない移住先の選び方
ビザ戦略
を解説しています。
海外移住や場所に縛られない生き方を実現したい方は、
公式LINEから無料で受け取ってください。












