海外移住に興味がある。でも、英語ができない。その一点で、「自分には無理だ」と諦めていないでしょうか。
確かに英語は、海外生活の中で役に立つ場面が多くあります。行政手続き、病院、契約ごと。英語ができれば、それだけ選択肢は広がります。
ただ、英語力だけで移住の可否が決まるわけではありません。非英語圏には日本人が住みやすい国もありますし、仕事の種類によっては英語をほとんど使わずに生活している人もいます。
この記事では、英語に不安がある方が海外移住を考えるときに知っておきたい現実と、移住前にできる具体的な備えを整理してお伝えします。
目次
※本記事に記載の国・ビザに関する情報は執筆時点の一般的な傾向をまとめたものです。最新・正確な要件は各国移民局・大使館等の公式情報、または専門家へご確認ください。
1. 英語ができないと海外移住はできないのか

結論:英語力だけで移住の可否は決まらない
結論からお伝えします。英語ができなくても、海外移住はできます。
ただし、「できる」と「楽にできる」は別の話です。英語ができないことで、不便になる場面は確かにあります。行政手続きの窓口、病院での説明、賃貸契約のやり取り。こうした場面では、英語ができたほうがスムーズなのは事実です。
しかし、これは「不可能」を意味するものではありません。事前の準備と、現地での工夫で対処できる範囲のことがほとんどです。翻訳アプリを使う、通訳サービスを頼る、日本語対応のエージェントに間に入ってもらう。こうした手段を組み合わせれば、英語力がなくても生活は成り立ちます。
さらに言えば、移住先によっては英語よりも現地語のほうが重要になるケースもあります。「英語ができないから海外は無理」という前提そのものが、実は思い込みであることも少なくありません。
英語への不安の正体を分解する
「英語ができない」と口にする方の多くは、実は「英語が話せない」のではなく、「英語を使う場面でうまくいく自信がない」だけということが多いのです。
海外移住に完璧な英語力は必要ありません。必要なのは、伝わる英語であって、正しい英語ではありません。文法が多少崩れていても、単語を並べるだけでも、意思は伝わります。現地の人も、外国人が完璧な英語を話すことなど期待していません。
そう考えると、「英語ができない」という不安の正体は、実際には英語力そのものではなく、英語を使った経験の少なさであることが多いのです。学校で習った英語を、実際の会話で使う機会がなかっただけ。使う場面と回数が少なければ、誰でも自信を持てないのは当然のことです。
不安の正体を正しく分解すれば、次に何をすればいいかが見えてきます。英語力を根本から鍛え直す必要はなく、まずは使う経験を積むこと。それだけで、不安の大部分は解消に向かいます。
実際に不安を感じやすい場面を具体的に思い浮かべてみると、行政窓口での手続き、病院での症状説明、賃貸契約の交渉といった、あらたまった場面が中心であることが多いはずです。日常の買い物や挨拶で強い不安を感じる方は、実はそれほど多くありません。つまり、不安が集中しているのは生活全体ではなく、限られた一部の場面です。その場面ごとに、通訳サービスを頼る、日本語対応の窓口を探す、事前にフレーズを準備しておくといった対処法を用意しておけば、不安の総量はぐっと軽くなります。
2. 英語ができなくても住みやすい海外移住先の国と地域

非英語圏で日本人が住みやすい国
英語ができなくても、比較的住みやすいとされる国はいくつかあります。
タイは、日本人コミュニティの規模が大きく、日本語だけでも生活が完結しやすい環境が整っています。日本食レストラン、日本語対応の病院、日本語で相談できる不動産会社まで、生活インフラの多くが日本語でカバーされています。
マレーシアも、英語と現地語のミックスした環境の中で、片言の英語でも比較的通じやすいと言われています。多民族国家ゆえに、完璧な英語を求められる場面が少ないのも特徴です。
ヨーロッパで見ると、ポルトガルは英語話者の比率が高く、人柄もフレンドリーだと評判です。オランダも、英語での生活が成り立ちやすいヨーロッパの国のひとつとして知られています。多くのオランダ人が流暢な英語を話すため、現地語ができなくても日常生活で困る場面は比較的少ないとされています。
ドバイのように多国籍な都市では、英語がシンプルな共通言語として機能しており、こみ入った文法や語彙を使わなくても意思疎通ができる場面が多くあります。
海外移住おすすめの国10選|人気ランキングより大事な「選び方の軸」を移住経験者が解説では、国選びの軸についてさらに詳しく解説しています。
ただし、これは「英語が不要」という意味ではありません。「英語力が高くなくても生活しやすい環境が存在する」という現実があるということです。国選びの段階で、こうした言語環境の違いを知っておくだけで、移住先の候補は大きく広がります。
英語より現地語が重要な国もある
一方で、英語よりも現地語のほうが重要になる国も存在します。
フランスではフランス語、ドイツではドイツ語、スペインではスペイン語。これらの国では、現地語ができたほうが生活の質が明らかに上がります。行政手続きはもちろん、日常のちょっとした会話や、ご近所付き合いの中でも、現地語が話せるかどうかで受け入れられ方が変わってくることがあります。
こうした国で英語だけを頼りに暮らそうとすると、かえって壁を感じてしまうことがあります。英語が通じる場面もありますが、公的な手続きや細やかなコミュニケーションになるほど、現地語が求められる場面が増えていくためです。
つまり、「英語ができない」ことだけを悩むよりも、移住を検討している国の言語事情を先に調べておくほうが、はるかに実用的です。英語圏でなくても、現地語を少し学ぶ気持ちがあれば、むしろ英語力にこだわるよりスムーズに馴染める国もあります。
国によって重視される言語がここまで違うということは、裏を返せば「英語ができないから移住は無理」という悩み方自体が、国を絞り込む前の段階では的外れになりやすいということでもあります。まずは英語力の心配より先に、候補となる国それぞれの言語事情を調べる。そのうえで、自分の得意な言語や学びやすい言語に近い国を選ぶという発想を持てば、選択肢はむしろ広がっていきます。
3. 海外移住に本当に必要な英語力のレベル

生活に必要な英語と仕事に必要な英語は違う
海外移住に必要な英語力を考えるとき、大切なのは「生活の英語」と「仕事の英語」を分けて考えることです。
生活に必要な英語は、買い物、レストランでの注文、交通機関の利用、簡単な会話程度です。これらは、中学校で習う英語の基礎があれば、ある程度対応できる範囲のものです。特別なビジネス英語や専門用語は必要ありません。
スマートフォンの翻訳アプリも年々精度が上がっており、とっさの場面で助けてくれる場面は増えています。ただし、翻訳アプリはあくまで補助的な道具です。すべてを翻訳アプリに頼り切ってしまうと、通信環境が悪い場面や、細かいニュアンスが必要な会話では対応しきれないこともあります。日常会話は自分の言葉で最低限やり取りできるようにしておき、翻訳アプリは補助として使う、というくらいの距離感がちょうどいいでしょう。
一方、仕事に必要な英語のレベルは、働き方によって大きく変わります。現地企業で働く場合は、ビジネス英語が求められる場面が多くなります。一方、日本のクライアントを相手にオンラインで仕事をする場合は、英語そのものがほとんど必要ないというケースもあります。
つまり、必要な英語力の水準は、「移住先」と「仕事の種類」の掛け合わせで決まるということです。移住先の国だけを見て英語力を判断するのではなく、そこでどんな働き方をするかまで含めて考える必要があります。
最低限の日常英語はどのくらいで身につくか
「移住前にどこまで英語を仕上げておくべきか」という質問もよくいただきます。
個人差はありますが、中学英語の基礎があれば、移住後3〜6ヶ月ほどで日常会話が成り立つようになるケースが多いとされています。教材で勉強するよりも、実際に現地で使いながら身につけるほうが、はるかに定着が早いためです。買い物、ご近所との挨拶、日々の小さなやり取り。こうした反復の中で、自然と言葉が身についていきます。
だからこそ、移住前に英語を完璧に仕上げる必要はありません。「使いながら身につける」が、最も現実的で確実な学び方です。移住を先延ばしにする理由として英語力を挙げてしまう方も多いのですが、実際には移住後の環境そのものが、最良の学習の場になります。
移住前に何年もかけて英語力を仕上げようとすると、その間ずっと「まだ準備が足りない」という気持ちを引きずることになります。準備期間が延びるほど、移住そのものへの熱量も下がっていきやすいものです。それよりも、最低限の基礎を整えたら早めに現地の環境に飛び込み、生活の中で言葉を磨いていくほうが、結果的に早く、そして無理なく英語力が育っていきます。
4. 英語ができなくても海外で収入を得る方法

日本語で完結する事業を持つという選択肢
英語ができなくても、海外で収入を得る方法はあります。その代表的なものが、日本語で完結する事業を持つことです。
オンラインでのコンサルティング、コンテンツ販売、マーケティング支援など、日本のクライアントに対して日本語でサービスを提供する形であれば、自分がどこの国に住んでいても事業は成り立ちます。インターネット環境さえあれば、パリでも、リスボンでも、アムステルダムでも、同じように仕事を続けられます。
オンライン起業は何から始める?最初の一歩と全体像を整理では、具体的な始め方をまとめています。
私自身、会社員として海外赴任を経験したあと、最終的に自分の事業を持つ形で海外に住むという選択にたどり着きました。雇用される立場では、住む場所も、働き方も、会社の都合に左右されます。しかし、自分の事業を持てば、その主導権を自分の手に取り戻すことができます。
英語力がすべてを決めるわけではありません。むしろ、英語力よりも「稼ぐ力」を持っているかどうかのほうが、移住の実現には直結します。日本語で完結する事業を持つことは、英語に依存せずに海外で暮らし続けるための、現実的な土台になります。
ただし、これは短期間で一気に結果を出す道ではありません。事業を軌道に乗せるまでには、地道な積み重ねが必要です。焦って成長を急ぎすぎると、かえって基盤が崩れやすくなります。ゆっくりと、確実に事業を育てていくことが、結果的にいちばん長く続く道になります。
現地採用の英語要件と現実
一方で、現地企業に就職する、いわゆる現地採用という選択肢を考える場合は、事情が変わってきます。
現地企業で働く場合、英語力は採用条件の一つになることがほとんどです。日系企業の現地法人であれば、日本語がメインで働ける求人も一部にはありますが、その分、現地基準の給与よりも低い水準になりやすい傾向があります。
「英語ができないから現地就職は難しい」というのは、残念ながら事実として受け止めておいたほうがいいでしょう。ここを無理に楽観視するよりも、「英語に依存しない収入源を持つ」方向に軸足を移すほうが、現実的で合理的な選択になります。雇われる立場を目指すのか、自分で稼ぐ力を持つのか。この選択によって、英語力の必要度もその後の生活の自由度も大きく変わってきます。
雇用という形にこだわればこだわるほど、英語力は避けて通れない条件になっていきます。逆に、雇われる前提を手放し、自分の事業を軸にすると、英語力は「あれば有利だが、なくても致命的ではない」ものに変わります。どちらの道を選ぶかによって、移住準備における英語の優先順位そのものが変わってくるということです。
POINT|英語ができなくても収入を得るための考え方
現地企業への就職には英語力が求められる場面が多くあります。一方、日本語で完結する事業を持てば、英語力に関係なく、どこに住んでいても収入を得ることができます。移住の実現を左右するのは、英語力そのものよりも「稼ぐ力」です。
5. 英語力を移住の壁にしないための準備

移住前にできる英語の準備
英語に不安があっても、移住前にできる準備はいくつかあります。
① 中学英語の復習。基礎文法と基本単語を、もう一度おさらいするだけでも、会話への抵抗感はかなり減ります。
② オンライン英会話で「話す経験」を積む。完璧な英語を話す必要はありません。とにかく英語を口に出す経験を重ねることが目的です。
③ 移住予定の国の基本フレーズを覚える。挨拶、買い物、緊急時に使う表現など、生活の初期段階でよく使うフレーズをあらかじめ押さえておくと安心感が違います。
完璧な英語を目指す必要はありません。目標にすべきは「通じる英語」です。ここを取り違えると、いつまでも準備が終わらず、移住そのものが先延ばしになってしまいます。
これらの準備は、どれも移住の直前にまとめてやるものではなく、日常生活の隙間時間で少しずつ積み上げていけるものばかりです。通勤時間にオンライン英会話のレッスンを一回受ける、寝る前に基本フレーズを一つ覚える。そうした小さな積み重ねを数ヶ月続けるだけでも、移住後の最初の数週間にかかる負担は大きく軽くなります。
英語より先に整えるべきこと
ここまで英語の準備についてお伝えしてきましたが、実は移住を実現するために本当に必要なのは、英語力よりも別の二つのことです。それは、収入源とビザ戦略です。
英語ができなくても、移住そのものは可能です。しかし、収入がなければ、移住した生活を続けることはできません。同じように、ビザがなければ、そもそも移住を始めることさえできません。
海外移住の準備完全チェックリスト|やること・手続き・期間の目安で、移住準備の全体像を整理しています。
だからこそ、優先順位は「英語の勉強」ではなく、「事業の基盤づくり」と「ビザの調査」に置くべきです。行き当たりばったりで移住を目指すのではなく、最初にどう暮らしていくのか、どのビザで、どんな収入源で生活を成り立たせるのかを逆算して設計しておく。この順番を間違えなければ、英語は移住を止める理由にはなりません。
英語は、移住した後からでも十分に身につけることができます。しかし、収入源とビザ戦略は、移住前に整えておかなければ、そもそもスタートラインに立てません。この優先順位を意識するだけで、英語への不安に振り回されずに、移住の準備を前に進めることができます。
まとめ

この記事でお伝えしてきたことを、三つに整理します。
一つ目、英語ができなくても海外移住はできます。移住先の国と、仕事の種類によって、英語の必要度は大きく変わります。
二つ目、英語力よりも「稼ぐ力」のほうが、移住の実現に直結します。日本語で完結する事業を持つという選択肢があれば、英語力に関係なく、どこに住んでいても収入を得ることができます。
三つ目、移住前の準備の優先順位は、収入源、ビザ、英語の順です。英語は移住後でも十分に身につけることができます。
英語ができないことは、海外移住を諦める理由にはなりません。不安の正体を正しく分解し、順番を間違えずに準備を進めていけば、道は開けていきます。
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