ヨーロッパに住んでみたい。でも、駐在員やお金持ちでないと無理だと思っていませんか。私自身、スイスとイギリスに10年住み、これまで多くの方の移住をサポートしてきましたが、実はヨーロッパ移住は多くの人が思っているほど難しくありません。
今回は、私が思う移住しやすい国ランキングを、ビザの取りやすさを軸にして第4位から第1位まで発表します。あくまで私の実体験と、これまでサポートしてきた方々の事例をもとにした主観ランキングです。治安や物価、生活の質まで含めた客観的な比較は、別記事のヨーロッパで住みやすい国ランキングで詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください。
目次
※本記事は筆者個人の経験と受講生の事例に基づく主観的なランキングです。ビザの取得条件や永住権の制度は変更される可能性があるため、最新・正確な情報は各国大使館やビザ専門家に必ずご確認ください。
1. 移住しやすい国ランキングの前提:なぜヨーロッパなのか

ヨーロッパに移住したいと考えたとき、多くの方がまず不安に感じるのがビザの高い壁です。ですが、私はこのランキングをあえてヨーロッパに絞りました。理由は、ヨーロッパには一度取得すれば長く安定して暮らせる永住権の仕組みがあるからです。
マレーシアやタイ、ドバイなどは、短期から中期の滞在には向いていますが、永住権という制度そのものがない国がほとんどです。ずっとその条件を満たし続けていないと、居続けることができません。一方でヨーロッパは一回永住権を取ってしまうと、ある意味いるのが楽になっていきます。
さらにヨーロッパにはEU永住権という仕組みがあります。一つの国で永住権を取得すれば、他のEU加盟国への移住申請もできるようになります。一つの国にこだわらず、色んな国を楽しむという生き方ができるのも、ヨーロッパならではの魅力です。LCCや鉄道を使えば、数千円で隣国に行くこともできます。
こうした制度の柔軟さがあるからこそ、私はヨーロッパこそ移住しやすい場所だと考えています。永住権が取りやすい国については永住権が取りやすい国ランキングでも詳しく比較しているので、気になる方はそちらもご覧ください。ここから、ビザの取りやすさを軸にした私なりのランキングを発表していきます。
2. 移住しやすい国ランキング 第4位:イギリス

移住しやすい国ランキングの第4位は、意外に思われるかもしれませんが、一番人気の高いイギリスです。
イギリスはヨーロッパで唯一の英語圏です。そのぶん世界中から移民が集まります。私の会社で移民を雇おうとすると、中東やインド、アフリカなど、本当に色んな国から応募が届きます。もちろんイギリス国内からの応募も多く、常に移住したい人であふれている状態です。だからこそイギリス自体も、移民に対してかなり厳しい姿勢を取らざるを得ません。
近年は国内の声もあり、移民を減らす方向に舵を切っています。永住権の取得は5年から10年に延長され、就労ビザの給料基準もこの2年でおよそ1.6倍ほどに引き上げられました。移民を雇う権利であるスポンサーシップライセンスを持っている会社は、全体のたった2%ほどしかありません。雇用というルートでイギリスに残るのは、かなり難易度が高いのが実情です。
だからこそ、イギリスに移住したいなら雇用ではなく起業が現実的な選択肢になります。私自身も、赴任先だったトルコに行くのではなくイギリスに残りたかったので、メガネ屋を創業しました。そしてスポンサーシップライセンスを政府に申請し、自分自身の事業で自分自身を雇うというスキームでビザを取得しました。事業を持って移住するというのが、イギリスで暮らし続けるための現実的な方法だと感じています。
英語圏での移住を比較したい方は英語圏で移住しやすい国ランキングもあわせてご覧ください。
3. 移住しやすい国ランキング 第3位:ドイツ・フランス・スペイン・イタリア

第3位は、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアなど、ヨーロッパの多くの国です。同率のような位置づけですが、イギリスに比べるとはるかに取りやすいのが特徴です。
これらの国には個人事業主ビザやデジタルノマドビザがあり、法人を持っていなくても移住できます。一定の収入基準を満たせば申請できる仕組みです。例えばスペインのデジタルノマドビザであれば、月収でおよそ52万円ほどを3ヶ月連続で証明できれば取得できます。証明の方法は、銀行の預金残高を示すバンクステートメントと、業務委託契約書です。フリーランスなら普通に持っている契約書を英語などに翻訳して提出する形になります。
なお、フランスには永住権制度がなく、10年ごとの更新ビザという形になります。ドイツなど他の国はほとんどの場合、5年ほどで永住権を取得できます。
最近特に人気が高いのがスペインです。バルセロナや南スペイン、バレンシアなどに移住したいという方がとても増えています。以前、もともとイギリスへの移住を希望していた受講生の方が、スペインがあまりに良かったのでそのまま定着したこともありました。来月10月にも、デジタルノマドビザでマドリードに移住する受講生の方がいます。
法人がなくても、個人事業主として一定の収入があれば住める国がある。これは、多くの方にとって新しい発見になるはずです。
4. 移住しやすい国ランキング 第2位:オランダ

第2位はオランダです。ヨーロッパの中では少し意外に思われるかもしれませんが、オランダはとても移住しやすい国です。
理由の一つが日蘭条約です。江戸時代の出島貿易に端を発する歴史的な条約により、日本はオランダから他国よりも優遇されています。ビザの取得だけであれば、オランダの銀行に4,500ユーロ(2026年9月20日時点のレートで約81万円)ほどの預金があれば、ほぼ移住が可能です。5年後に永住権を目指すのであれば事業の実態が見られますが、最初の移住のハードルはかなり低いといえます。
オランダは教育移住にもおすすめです。理由は大きく3つあります。まず治安が比較的良いこと。次に、子どもの幸福度が世界で最も高い国として知られていること。そしてオランダ人はほぼ全員が英語を話せることです。第二言語としての英語力は世界でも圧倒的に高い水準にあります。
フランスやドイツでは、現地語を話さないことに対するちょっとしたプレッシャーを感じることがあります。一方オランダでは、カフェやレストランでも普通に英語でやり取りしてくれるので、英語圏に近い感覚で暮らすことができます。英語に少しでも自信がある方や、いきなり英語圏に飛び込むのはハードルが高いと感じる方には、オランダから入るのがとても良い選択だと思います。
オランダ移住の実例は海外移住の国を変えた決め手は永住権|フランスからオランダに移動した理由でも紹介しています。
5. 移住しやすい国ランキング 第1位:ポルトガル

第1位はポルトガルです。ここは制度の話よりも、私が感じているこの国の魅力を中心にお伝えしたいと思います。
ポルトガルのD7ビザは語学テストがなく、不労所得でも申請が可能で、比較的通りやすいビザです。EUの永住権制度もあり、5年住んで永住権を取得すれば、EU内の他の国への移住申請もできるようになります。
ただ、ポルトガルの魅力は制度だけではありません。出汁を使った海鮮系の料理がとても美味しく、ワインもじんわりとコクがあります。人があったかく、特に地方や港町では、のんびりとした空気が流れています。南蛮貿易の歴史的なつながりもあってか、私はヨーロッパの中で一番日本に近い空気感を持つ国だと感じています。首都リスボンでは英語も比較的通じるので、フランスのような言語的なプレッシャーもありません。物価もヨーロッパの中では高すぎず、税金も比較的抑えられています。
私自身はイギリスの永住権をすでに取得しているので、2年に1回イギリスに戻ればその永住権を維持できます。今はまだ子育て中でイギリスに軸足を置いていますが、子育てが落ち着いたら、ポルトガルを二つ目の拠点にしたいと考えています。ポルトガルで5年過ごしてEUの永住権を取得できれば、スペインやフランスにも自由に滞在できるようになります。一つの国にこだわらず、ヨーロッパの色んな国を少しずつ楽しめる生き方。それが、私がポルトガルに惹かれる理由です。
6. 番外編:スイスが移住しやすい国ランキングに入らない理由

番外編として、私が最初にヨーロッパに住んだ国であるスイスについても触れておきたいと思います。
前職のP&Gのヨーロッパ本部がスイスのジュネーブにあり、赴任で初めてヨーロッパに住んだのがスイスでした。モンブランが見え、レマン湖というとても綺麗な湖がある環境に感動し、ヨーロッパに住みたいと強く感じた原体験になった場所です。
ただ、移住しやすい国ランキングという意味では、スイスは圏外です。スイスはEUと良好な関係を保つ必要があるため、EU市民が優遇されており、非EU圏である日本人にとって移住はかなり難しいのが実情です。移住条件そのものも厳しく設定されています。物価も非常に高く、ビッグマックが1,500円ほど、日本食レストランなら二人で4、5万円ほどかかることもあります。ジュネーブにはWHOやUNといった国際機関があり、ロレックスやネスレの本社もある、少し特殊な環境の国です。
それでも、スイスで過ごした時間は私にとって大きな原点になりました。スイスには日曜日を休息日とする文化があり、お店はすべて閉まり、みんなが静かに過ごします。時間がゆっくりと流れる感覚を初めて味わい、国や場所を変えると幸せの感覚がこんなに変わるのかと気づかされました。赴任という形で来ていたので、任期が終われば次の国に行くしかありませんでした。それが、いずれ自分で事業を持とうと考えるきっかけの一つになったように思います。
7. どの国を選んでも、移住しやすい国ランキングの先に必要なこと

ここまで、第4位のイギリスから第1位のポルトガル、そして番外編のスイスまでお伝えしてきました。ただ、どの国のビザも、最終的には収入の証明を求めてきます。私がこれまで見てきた中で、移住に成功している方に共通しているのは、経済力に尽きます。
雇用というルートは、言語の壁もあり、経済状況にも左右されやすく、安定を保つのが簡単ではありません。収入が途切れれば、基本的には日本に帰らなければなりません。だからこそおすすめしたいのは、まず日本で事業を作り、その事業を持ってヨーロッパに来るという順番です。
事業を持ってこちらに来たあと、少しずつ英語を覚えて海外の案件を取っていければ、事業をグローバルに展開できるようになります。これは義務ではなく、できるとさらに良い、というくらいの位置づけです。短期間で一気に稼ぐということではなく、まず日本の市場で事業を地道に積み上げていくこと。それが結局は一番の近道だと感じています。
ヨーロッパ移住は、もう憧れではなく、決断で実現できる時代です。
8. 移住しやすい国ランキングについてよくある質問(Q&A)

ここまで、移住しやすい国ランキングとして、第4位のイギリス、第3位のドイツ・フランス・スペイン・イタリア、第2位のオランダ、第1位のポルトガル、そして番外編のスイスをお伝えしてきました。どの国を選ぶにしても、結局求められるのは同じことです。居住できる力と、稼ぐ力は同じものだということ。国を選ぶ前に、まず自分の事業を持つこと。それが、ヨーロッパでの暮らしを長く続けていくための一番の土台になります。
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