海外に住んでみたい。でも、日本食が恋しくならないか、治安は大丈夫か、知り合いが一人もいない国でやっていけるのか。日本人が住みやすい国ランキングを見比べながら海外移住先を考え始めた方の多くが、最初にこの3つで迷います。
この記事では、日本人の多さ、日本食レストランの数、治安という3つの観点を、それぞれ公表されているデータで確かめていきます。使うのは、外務省の在留邦人数、農林水産省の国別の日本食レストラン数、そして世界平和度指数(GPI)2026の最新版です。この3つの観点から見て、日本人が暮らしやすいと言える国を7カ国紹介します。
なお、1章から3章は公表データに基づく客観的な紹介で、筆者が思う住みやすい国のランキングではありません。筆者自身の考えは、4章でお伝えします。
目次
※本記事の在留邦人数・日本食レストラン数・治安スコアは、各機関が2025〜2026年に公表したデータに基づいています。ビザや永住権などの制度、生活費の情報は2026年9月時点のものです。各国の制度は頻繁に変更されるため、渡航・申請の前に、必ず各国の移民局・大使館の公式サイトで最新情報をご確認ください。
1. 日本人が住みやすい国ランキングの3つの観点:日本人の多さ・日本食レストラン・治安

日本人が住みやすい国は、どの観点で見るかによって顔ぶれが大きく変わります。ここでは、日本人が海外で暮らすときに不安を感じやすい3つのことを取り上げ、それぞれを公表されているデータで確かめます。
日本人の多さは外務省の在留邦人数で見る
外務省の「海外在留邦人数調査統計」によると、2025年10月1日現在、海外に住む日本人は1,298,170人です。これは3か月以上滞在している長期滞在者と、永住者を合わせた数です。ここでは国ごとの在留邦人数を、その国の日本人コミュニティの厚さの目安として見ていきます。
日本食レストランの数は農林水産省の国別の概数で見る
農林水産省の2025年の調査では、海外の日本食レストランは約18万1,000店です。そのうちアジアが約11万2,400店、欧州が約1万9,200店と、地域によって大きな差があります。
ただ、同じアジアや欧州の中でも、国によって店の数はかなり違います。そこで、同じ調査で公表されている国・地域別の店舗数(概数)を、そのまま国ごとに示しています。人口や在留邦人数で割るような調整はしていません。
ここで見ているのは、あくまで日本食レストランの数です。日本の食材がどれだけ手に入るかや、現地の料理が日本人の口に合うかどうかは、この数字には表れません。
治安は世界平和度指数(GPI)2026で見る
治安は、経済平和研究所(IEP)が毎年発表している世界平和度指数(Global Peace Index)の2026年版を使いました。163の国と地域を対象にスコア化したもので、数字が低いほど平和と評価されます。指標の詳しい読み方は、住みやすい国ランキング|海外移住で本当に見るべき4つの評価軸で解説しています。
取り上げる7カ国と、順位の見方
候補は、3つの観点のデータがすべてそろう国の中から、アジア・北米・オセアニア・ヨーロッパの各地域にまたがるように7カ国を選んでいます。
並び順は、3つの観点のバランスを見たおおよその目安です。数字を足し合わせて機械的に決めたものではなく、どの観点を重く見るかによって、自分にとっての順番は入れ替わります。気になる観点の数字を、国ごとに見比べながら読み進めてください。
2. 日本人が住みやすい国ランキング7選

ここからは、日本人が住みやすい国を、7位からではなく1位から紹介します。各国とも、在留邦人数、日本食レストランの数、GPI 2026のスコアを示したうえで、公表されている制度や暮らしの面での注意点を添えます。
1位 カナダ:日本人の多さ・日本食レストランの数・治安のどれも大きく欠けない英語圏
カナダの在留邦人は75,316人で、国別では4位です。バンクーバー都市圏だけで28,090人が暮らしています。日本食レストランは約3,080店で、バンクーバーやトロントなどの主要都市では日系の食材店も使えます。GPI 2026のスコアは1.525(世界14位)で、北米・中米地域の中で最も平和な国と評価されています。日本人の多さ、日本食レストランの数、治安のどれを見ても、今回の7カ国の中で上位に入ります。
注意したいのは、冬の寒さです。都市による差は大きいものの、厳しい冬を覚悟しておく必要があります。また、永住権までの道のりは制度がいくつもあり、仕組みが複雑です。
こんな人におすすめ
英語圏で、治安と日本人の多さ、日本食レストランの数をバランスよく見て選びたい人や家族。
英語圏の国同士の比較は、英語圏で移住しやすい国ランキングをご覧ください。
2位 シンガポール:アジアの国で最も治安の評価が高く、日本人が多く暮らす都市国家
シンガポールは、GPI 2026で世界8位(スコア1.435)と、アジアの国の中で最も治安の評価が高い国です。在留邦人は33,397人で、国全体が一つの都市のため、都市別で見てもロサンゼルス都市圏、バンコク、ニューヨーク都市圏に次ぐ規模の日本人が暮らしています。
日本食レストランは約1,140店で、国別の店舗数ではイギリスやオランダより少なくなります。ただ、国全体が一つの都市なので、この店舗数がそのまま一つの都市の中にあることになります。
注意したいのは、生活コストの高さです。世界でも生活費が高い都市の一つとして知られています。また、滞在は就労ビザが中心で、自分の事業を持って住むハードルは高いとされています。
こんな人におすすめ
アジアの中で、治安を最優先したい人。生活コストよりも、都市の便利さと暮らしの安心感を取りたい人。
アジアの他の国との比較は、アジアで住みやすい国ランキングをご覧ください。
3位 オーストラリア:アメリカに次いで日本人が多く暮らす英語圏
オーストラリアの在留邦人は105,566人で、アメリカに次ぐ国別2位です。そのうち6割ほどが永住者です。シドニー都市圏だけで31,673人です。日本食レストランは約2,230店、GPI 2026のスコアは1.602(世界20位)です。
注意したいのは、物価と家賃の高さです。シドニーなどの都市部では、家賃が月30万円ほど、ラーメン1杯が3,000円ほどかかることもあります。円安の状況では、現地の時給の高さが、そのまま生活のゆとりにつながるとは限りません。
こんな人におすすめ
日本人の多い英語圏で暮らしたい人。ただし、渡る前に自分で稼ぐ力の土台を作れる人。
カナダなど他の英語圏との比較は、英語圏で移住しやすい国ランキングをご覧ください。
4位 イギリス:日本人が多く暮らし、日本食レストランの数も多いヨーロッパの国
イギリスの在留邦人は62,270人で国別6位、大ロンドン市だけで30,515人が暮らしています。日本食レストランは約1,820店で、シンガポールより多い数です。GPI 2026のスコアは1.730(世界39位)です。
注意したいのは、移住の入口です。イギリスには個人事業主やフリーランス向けのビザがなく、法人を持つか、雇用されるかが基本になるため、難易度は高めです。ビザの取りやすさで見た比較は、ヨーロッパで移住しやすい国ランキングをご覧ください。
こんな人におすすめ
ヨーロッパで暮らしたいけれど、日本人の多さや日本食レストランの数も重視したい人。自分の事業を持って移住を考えている人。
イギリスのビザや生活の詳細は、イギリス移住の完全ガイドにまとめています。
5位 タイ:日本食レストランの数は7カ国で最多、日本人も多く暮らす国
タイの在留邦人は72,113人で国別5位です。首都バンコクは51,297人で、都市別ではロサンゼルス都市圏に次ぐ2位の規模です。日本食レストランは約5,920店と、今回の7カ国の中で最も多い国です。一方で、GPI 2026のスコアは2.089(世界101位)で、7カ国の中では最も低い評価になりました。
注意したいのは、この治安スコアの読み方です。GPIは街中の犯罪だけでなく、紛争や政治の情勢、軍事化なども含めて算出される指標です。GPI 2026の報告書では、タイの評価が下がった主な要因として、テロの影響と紛争による死者の増加が挙げられています。そのため、都市部で暮らす実感とは分けて考える必要があります。治安の指標ごとの比較は、治安がいい国ランキングで詳しく扱っています。
こんな人におすすめ
日本食レストランの数と日本人の多さを何より優先したい人。まずはアジアで海外生活を始めてみたい人。
アジアの他の国との比較は、アジアで住みやすい国ランキングをご覧ください。
6位 オランダ:治安の評価が比較的高く、子どもの幸福度でも知られる国
オランダの在留邦人は11,225人で、前年から5%ほど増えています。日本食レストランは約1,550店で、アムステルダム周辺では日系の食材店も使えます。GPI 2026のスコアは1.566(世界17位)です。
日本人の数は英語圏やアジアの国ほど多くありませんが、日本食レストランの数はシンガポールより多く、治安の評価も高い水準にあります。オランダは子どもの幸福度が高い国として知られ、英語が広く通じる国でもあります。ビザについては、日蘭条約によって日本人は比較的入りやすい国です。英語で暮らせるかどうかや子育てのしやすさは、今回の3つの観点には含まれていない点も覚えておいてください。
こんな人におすすめ
子どもの教育と治安を重視する家族。英語で暮らしたい人。
日蘭条約を使った移住の流れは、オランダ移住の完全ガイドで解説しています。
7位 ポルトガル:治安の評価は7カ国で最も高く、日本人は少ない国
ポルトガルは、GPI 2026で世界7位(スコア1.427)と、今回の7カ国の中で最も治安のスコアが良い国です。一方、在留邦人は1,017人、日本食レストランは約220店と、日本人の多さと日本食レストランの数では7カ国の中で最も少なくなります。それでも、リスボンなどの都市部であれば日本の食材は手に入ります。
注意したいのは、日本人の知り合いを頼りにしにくいことです。日本人のネットワークよりも、現地の人とのつながりの中で暮らしを組み立てていくことになります。
こんな人におすすめ
日本人の多さよりも治安を重視し、現地の暮らしに溶け込んで生活したい人。
ビザや暮らしの詳細は、ポルトガル移住の完全ガイドにまとめています。
3. 日本人が住みやすい国ランキングの比較一覧表

日本人が住みやすい国ランキングの7カ国を、3つの観点の数字で一覧にしました。
| 順位(目安) | 国 | 在留邦人数(2025年10月) | 日本食レストラン数(2025年) | GPI 2026スコア(世界順位) |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | カナダ | 75,316人 | 約3,080店 | 1.525(14位) |
| 2位 | シンガポール | 33,397人 | 約1,140店 | 1.435(8位) |
| 3位 | オーストラリア | 105,566人 | 約2,230店 | 1.602(20位) |
| 4位 | イギリス | 62,270人 | 約1,820店 | 1.730(39位) |
| 5位 | タイ | 72,113人 | 約5,920店 | 2.089(101位) |
| 6位 | オランダ | 11,225人 | 約1,550店 | 1.566(17位) |
| 7位 | ポルトガル | 1,017人 | 約220店 | 1.427(7位) |
※在留邦人数:外務省「海外在留邦人数調査統計」令和7年(2025年)10月1日現在
※日本食レストラン数:農林水産省「海外における日本食レストラン数の調査結果(2025年)」の国・地域別概数(外務省調べに基づき農林水産省が集計。一の位は四捨五入)
※治安:Institute for Economics and Peace「Global Peace Index 2026」(スコアは低いほど平和)
※順位は、3つの観点のバランスを見たおおよその目安です
表で見ると、日本人の数では英語圏とアジアの国が多く、イギリスを除くヨーロッパの国は少ないことが分かります。一方で、日本食レストランの数だけを見ると、イギリス(約1,820店)やオランダ(約1,550店)はシンガポール(約1,140店)より多く、治安のスコアだけを見れば、ポルトガルは7カ国で一番です。どの観点を重く見るかで、自分にとっての順位は入れ替わります。
地域ごとにもっと詳しく比べたい方は、次の記事もあわせてご覧ください。
アジアの国を詳しく比べたい方は、アジアで住みやすい国ランキング
ヨーロッパの国を詳しく比べたい方は、ヨーロッパで住みやすい国ランキング
英語圏の国を比べたい方は、英語圏で移住しやすい国ランキング
治安だけで比べたい方は、治安がいい国ランキング
4. ヨーロッパ在住10年の私が感じる、日本人が住みやすい国の本当の条件

3軸のデータで並べると、イギリスを除くヨーロッパの国は下位に来ます。それでも私がヨーロッパに住み続けているのは、3つの軸それぞれの裏側に、データでは測れないものがあると感じているからです。ここでは、ヨーロッパで10年暮らしてきた私の実感をお伝えします。
日本食は工夫で埋められる
スイスは物価が高く、日本食レストランに行くと二人で4、5万円ほどかかることもあります。私の場合、スイスに住んでいた頃は日本の食品を取り寄せて色々試し、味噌汁やうどんはお気に入りが決まるほどでした。今住んでいるロンドンでは日本食のデリバリーがあるので、取り寄せることも大分減りました。
日本食レストランの数とは別に、現地の料理が口に合うかどうかも大切です。私がヨーロッパで食事が一番好きな国はポルトガルで、出汁を使った料理や海鮮料理が多く、ヨーロッパで一番日本に近いと感じています。
日本食の多さは住みやすさの一部ですが、私は、国を決める決め手にしなくてもいいと考えています。
日本人コミュニティは頼り方次第
日本の快適さは、日本人同士の暗黙のルールがきちんと守られているところにあります。海外には、一人ひとりが違うからこその開放感があります。その一方で、日本と同じ感覚を周りに求めると、移民社会ではかえってストレスになることもあります。
日本人が多いという理由だけで国を選び、日本人の輪の中だけで暮らしていると、何のために移住したのか分からなくなることがあります。私は、日本人コミュニティは頼り切る場所ではなく、困ったときに助け合える距離感くらいがちょうどいいと考えています。
治安の先にある、心の豊かさ
スイスでは、日曜日になるとお店が閉まり、街全体が静かに休みます。私はそこで時間がゆっくり流れる感覚を初めて味わい、住む国を変えると幸せの感覚がこんなに変わるのかと気づかされました。今住んでいるロンドンは物価も税金も高い街ですが、街を歩くだけで心が動きます。
治安が良いことは大前提です。ただ、それだけでは毎日が満たされるとは限りません。3軸のデータでは測れない「その国で心が動くか」を、ぜひ自分の軸に加えてみてください。
移住してから感じるギャップについては、海外移住で後悔する人の共通点や海外移住の現実でもまとめています。
5. 日本人が住みやすい国で長く暮らし続けるために必要なこと

どれだけ日本人が住みやすい国でも、住み続けられなければ意味がありません。海外で長く暮らすための条件は、大きく2つあります。滞在資格と、生活を支える稼ぐ力です。どの国のビザも、最終的には収入の証明を求めてきます。
雇用だけに頼ると滞在の前提が揺らぎやすい
現地の会社に雇われて住む場合、ビザは雇用とセットになっていることが多く、仕事が切れた時点で滞在の前提が崩れてしまいます。これは会社が悪いわけではなく、雇用によって住むという仕組みそのものの性質です。
まず日本で事業を作り、住みたい国へ行く
だから私は、まず日本で自分の事業を作り、その事業を持って住みたい国へ行く順番をおすすめしています。私の場合も、イギリスで事業を立ち上げてビザを得て、そこから永住権までたどり着きました。
最初から永住権までの道筋を考えておくと、国選びそのものが変わります。永住権の取りやすさで国を比べたい方は、永住権が取りやすい国ランキングもご覧ください。
事業といっても、短期間で一気に稼ぐ話ではありません。日本の市場で、地道に積み上げていくことが、結局は一番の近道だと感じています。移住までにどれくらいの資金を準備しておくかは、海外移住の貯金で詳しく解説しています。
6. 日本人が住みやすい国ランキングについてよくある質問(Q&A)

日本人が住みやすい国ランキングは、1位カナダ、2位シンガポール、3位オーストラリア、4位イギリス、5位タイ、6位オランダ、7位ポルトガルという結果になりました。
日本食・治安・日本人コミュニティは、海外で安心して暮らすための大切な物差しです。ただ、データで上位の国が、自分にとって心が動く国とは限りません。
日本人が住みやすいかどうかより、その国で毎日を楽しいと思えるかどうか。私は、そういう国を自分で選び、自分の力で住み続けられる生き方の方が、ずっと幸せだと思っています。
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