「定年を迎えたら、海外でゆっくり暮らしたい」。そんな夢を持っている方は、今の時代にどれほどいるでしょうか。
外務省の統計によれば、海外在住の日本人永住者は2023年10月時点で約57万4,000人にのぼります。そして、この数字の中に占める50代以上の割合は年々じわじわと増えており、老後の海外移住はもはや一部の人たちだけの話ではなくなっています。
ただし、「年金と貯蓄があれば老後は安心して海外で暮らせる」という前提には、いくつかの大きな疑問符がつきます。年金額の実態、海外では使えなくなる医療保険、為替と物価という二重リスク、そして年々厳格化するビザ要件。こうした現実と正面から向き合わずに移住を決めると、後悔の原因になりかねません。
本記事では、老後の海外移住に直面する4つの壁を正直に解説したうえで、「リタイア後も自分の事業という収入源を持つ」というもう一つの移住設計をご紹介します。年金だけに頼らない設計が、実は老後の移住をより自由で安全なものにする、という視点をお伝えできれば幸いです。
目次
ご注意:本記事のビザ要件・年金制度・医療費・税制等の情報は2026年6月時点のものです。各国の制度は頻繁に変更されます。渡航・申請の前に、必ず各国移民局・大使館・日本年金機構の公式サイトで最新情報をご確認ください。
老後の海外移住が注目される背景——数字で見る現在地
老後の海外移住への関心が高まっている背景には、いくつかの構造的な変化があります。大きく3つの要因を整理しておきましょう。
要因1——日本の社会保障に対する不安が顕在化している
日本の老後を取り巻く環境は、かつてと大きく変わりつつあります。少子化が加速する中で社会保障の負担は増え続け、年金支給額の実質的な価値は目減りする傾向が続いています。総務省の家計調査によれば、高齢夫婦(65歳以上・無職世帯)の可処分所得は月額20万円前後が一つの目安です(※調査年・条件によって異なります)。この金額で日本の都市部で快適に暮らし続けることの難しさを、多くの方がリアルに感じ始めています。
「このままでいいのだろうか」という問いを、50代以降の多くの会社員が抱えているのは、決して大げさな話ではありません。
要因2——「海外は高い」という前提が変わりつつある(ただし過渡期にある)
長く続いた円高の時代には、「海外での生活は日本より割高だ」という感覚が一般的でした。しかし円安が長期化した近年、東南アジアなど一部の地域では「生活コストが日本と変わらないか、むしろ安い」という状況が生まれています。
ただし、この流れには注意が必要です。東南アジア各国でも物価上昇は着実に進んでおり、2020年代前半に出回った「月10万円で豊かに暮らせる」という情報は、急速に古くなっています。「安い国に移住してコストを下げる」という戦略だけでは、長期的な安定を維持することが難しくなっています。
要因3——「定年=仕事の終わり」ではなくなった時代
リモートワークやオンライン事業の普及は、仕事と場所の関係を根本から変えました。インターネットさえあれば場所を問わず価値を届けられる事業形態は、50代・60代にとっても現実的な選択肢になっています。
「定年後は年金で生活する」という一択だった時代から、「定年後も自分のペースで事業を続ける」という選択肢が生まれた。この変化が、老後の海外移住の可能性を大きく広げているのです。
International Living誌が毎年発表するランキングでも、老後の移住先としてヨーロッパや中南米の国々が上位に並びますが、そうしたランキングの数字だけで国を選ぶことには危険が伴います。国選びの基準については、後の章で改めて整理します。
※各種統計・データは最新情報をご確認ください。外務省、総務省等の公式サイトをご参照ください。
老後の海外移住で混同しやすい「ロングステイ」と「永住移住」の違い
老後の海外移住を考えるうえで、最初に押さえておきたい大切な前提があります。「ロングステイ」と「永住移住」は、見た目は似ていても、法的・制度的にまったく別の話です。この区別が曖昧なままで情報を集めると、読んでいる記事が自分の状況に当てはまらないまま計画が進んでしまいます。
ロングステイとは——帰国を前提とした長期滞在
ロングステイとは、観光ビザやロングステイ専用ビザを使って、数ヶ月単位で海外に滞在するスタイルです。タイのリタイアメントビザ(ノービザや年間ビザを更新しながら使う方法)やマレーシアのMM2H(マレーシア・マイ・セカンドホーム)などが代表例としてよく紹介されます。
ロングステイの最大の特徴は、「日本が生活の本拠地であり続ける」という点です。医療は基本的に日本で受ける前提で、年金も日本の銀行口座に届きます。住民票は日本に残したまま、季節ごとに行き来するライフスタイルです。「お試し期間」として老後移住の雰囲気を知るには有効ですが、医療・ビザ・税務の設計は永住移住とは根本から異なります。
永住移住とは——現地に生活基盤を完全に移すこと
一方、永住移住は現地に生活の基盤を完全に移すことを意味します。日本の市区町村に「海外転出届」を提出し、日本の住民票を抜きます。これによって日本の国民健康保険は失効し、介護保険も対象外になります。
本記事が扱うのは、この「永住移住」の設計についてです。ロングステイとは異なり、ビザの永続性・現地の医療保険・税務上の居住地など、より本格的な設計が必要になります。ロングステイに関する情報と混在させると、実態とかけ離れた計画になりかねないため、ここで明確に線を引いておきたいと思います。
老後の海外移住で直面する4つの壁——年金・医療・費用・ビザ
老後の海外移住を考えるうえで避けて通れない4つの現実があります。夢を壊したいわけではありません。ただ、この4つを事前に把握しているかどうかで、移住の設計が大きく変わります。
年金——海外でも受け取れるが、それだけで暮らせるか
まず多くの方が気になるのが、年金の扱いです。結論からお伝えすると、海外に移住した後も日本の年金は受け取れます。海外転出後は国内の金融機関への送金か、一部の海外口座への振込に変更する手続きが必要ですが、受給額自体が減らされることはありません。
問題は「いくらもらえるか」という点です。国民年金の満額受給は月額約7万608円(2026年4月改定時点)。厚生年金を合わせた平均的な受給額は、夫婦合計で月額22万円前後というのが現実的なラインです。
この金額で、移住後も安心して暮らせるかどうかは、移住先によって大きく変わります。次章の試算でも確認しますが、東南アジアなら「ギリギリ可能」、ヨーロッパでは「明確に不足」というのが現実です。
さらに、為替リスクも見逃せません。年金は日本円で受け取るため、現地通貨に換算したときの実質価値は、円安が続くほど目減りします。固定された年金額で変動する為替をカバーしなければならないというのは、長期的に見てかなり不安定な構造です。
※年金の受給手続き・送金方法の詳細は、日本年金機構の公式ページをご確認ください。
医療——日本の国民健康保険は使えない
次に、多くの方が移住前に気づかないまま直面する問題が、医療保険の失効です。日本から海外転出届を提出した時点で、国民健康保険は原則として失効します。日本の公的医療は、日本に住民票がある方を対象とした制度だからです。
現地の医療をどう確保するかは、移住先によって選択肢が大きく変わります。EU圏(ポルトガル・スペインなど)では、一定の手続きを経ることで現地公的医療制度へのアクセスが可能になるケースがあります。一方、東南アジアの多くの国では、リタイアメントビザで滞在する外国人は現地公的医療に加入できず、民間保険への加入が実質的に必須です。
民間の海外医療保険で注意したいのは、年齢と持病の問題です。60代以上になると保険料は大きく跳ね上がります。既往症(持病)があれば、告知義務によって加入を断られたり、その疾病への補償が除外されたりするケースも少なくありません。医療費の自費負担リスクは、老後の海外移住において最も過小評価されている壁のひとつです。
渡航前に複数の海外医療保険を比較し、専門家にも相談したうえで判断することを強くおすすめします。
※医療保険・現地医療制度の詳細は、各国大使館・専門家にご相談ください。
生活費——為替と物価上昇の二重リスク
「東南アジアなら月10万円で豊かに暮らせる」という情報が、インターネット上には今でも多く流れています。しかし、この数字の多くは数年前のデータを元にしており、2026年時点では大幅に実態からずれています。
バンコク、クアラルンプール、バリなど、かつて格安移住先として人気を集めた都市の物価上昇は顕著です。外国人向けの家賃は特に上昇しており、日本語コミュニティが集まるエリアや生活利便性の高いエリアでは、日本の地方都市と変わらないコストがかかるケースも増えています。
そこに為替リスクが重なります。年金は日本円で受け取り、現地通貨に替えて使うため、円安が続くほど実質的な生活水準は下がります。2024〜2025年に見られたような円安局面が続けば、「年金で十分に暮らせる」はずだった試算は、数年で「不足」に転落します。
老後の移住設計において、生活費は「今の物価」ではなく「5〜10年後の物価・為替変動を織り込んだコスト」で考えることが不可欠です。
ビザ——リタイアメントビザの条件は年々厳格化
老後移住の鍵を握るのがビザですが、各国のリタイアメントビザの要件は、近年大幅に引き上げられています。
かつて比較的入りやすかったマレーシアのMM2Hプログラムは、2021年の改定で条件が大幅に厳格化されました(預金要件の大幅引き上げ・月収要件の新設など)。フィリピンのSRRV(スペシャル・リタイアメント居住者ビザ)も2020年にセキュリティ上の理由から新規受付が一時停止され、制度の安定性に不安が残ります。タイのリタイアメントビザは年ごとの更新が必要で、要件を満たせなくなれば更新できません。
さらに見落とされがちな点が、多くの国のリタイアメントビザには「就労禁止」の制限があることです。現地で仕事をすること、あるいはオンラインで事業を行うことが、ビザの条件に抵触する場合があります。これは、次の章で取り上げる「リタイア後も事業を持つ」という設計と直接的に関わってきます。
※ビザ要件は国・時期によって変更される場合があります。最新情報は各国大使館・専門家にご確認ください。
「年金だけで老後移住」は成立するか——現実の試算
ここまで整理してきた4つの壁を踏まえて、実際に試算してみましょう。
モデルケースとして、65歳夫婦で厚生年金と国民年金を合わせた月額受給額が約22万円という設定で考えます。ヨーロッパ、東南アジアの代表的な移住先で、月々のコストを概算します。
東南アジア(タイ・マレーシア)——ギリギリ可能だが余白が薄い
| 費目 | 概算(月額) |
|---|---|
| 家賃(2LDK程度・外国人向けエリア) | 約10〜14万円 |
| 食費・生活費 | 約5〜8万円 |
| 民間海外医療保険(60代夫婦) | 約4〜6万円 |
| ビザ維持費・年次更新費用(月割) | 約1〜2万円 |
| 合計 | 約20〜30万円 |
年金22万円に対して、節約すれば収支が合うかもしれない水準です。ただし、この試算には旅行費・医療費の実費・緊急出費・日本への一時帰国費用が含まれていません。
為替が1円でも円安に振れれば、現地通貨で受け取れる金額が減ります。物価が5%上昇するだけで、翌年には「不足」に転落する水準です。「ギリギリ」の状態で老後を過ごすことが、精神的に持続可能かという問いもあります。
南欧(ポルトガル・スペイン)——可能性はあるが、収入源がないと厳しい
| 費目 | 概算(月額) |
|---|---|
| 家賃(リスボン・バルセロナ郊外、1LDK〜2LDK) | 約14〜20万円 |
| 食費・生活費 | 約6〜9万円 |
| 公的医療制度(居住者登録後に利用可能・費用は制度次第) | 条件による |
| ビザ維持費(月割) | 約1〜2万円 |
| 合計 | 約21〜31万円 |
ポルトガル・スペインは、EU市民権に近い形で公的医療にアクセスできる可能性がある点で魅力があります。しかし、リスボンやバルセロナの家賃上昇は近年著しく、「南欧は安い」という先入観はすでに過去のものになりつつあります。年金22万円では「ギリギリ」から「やや不足」の水準です。
西欧(オランダ・フランス)——年金だけでは明確に不足
| 費目 | 概算(月額) |
|---|---|
| 家賃(都市部2LDK) | 約20〜30万円 |
| 食費・生活費 | 約8〜12万円 |
| 医療費・保険(居住形態による) | 約3〜6万円 |
| ビザ・行政費用(月割) | 約1〜2万円 |
| 合計 | 約32〜50万円 |
年金22万円に対して、月10万円以上の不足が生じます。西欧での老後移住を年金だけで支えることは、現実的ではありません。
この試算から見えること
東南アジアなら「ギリギリ」、南欧は「やや不足〜ギリギリ」、西欧は「明確に不足」。そして、どの地域でも為替・物価の変動が「ギリギリ」を数年で「不足」に変えるリスクが常に存在します。
収入源がもう一つあるだけで、この試算は根本から変わります。月に5〜10万円でも自分の事業から収入が得られれば、東南アジアでの生活に余裕が生まれ、ヨーロッパという選択肢も現実的になってきます。
※上記の試算はあくまで概算であり、生活スタイル・エリア・為替水準によって大きく変動します。最新情報は現地在住者・専門家にご確認ください。
収入源を持ったまま老後移住する——もう一つの設計思想
ここまでの話を聞いて、「やはり老後の海外移住は難しいのか」と感じた方もいるかもしれません。しかし、私がお伝えしたいのは、その結論ではありません。
「年金だけで老後移住しようとするから、設計に無理が生じる」という話です。リタイア後も自分の収入源——自分の事業——を持ったまま移住するという設計は、4章で見た試算を根本から変え、移住の選択肢を大きく広げます。
老後移住に「事業」という発想がない
競合する多くの海外移住関連の記事を見ると、老後移住者は一貫して「消費者」として描かれています。年金と貯蓄を切り崩しながら暮らす、という前提で書かれているのです。「安い国を選べ」「年金が多くもらえる職業・勤め方を選べ」という方向のアドバイスが大半を占めています。
しかし、インターネットの普及とリモートワークの定着が変えた一つの現実があります。50代・60代であっても、自分の知識・経験・スキルをオンラインで届ける事業は、体力に依存せず、場所を問わず続けられます。「雇われる」のではなく「自分で事業を設計する」という選択が、老後の移住において特別な力を持つのです。
受講生・松浦さんの事例から
土居正英のコンサルティングを受けた受講生の中には、50代から事業を設計し直した方がいます。そのひとりが、ロンドンで歯科医院を開業した松浦さんです。
松浦さんがとったアプローチは、「既存職種のプロとして海外で雇われる」ではなく、「自分がスポンサーシップライセンスを取得して、事業を立ち上げ、雇う側になる」というものでした。雇われる立場であれば、年齢は不利に働きます。しかし「雇う側」になることで、年齢は問題にならなくなりました。
この設計の核心は、自分に属する事業を持つことで、場所も年齢も条件にしなくなるという点にあります。「現地で店を開く」という形にこだわる必要もありません。日本の顧客にオンラインでサービスを提供する事業形態であれば、どの国に住んでいても展開でき、体力にも依存しません。
ビザの問題も、事業で解決できる
リタイアメントビザには就労禁止の制限がある、という話を3章でお伝えしました。しかしこれは、「起業ビザを使えば解決できる問題」でもあります。
例えばオランダには、日蘭通商航海条約(日蘭条約)に基づく個人事業主ビザという制度があります。オランダで事業計画書を提出し、一定の基準を満たすことで、個人事業主として居住・就労が可能になります。そして5年後には永住権の申請資格が生まれ、さらにその先にEU長期居住者としての選択肢もひらけます。
ポルトガルのD7ビザ(受動所得ビザ)やD2ビザ(起業家ビザ)も、事業収入を持つ移住者に向いた制度です。
リタイアメントビザで就労を禁じられるより、起業ビザで事業を正式に持つほうが、長期的な移住設計として安定します。
ゆっくり積み上げることが、正しいペース
ひとつ大切なことをお伝えしておきます。50代・60代から事業を始めるということは、短期間で大きな収益を目指すことではありません。
「月100万円を早く達成しなければ」という焦りは、かえって危険です。成長のスピードを無理に上げようとすると、事業も精神も持続しません。大切なのは、地道に、しかし確実に積み上げていくこと。5年・10年のスパンで見たとき、自分の事業という収入源を持っていることの安心感は、年金の金額では買えないものです。
土居正英本人も、イギリスでの眼鏡事業を赤字から年商4〜5億円規模に育てるまでには、試行錯誤と地道な積み上げがありました。「最初から上手くいった」という話ではなく、「諦めずに続けた」という話です。急成長を求めるのではなく、自分のペースで事業を育てていくことが、老後移住における事業設計の正しいあり方だと、私は考えています。
※起業ビザの要件・申請方法は各国の制度・時期によって変わります。最新情報は各国大使館・専門の入国管理弁護士にご確認ください。
老後移住を実現する国の選び方——目的別3パターン
「海外移住おすすめ国ランキング」系の記事では、コスト・ビザの取りやすさ・治安などをポイント化して国を並べることが多いです。しかしランキングで国を選ぶことには、大きな落とし穴があります。ランキングは「平均的な外国人移住者」を基準にしており、あなた自身の価値観・事業形態・家族構成とは必ずしも一致しません。
ここでは、目的別に3つのパターンを整理します。
パターン1——生活コスト重視:東南アジア(タイ・マレーシア・フィリピン)
年金と貯蓄だけで生活を維持したい場合、東南アジアは生活コストの面で最も可能性が高い地域です。ただし前章の試算でも確認したように、物価上昇が進む現在、「月10万円で暮らせる」という情報は過去のものと考えておくべきです。
医療の問題(民間保険必須・高齢になるほど保険料が上昇)、ビザの不安定さ(更新要件の変更リスク)、就労禁止規定なども念頭に置く必要があります。コスト重視で選ぶとしても、「5年後・10年後もこのコスト構造が成立するか」を慎重に見極めることが大切です。
パターン2——文化・生活の質重視:ヨーロッパ(ポルトガル・スペイン・フランス)
文化的な豊かさ、医療制度の整備、多様性ある社会環境——こうした要素を重視するなら、ヨーロッパは非常に魅力的な選択肢です。
ポルトガルのリスボン・ポルト、スペインのバルセロナ・バレンシア、フランスの地方都市など、旧市街の石畳と豊かな食文化の中で老後を過ごすという選択には、生活コストの試算とは別次元の価値があります。
ただし、ヨーロッパは生活コストが東南アジアより高く、年金だけでは「明確に不足」するケースがほとんどです。事業収入があれば十分に成立する選択肢ですが、事業なしでヨーロッパに老後移住するのは財務的に無理のある設計になります。
パターン3——永住権設計重視:オランダ・ポルトガル
「ただ暮らす」だけでなく、永住権取得まで設計した移住を目指すなら、このパターンがもっとも合理的です。
オランダは日蘭条約による個人事業主ビザで入国し、5年居住後に永住権を申請できます。さらに10年後にはオランダ国籍の申請資格も生まれます。EU圏の永住者・市民になることは、ヨーロッパ全域を生活の舞台とする自由を意味します。ポルトガルのD7・D2ビザも、同様に永住権への道が設計されています。
「最初から出口(永住権)まで設計する」という発想は、老後移住においても変わりません。行ってから考えるのではなく、5年後・10年後の自分の状況まで逆算して、今どのビザで入るかを決める。これが、長期的に安定した移住設計の本質です。
そして、どの国を選ぶにしても大切にしたい一つの基準があります。それは、税金や物価の安さで国を選ぶのではなく、心が喜ぶ国を選ぶということです。数字で比べれば優劣がつく国も、「ここに住みたい」という感覚は数字で測れません。老後という人生の時間をどう使いたいかという問いに、もっとも正直に答えた先に移住先があると、私は思っています。
※永住権・ビザの申請要件は各国・時期によって変更されます。最新情報は各国の移民局・専門家にご相談ください。
老後の海外移住でよくある質問(Q&A)
老後の海外移住を検討している方からよく寄せられる疑問に、率直にお答えします。
まとめ
老後の海外移住について、年金・医療・生活費・ビザという4つの現実を正面から整理してきました。最後に、この記事でお伝えしたかった3つのポイントをまとめます。
POINT|老後の海外移住を設計するうえで大切な3つのこと
ポイント1:4つの壁を事前に把握する
老後の海外移住では、年金・医療・生活費・ビザという4つの壁を事前に把握しておくことが不可欠です。どれか一つでも見落とすと、移住後に「こんなはずではなかった」という状況に陥りやすくなります。
ポイント2:年金だけに頼る移住設計は、脆弱だと知る
年金だけに頼る移住設計は、為替・物価変動に対して構造的に弱く、精神的にも長期的に持続可能とは言えません。「ギリギリ成立する」という試算は、数年後に「不足」に転落するリスクを常に抱えています。
ポイント3:リタイア後も事業という収入源を持つ設計が、移住を自由にする
リタイア後も自分の事業という収入源を持つことで、移住先の選択肢が広がり、永住権への道筋も設計できます。事業を持つことは、老後移住を「消費して終わる旅」から「自分の人生を設計し続ける旅」へと変えます。
2026年現在、老後の海外移住を実現している人たちに共通する要素のひとつは、「事業という収入の軸を持ちながら移住を設計している」という点です。年金を消費するだけの老後設計を超えた先に、本当の意味での移住の自由があると、私は思います。
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