移住準備

イギリス移住の完全ガイド|ビザの種類と、起業で永住権を狙うルート


イギリスへの移住を、真剣に考えたことがある人は多いのではないでしょうか。歴史ある街並み、世界水準の教育、多様な文化が交差するロンドン。あるいはスコットランドの静かな風景。「いつかあの国で暮らしたい」という思いを、何年も胸に抱いてきた方もいるかもしれません。

ただ、いざ調べ始めると、ビザの種類の多さと制度の複雑さに圧倒されることがほとんどです。そして多くの方が「自分には無理かもしれない」と感じ、調べることをやめてしまいます。

この記事では、2025年現在のイギリス移住の現実を正直にお伝えしながら、雇用されなければ入れない、という思い込みを外すための情報をお届けします。特に、競合するどの情報サイトも取り上げていない「スポンサーシップライセンス自社取得」という起業ルートと、50代でロンドンに移住した松浦さんの実例を中心に、制度を自分の力で活用できる人だけが、イギリスに住み続けられるという現実をお伝えします。

ご注意:本記事のビザ要件・税制・費用等の情報は2026年6月時点のものです。各国の制度は頻繁に変更されます。渡航・申請の前に、必ず 英国政府公式サイト(GOV.UK) で最新情報をご確認ください。

1. イギリス移住の現実:なぜ今、難しくなっているのか

ロンドンの歴史的な街並みと朝霧

2020年1月31日、イギリスはEUを離脱しました。あの瞬間を境に、EU市民が持っていた「自由移動の権利」は消えました。それと同時に、日本人にとっても「海外駐在の延長でロンドンへ」という道が、以前より格段に狭くなっています。

2025年に入り、イギリス政府が発表した移民白書「Restoring Control over the Immigration System」はさらに踏み込んだ内容でした。方針の核心は「純移住者数の大幅削減」。政府として、移住のハードルを意図的に引き上げることを明言したのです。

制度面で起きている変化を整理すると、次のとおりです。

Skilled Worker ビザの最低給与引き上げ

2024年4月の改定で、Skilled Worker ビザに必要な最低給与は年£26,200から£38,700に引き上げられ、さらに2025年7月には£41,700へ再改定されました(職種によっては異なる)。日本円にすると約800万円以上の給与を雇用主が保証しなければ、このビザは取れません。「とりあえず現地就職してビザを取る」という方法は、給与水準の高い専門職でなければ現実的ではなくなっています。

英語要件の引き上げ予定

Skilled Worker ビザへの新規申請に必要な英語力は、2026年1月8日からCEFR B2レベルに引き上げられました。さらに、永住権(ILR)申請時の英語要件も2027年3月26日からB2に引き上げられる予定です。英語試験のスコアだけでなく、英語でのビジネス実務能力がより厳しく問われる時代になっています。

投資家ビザ(Tier 1 Investor)の完全廃止

かつては£2,000,000以上の投資でビザが取得できる「投資家ビザ」がありました。2022年2月に廃止され、「お金を積めば入れる」という選択肢はもはや存在しません。

これだけ聞くと、イギリス移住の扉は完全に閉じてしまったように感じるかもしれません。しかし、残された道は確かにあります。そしてその道は、自分で事業を作れる人にとっては、むしろ以前より明確です。

制度が求めるのは「雇用される力」ではなく「事業を作る力」へとシフトしています。次の章で、現在有効なビザの種類を整理した上で、どのルートが永住権につながるのかを見ていきます。

※ビザ制度は随時変更されます。最新・正確な要件は 英国政府公式サイト(GOV.UK) または専門の移民弁護士にご確認ください。

2. イギリス移住のビザ種類一覧:Skilled Worker / YMS / 配偶者 / Innovator Founder / 学生

パスポートと書類を確認する女性の手元

「どのビザで入るか」は、イギリス移住の設計における最初の分岐点です。ビザの種類ごとに、入居条件・滞在可能期間・永住権への接続性が大きく異なります。表でまとめた上で、それぞれの特徴を解説します。

ビザ種別 対象 主な要件 永住権(ILR)への道
Skilled Worker Visa 雇用される方 雇用主スポンサー必須・最低給与£41,700 5年連続滞在でILR申請可
Youth Mobility Scheme (YMS) 18〜30歳 年齢制限あり・最長2年 繋がらない(延長不可)
配偶者・パートナービザ 英国市民・永住者の配偶者 最低収入£29,000(2024年改定) 5年でILR申請可
Innovator Founder Visa 起業家 承認機関のエンドースメント必須・初期投資下限なし 3年でILR申請可
Student → Graduate Visa 留学生 大学・カレッジへの入学許可 Graduate後にSkilled Workerへ乗り換えで繋がる

Skilled Worker Visa

イギリスで最もスタンダードな就労ビザです。雇用主がHome Officeに認可されたスポンサーであることが前提で、かつ給与が£41,700以上(または職種ごとの基準額の高い方)であることが必要です。後述する「スポンサーシップライセンスを自社で取得する」ルートでは、このビザを自分に発行するという形を取ります。

Youth Mobility Scheme(YMS、いわゆるワーホリ)

18〜30歳が対象で、就労・観光を含む最大2年間の滞在が可能です。ただし、このビザから直接永住権(ILR)に繋げる道はありません。「イギリスを体験してみたい」という目的には合いますが、長期定住を目指す方には戦略的な位置づけが必要です。

配偶者・パートナービザ

英国市民または永住者と法律上の婚姻関係にある方が対象です。2024年の改定で、スポンサー側(英国側)の最低収入が£18,600から£29,000に引き上げられました。5年の滞在後にILR申請が可能です。

Innovator Founder Visa

起業家向けのビザで、イギリスで革新的・実行可能・スケーラブルな事業を立ち上げることが条件です。Home Officeが認定した承認機関(エンドースメント機関)から事業計画を承認してもらう必要があります。以前あった£50,000の初期投資下限は撤廃されており、事業の質で評価されます。3年の滞在後、ILR申請が可能です。

Student → Graduate Visa の乗り換えルート

イギリスの高等教育機関を卒業後に取得できる Graduate Visa(2年間)を経て、Skilled Worker Visa に切り替える道です。若い年齢層で英語力が高く、イギリスの大学教育を受ける意欲がある方には有効な選択肢です。

POINT|永住権(ILR)に繋がるかどうかが最重要

YMSのように「入れるけど永住権には繋がらない」ビザで入国し、その後の道がなくなるケースは珍しくありません。イギリス移住を「一時滞在」ではなく「住み続けること」として設計するなら、最初からILRへの道が開いているビザを選ぶことが前提です。

※ビザ要件・給与基準は変更される場合があります。最新情報は GOV.UK ビザ・移住 でご確認ください。

3. イギリス移住の起業ルート:スポンサーシップライセンスとInnovator Founder Visa

ロンドンのビジネス街と建物のファサード

この章が、この記事で最もお伝えしたい内容です。インターネット上の「イギリス移住」に関する情報を調べると、ビザの種類の説明はどこにもあります。しかし、スポンサーシップライセンスを自社で取得して自分にビザを発行するというルートを、具体的に解説しているサイトはほぼ存在しません。

これは、実際にやった人が少ないからです。そして、実際にやった人の一次情報を持っている発信者がさらに少ないからです。

(a)スポンサーシップライセンス自社取得ルートとは

通常、Skilled Worker Visaを取得するには、雇用主がスポンサーシップライセンスを持っていることが条件です。つまり「就職できた会社がスポンサーになってくれる」という受動的な立場が一般的です。

しかし、次の手順を踏むことで、自分でスポンサーになることができます。

英国で法人を設立する(Ltd.=有限責任会社。設立自体は比較的スムーズ)

Home Office にスポンサーシップライセンスを申請する(申請費用・事業実態・コンプライアンス体制の審査あり)

ライセンスが承認されたら、自社が自分に Skilled Worker Visa を発行する

就労・滞在→5年後に ILR 申請

このルートの最大のポイントは「雇用主に依存しない」という点です。自分が会社のオーナーであり、かつ同じ会社のスポンサーとして自分にビザを発行する形になります。

松浦さんの事例(50代・ロンドン・歯科関連・7ヶ月でライセンス取得)

私のコンサルティングを通じてイギリス移住を実現した方の一人に、松浦さんという方がいます。50代で、歯科関連の事業をロンドンで立ち上げた方です。

「50代からイギリスは無理では?」という声をよく聞きます。しかし松浦さんは、英国法人設立からスポンサーシップライセンス取得まで、わずか7ヶ月で完了させました。

重要なのは年齢ではありませんでした。重要だったのは「事業が実在しているかどうか」「コンプライアンスに問題がないかどうか」という点です。書類の整備と事業計画の具体性、そして弁護士との連携。これらを丁寧に積み上げた結果が、7ヶ月という期間に表れています。

松浦さんのケースが示しているのは、スポンサーシップライセンスは「特別な人が取るもの」ではなく、準備と知識があれば取得できる制度だということです。

(b)Innovator Founder Visa ルートの具体フロー

もう一つの起業ルートが、Innovator Founder Visa です。こちらは「新規性のある事業」を持って入国するビザで、承認機関のエンドースメント(事業計画の審査・承認)が鍵になります。

フローは以下のとおりです。

承認機関(エンドースメント機関)を選ぶ(Innovate UKなど、Home Officeが認定した機関)

事業計画を提出し、エンドースメントを取得する(審査基準:革新性・実行可能性・スケーラビリティ)

ビザを申請する(エンドースメントレター+その他書類)

3年間の滞在と事業進捗確認を経て、ILR を申請する

Innovator Founder Visa の特徴は「雇用主不要」で入れる点です。ただし、エンドースメント機関による事業計画の評価が通過の核心であり、「なんとなく起業したい」という程度では承認されません。日本市場で実績がある事業を英国展開する形で計画を立てる、というアプローチが現実的です。

(c)2ルートの比較

スポンサーシップライセンス自社取得 Innovator Founder Visa
事前に必要なもの 英国法人・事業実態・ライセンス申請 エンドースメント機関の審査・事業計画
ビザ種別 Skilled Worker Visa(自社スポンサー) Innovator Founder Visa
ILRまでの年数 5年 3年
向いている人 すでに収益がある事業を持つ人 革新的な新規事業を持つ起業家
難易度の核心 コンプライアンス・書類整備 事業計画の新規性・エンドースメント審査

お金を積んで入る道はもう閉じました。残されたのは、事業を作る力です。

※スポンサーシップライセンスの申請要件・手続きは複雑です。最新情報は GOV.UK スポンサーシップライセンス および Innovator Founder Visa でご確認いただき、専門の移民弁護士にご相談ください。

4. イギリス移住から永住権(ILR)への道:5年ルートと10年ルートの逆算設計

手帳にペンで計画を書く手元

「いつか永住権を取りたい」と漠然と思っている方は多いですが、最初から逆算して設計している方は少数派です。イギリス移住において永住権(ILR)の取得条件を入国前に把握しておくことは、ルート選択そのものに影響します。

ILR の基本要件(全ルート共通)

継続在住期間:ビザ種別によって5年または10年の連続滞在

Life in the UK テスト:英国の歴史・文化・法律に関する筆記試験(英語で受験)

英語力の証明:Skilled Worker新規申請は2026年1月よりCEFR B2、ILR申請は2027年3月よりB2へ引き上げ予定

出国制限:申請前の滞在期間中、180日以上の出国がないこと(ビザ年ごとに90日という計算が目安)

5年ルートと10年ルートの比較

ルート 滞在期間 主なビザ種別 ILR申請可能時期
5年ルート(標準) 連続5年 Skilled Worker、配偶者、Innovator Founder(※)など 5年経過後
Innovator Founder 優遇 連続3年 Innovator Founder Visa 3年経過後(事業進捗審査あり)
10年ルート(Long Residence) 合法滞在10年 複数ビザの組み合わせも可 10年経過後

※Innovator Founder VisaはILRまで3年という特例がある点が、他のビザと異なります。

年代別の現実ライン

30代で入国した場合:5年ルートで35〜40歳までにILR取得が現実的です。英語B2要件が2027年に適用される前に準備を始めることが重要です。

40代で入国した場合:5年ルートでも45〜50歳前後。ただし英国での事業基盤を作りながら滞在するなら、この年代が最も「事業の厚みと移住の安定」を同時に進められる時期かもしれません。

50代で入国した場合:松浦さんのように、事業の実績と準備があれば十分に現実的です。5年後にはすでに経営者として英国に根を張っている状態になります。

逆算設計のポイント

今から5年後・10年後のILRを目標に置いたとき、どのビザで入国するかが最初の決断です。「何歳でどの状態になりたいか」から逆算して、入国のタイミングとビザの種類を決める。行ってから考えるのではなく、最初から永住権まで設計する。これが、イギリス移住を「住み続ける」に変える唯一の方法です。

※ILR要件の詳細・最新情報は GOV.UK ILR申請 でご確認ください。

5. イギリス移住の前に必要な「稼ぐ力」を持つという順番

ヨーロッパのカフェテラスで働く女性の後ろ姿

この章が、この記事全体の山場です。

ビザのことを調べ、法人設立の手順を調べ、生活費を計算する。そこまでやった方から、よく聞く言葉があります。「準備が整ったら動こうと思っています」。

私は毎回、同じ問いを返します。「その準備の中に、事業はありますか?」と。

順番が逆の人が多い

イギリス移住に関して情報を集めている方の多くが、制度を先に調べます。ビザの要件、法人設立のコスト、ILRまでの年数。これは正しい行動です。しかし、そこに一つ大きな落とし穴があります。

制度は「箱」です。箱の仕様をどれだけ詳しく調べても、箱の中に入れる「中身」がなければ、その箱は機能しません。

スポンサーシップライセンスを取得するためには、英国法人に事業実態がなければなりません。Innovator Founder Visa のエンドースメントを通過するには、具体的な事業計画と、それを裏付けるだけの実力が必要です。「ビザさえ取れれば後で考える」は、通じない制度になっています。

稼ぐ力とは何か

私自身、イギリスで2社を経営しています。原点にあったのは「自分で売上を作れるスキル」でした。場所を問わず、クライアントを見つけ、価値を届け、対価を得る。この循環を自分で作れることが、海外で事業を起こす際の土台になります。

具体的には、マーケティングスキル、特に広告運用やファネル設計など「集客から成約まで自分で設計できる力」が、海外でも再現性の高い手段です。クライアントは日本にいてもよく、デジタルで完結する事業構造であれば、イギリスにいながら日本市場に向けてサービスを提供することも可能です。

稼ぐ力とは、特定の場所・組織に依存せず、自分の力で売上を立て続けられる状態のことです。

「ゆっくり積み上げる」という順番

ここで一つ、重要なことをお伝えしておきます。

「イギリスに行けば稼げる」でも、「事業を作れば即ビザが取れる」でもありません。順番は、もっとシンプルで、もっと地道なものです。

短期間で一気にを狙う道ではありません。月の売上を地道に積み上げ、「もうどこに住んでも食べていける」と確信できたとき、初めてビザの話が現実になります。

まず日本国内で事業を軌道に乗せる。次にその事業を海外でも展開できる形にする。その先に、イギリス移住という選択肢がリアルなものとして見えてくる。この順番が、再現性のある道です。

私は「成長スピードを早めすぎると絶対に潰れる」と思っています。月の売上を少しずつ伸ばし、地道に積み上げていく。その積み重ねが、ビザの申請書に書ける「事業実態」になります。

POINT|イギリス移住の土台は、稼ぐ力を先に持つこと

制度が変わるたびにルートが消える人と、どんな制度でも対応できる人の違いは、「稼ぐ力を自分が持っているかどうか」の一点に集約されます。ビザの種類を覚えることよりも、まず事業を作ること。この順番を守れた人が、イギリス移住を「住み続ける暮らし」に変えられます。

6. イギリス移住の生活の現実:費用・NHS・税制・教育

ロンドンの住宅街とカラフルなタウンハウス

夢だけでなく、数字も見ておきましょう。イギリス、特にロンドンの生活費は、世界的に見ても高水準です。

生活費の目安

ロンドンでの月々の生活費は、エリアや家族構成にもよりますが、一人暮らしで£2,000〜£3,000(約40〜60万円)が現実的なラインです。家賃が最大の変動要因で、ロンドン中心部のワンルームは月£1,500〜£2,500が相場です。

ロンドンを離れた地方都市(マンチェスター、バーミンガム、エジンバラ等)では、生活費はおおよそ7割程度に抑えられます。

NHS(国民保健サービス)

イギリスに移住する場合、Immigration Health Surcharge(IHS)という料金を滞在期間分まとめて前払いする必要があります。現在の料金は年間£1,035。ビザ申請時に滞在予定年数分を一括で支払うため、5年ビザであれば£5,175になります。

支払いが完了すれば、滞在中はGP(かかりつけ医)への受診や病院の利用が、基本的に無料または低料金で可能です。これはイギリス移住の大きなメリットの一つです。

税制(所得税)

イギリスの所得税は累進課税で、以下の構造です。

・£12,570 まで:非課税(Personal Allowance)

・£12,571〜£50,270:20%

・£50,271〜£125,140:40%

・£125,141以上:45%

加えて、National Insurance(社会保険料に相当)も発生します。法人経営者の場合は会社税(Corporation Tax)と個人所得税の両方を考慮した構造設計が必要です。

教育

公立学校はイギリス在住の子どもであれば無料で通えます。ただし、エリートとされる私立学校(Independent School)は年間£15,000〜£40,000以上かかります。子どもの教育環境を求めてイギリス移住を考える方は多く、特にロンドン近郊の優良公立学区は住居選びと直結します。

POINT|イギリス移住の生活費は安くない。だからこそ事業を先に持つ

ロンドンの生活費は、日本の大都市と比べても高い水準です。ビザが取れても、現地での生活を継続できる事業収益がなければ、数年で帰国を余儀なくされることもあります。イギリス移住を持続可能にするのは、ビザではなく稼ぐ力です。

※NHS費用・税制は変更される場合があります。最新情報は NHS公式 およびUK政府税務当局(HMRC)でご確認ください。

7. イギリス移住のよくある質問(FAQ)

カフェでノートに書きながら考える女性の手元

Q1. 英語が得意ではありません。イギリス移住は難しいですか?

英語力は、移住ルートによって求められる水準が異なります。Skilled Worker Visaの新規申請には2026年1月からB2レベルの英語力が必要です。ILR申請時の英語要件も2027年3月からB2に引き上げられる予定です。ただし、「英語ゼロ」から「B1」は、日常会話レベルの習得です。移住を3〜5年後に設定するなら、今から着実に準備できる範囲です。また、イギリスにいれば日本語話者だけを相手にしたビジネスを展開することも可能で、事業の言語と日常の英語力は必ずしも直結しません。

Q2. YMS(ワーホリ)から永住権に繋げる方法はありますか?

YMS自体は永住権(ILR)への直接のルートを持っていません。ただし、YMSで入国した後にSkilled Workerビザに切り替え、そこから5年を積み上げてILRを目指すという流れは制度上可能です。ただしその場合、Skilled Workerビザの要件(雇用主スポンサー・最低給与£41,700等)を満たす必要があります。YMSを「イギリスを知る期間」として使いながら、事業や就職の準備を並行して進める、という位置づけが現実的です。

Q3. 初期費用はどれくらい見ておけばいいですか?

ビザ申請費用・IHS前払い・英国法人設立費用・生活準備資金を合算すると、スポンサーシップライセンス取得ルートの場合は£5,000〜£15,000程度が一つの目安です(弁護士費用を含む)。加えて、現地での生活立ち上げ費用(家賃デポジット・家具・生活用品等)を考えると、渡航前に一定の資金と事業収益の基盤を持っておくことが重要です。

Q4. イギリスを拠点に、EU展開はできますか?

Brexit後、イギリスはEUシングルマーケットから離脱しているため、「イギリスのビザでEU域内に自由移動できる」というわけではありません。ただし、イギリス在住のまま、EU諸国向けにオンライン事業を展開することは可能です。さらに発展させる場合は、ポルトガル・オランダ・フランス等のEU国でも別途ビザや法人を持つ「二拠点設計」が選択肢になります。

Q5. 50代からでも、現実的ですか?

松浦さんの事例が、その答えです。50代でロンドンに移住し、歯科関連の事業を立ち上げ、英国法人設立からスポンサーシップライセンス取得まで7ヶ月で完了しました。ビザ制度に年齢の上限はありません(YMSを除く)。重要なのは年齢ではなく、事業の実態と準備の質です。むしろ、50代は「日本での事業実績」が最も厚い世代でもあります。その実績を英国での事業計画に落とし込む力があれば、十分に現実的です。

8. まとめ|イギリス移住を、自分の意思で選び続けるために

テムズ川沿いの遊歩道とロンドンの街並み

イギリス移住は、2026年現在、簡単ではありません。制度は厳しくなり、「何となく行けばどうにかなる」という時代は終わりました。

しかし同時に、道は残っています。

スポンサーシップライセンスを自社で取得するルート、Innovator Founder Visaで起業家として入国するルート、どちらも「事業を作れる人」にとっては現実的な選択肢です。松浦さんの事例が示したように、50代でも、歯科関連という専門性を持った事業があれば、7ヶ月でライセンスを取得できます。

私が一貫してお伝えしていることは、一つだけです。

制度が求める力を先に持つ人だけが、住み続けることができます。

ビザは「入国の許可」であり、暮らし続ける力は自分の事業が作ります。

イギリスという国を、人生の通過点としてではなく、自分の意思で選んだ場所として生き続けるために。まずは事業を作ること、稼ぐ力を育てること。その先に、この国が持つ豊かさがあります。心が喜ぶ国を、あなた自身の力で選んでください。

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