海外でフリーランスを始めて暮らしてみたい。でも、何から手を付けて、どの順番で進めればいいのか分からない。そう感じている人は多いと思います。海外でフリーランスを始める方法は、日本で始める、ビザを選ぶ、出国前の届出を済ませる、現地で登録する、の4段階で考えると整理しやすくなります。
この記事では、各段階の窓口と期限、要件の数字を、国税庁・日本年金機構・各国の移民当局などが公表している情報に沿って順番に示します。オランダ・ポルトガル・ドイツの要件は、各国政府が公表している数字で並べました。
なお、1章から5章は公的機関が公表している情報に基づく手順の解説です。筆者自身の考えは、6章でお伝えします。
目次
本記事の税・年金・ビザの情報は、2026年10月時点で国税庁・日本年金機構・各国政府が公表している内容です。制度は頻繁に変わり、同じ手続きでも窓口によって案内が異なる場合があります。届出や申請の前に、税務署・市区町村・各国の大使館や移民当局の公式サイト、または税理士などの専門家に最新情報をご確認ください。
1. 海外でフリーランスを始める前に知っておきたい、仕事とビザの順番

海外に住むには、その国の在留資格が要ります。在留資格には、事業をしていることや収入があることの証明が求められます。だから、海外でフリーランスを始める手順は、仕事と記録を日本で先に作り、その記録を持ってビザを申請する順番になります。
海外でフリーランスが使える在留資格は、大きく3つの型に分かれる
1つ目は、個人事業主や自由業として申請する在留資格です。オランダ、ポルトガル、ドイツには、個人で申請できる枠があります。
2つ目は、デジタルノマドビザです。国外の顧客や会社の仕事をしながら滞在する制度で、仕組みはデジタルノマドビザとはで解説しています。
3つ目は、英語圏のように個人向けの枠がなく、法人を持つことが前提になる国です。イギリスの就労ビザに、個人事業主やフリーランスを名指しした区分はありません。
フリーランスの在留資格の審査で見られるのは、事業の登録・契約書・銀行明細などの証拠
各国が求めるのは、事業をしている証拠です。事業の登録、顧客との契約書、請求書、銀行の入金記録といった書類が、申請の中心になります。
そのため、日本で仕事を始めて記録を積んでおくことが、最初の手順になります。海外でフリーランスとして暮らせるかどうかの全体像は、フリーランスが海外で働くにはで解説しています。
2. 海外フリーランスの始め方ステップ1:日本で開業して最初の仕事を取る

最初のステップは、日本で事業を始めることです。事業の中身は人によって違うため、ここで示すのは行政手続きの順番と、仕事の始め方の一例です。
海外フリーランスの始め方は、まず開業届と青色申告の申請から
個人が新たに事業を始めたときは、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を出します。国税庁によると、提出期限は、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までです。
青色申告をするなら、青色申告承認申請書も出します。期限は原則として、青色申告をしようとする年の3月15日までです。その年の1月16日以後に事業を始めた場合は、開業日から2か月以内になります。事業の内容によっては、都道府県税事務所などにも届出が必要になる場合があります。
※出典:国税庁 タックスアンサーNo.2090(令和8年4月1日現在法令等)、A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続(2026年10月確認)。最新の期限と手続きは、税務署または税理士にご確認ください。
フリーランスの最初の仕事は、いまのスキルと人脈から小さく始める
最初の仕事は、いまのスキルや前職の人脈、スキルマーケットなどから、小さく始める形が一例です。職種や手段に決まりはなく、人によって入口は違います。
金額の大きさよりも、顧客と契約を結び、仕事をして、入金を受けた実績が残ることに意味があります。事業そのものの始め方は、オンライン起業の始め方で解説しています。
海外のビザ申請で使う証拠を、最初の1件から残しておく
契約書、請求書、入金記録、事業の説明資料は、最初の1件から保管します。ポルトガルの居住ビザは、自由業の申請に契約書か役務提供の提案書を求めています。ポルトガルのデジタルノマドビザ(D8)は、直近3か月の平均月収を見ます。
書類は後から作り直せないものが多く、取引の都度、残しておくほうが安全です。
3. 海外フリーランスの始め方ステップ2:個人で申請できるビザを選ぶ

個人で申請できる在留資格は、要件の基準が国ごとに違います。金額をそのまま比べることはできないため、国ごとの基準で読むことになります。円換算は1ユーロ=185円です。
海外移住でフリーランスが使えるビザの3つの型を、要件で見る
オランダは投資額、ポルトガルは契約書と生計資金、ドイツは自由業に必要な許可と年齢による老後の備えが、要件の中心です。デジタルノマドビザは国外の顧客から得る月収を見ます。英語圏の起業向けビザは、承認団体の推薦が入口になります。
オランダ:日蘭通商航海条約に基づく自営業者の居住許可
オランダ移民局(IND)によると、この居住許可は、日本国籍の人が申請できます。多くの形態で、最低4,500ユーロ(約83万円)の投資が求められます。初回は、INDの決定通知書の日付から6か月以内に、商工会議所へ登録し、投資を済ませます。期限を過ぎると、許可が取り消される場合があります。有効期間は最長2年で、手数料は423ユーロ(約7.8万円)です。
オランダ移住の全体像は、オランダ移住の完全ガイドにまとめています。
※出典:オランダ移民局(IND)Residence permit self-employed person(2026年10月確認)。最新の要件と手数料は、INDにご確認ください。
ポルトガル:居住ビザの自由業(独立した職業活動)
ポルトガル外務省のビザポータルでは、自由業の居住ビザの申請に、契約書か役務提供の提案書が求められます。4か月有効の居住ビザで入国し、居住許可へ進みます。ポルトガルの移民当局(AIMA)によると、居住許可は2年で、以後は3年ごとの更新です(法令に別の期間がある場合を除く)。
生計の資金は最低賃金に連動し、2026年は社会保障控除後で月920ユーロ(約17万円)が、一般の基準として示されています。
※出典:ポルトガル外務省ビザポータル 居住ビザの必要書類・ビザの種類・生計資金、AIMA 居住許可の一般要件(2026年10月確認)。最新の要件は、領事機関またはAIMAにご確認ください。
ドイツ:滞在法21条5項に定められた自由業の居住許可
ドイツの滞在法21条は、自営業の居住許可を定めています。このうち第5項が、自由業の枠です。自由業を営むのに許可が必要な場合は、その許可が出ているか、出る見込みであることが条件に入ります。
第3項では、45歳を超える人は、原則として適切な老後の備えがあることが求められます。第4項は許可の期間を最長3年と定めていますが、第5項は、この第4項を適用しないと定めています。どの仕事が自由業に当たるかは条文からは決まらないため、申請前に確認が要ります。
※出典:ドイツ滞在法(AufenthG)21条(2026年10月確認)。最新の運用と自由業の範囲は、ドイツ大使館や現地の外国人局にご確認ください。
デジタルノマドビザ:スペインとポルトガルの収入要件
デジタルノマドビザは、国外の顧客の仕事をする人向けの制度です。スペインは、全国最低賃金の200%が収入要件で、2026年の月額最低賃金1,221ユーロで計算すると月2,442ユーロ(約45万円)になります。ポルトガルのD8は、直近3か月の平均月収が最低賃金の4倍で、計算例は月3,680ユーロ(約68万円)です。
ほかの国の要件は、海外リモートワークにおすすめの国ランキングで比べています。
※出典:スペイン外務省 在ワシントン総領事館 Telework visa、Real Decreto 126/2026、ポルトガル外務省ビザポータル 一時滞在(2026年10月確認)。ポルトガルの金額は、公式の割合と最低賃金から計算した例です。スペインの金額は総領事館の案内によるもので、最低賃金の換算方法により異なる金額を示す情報もあります。申請の前に、スペイン大使館・領事館にご確認ください。
英語圏:個人向けの区分がなく、法人が前提になる国
イギリスの就労ビザに、個人事業主やフリーランスを名指しした区分はありません。起業向けのInnovator Founderビザは、承認団体の推薦(エンドースメント)が前提です。英語圏で法人を持つ道は、海外で会社を設立する方法で解説しています。
※出典:英国政府 Innovator Founder visa(2026年10月確認)。最新の要件は、GOV.UKにご確認ください。
個人で申請できるビザと、ノマドビザの比較表
| 国 | 個人で申請する在留資格 | 主な要件 | 期間 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| オランダ | 日蘭条約に基づく自営業者の居住許可 | 日本国籍、多くの形態で最低4,500ユーロ(約83万円)の投資、決定通知書の日付から6か月以内に商工会議所登録と投資 | 初回最長2年 | IND |
| ポルトガル | 居住ビザ(自由業) | 契約書または役務提供の提案書、生計資金(最低賃金連動。2026年は月920ユーロ) | ビザ4か月、居住許可2年、以後3年ごと | ポルトガル外務省ビザポータル、AIMA |
| ドイツ | 自由業の居住許可(滞在法21条5項) | 自由業に必要な許可、45歳超は原則として老後の備え | 第5項は第4項(最長3年)を適用しない | 滞在法 |
| (参考)スペイン | デジタルノマドビザ | 最低賃金の200%(月額。計算例 月2,442ユーロ) | ビザ最長1年、居住許可最長3年 | スペイン外務省(在ワシントン総領事館)、官報 |
| (参考)イギリス | 個人向けの区分なし | 承認団体のエンドースメント(Innovator Founder) | - | GOV.UK |
※要件の基準(投資額・契約書・月収)が国ごとに異なり、金額をそのまま比べることはできません
※円換算:1ユーロ=185円。順位や優劣を示すものではありません
4. 海外フリーランスの始め方ステップ3:出国前に日本の手続きを済ませる

ビザの見通しが立ったら、日本を出る前に、日本側の手続きを片付けます。
フリーランスの海外拠点は、住所で決まる
日本の税金で居住者になるかどうかは、住所で決まります。国税庁によると、居住者は、国内に住所があるか、現在まで引き続き1年以上居所がある個人です。住所は生活の本拠のことで、客観的な事実で判定されます。
非居住者になると、収入が国内源泉所得のどの種類に当たるかなどで、課税の方式が決まります。日本の顧客との契約は、出国前に税理士へ確認しておくと安心です。
※出典:国税庁 タックスアンサーNo.2875、No.2873(2026年10月確認)。個別の税務は、税務署または税理士にご確認ください。
海外に出る前に、日本の事業を続けるか廃止するかを決める
日本の事業を続けるか、廃止するかで、必要な届出が変わります。廃止する場合の届出は、開業のときと同じ「個人事業の開業・廃業等届出書」で、期限は確定申告期限までと、国税庁が案内しています。青色申告をやめる場合は、「青色申告の取りやめ届出書」も出します。
※出典:国税庁 タックスアンサーNo.2090(令和8年4月1日現在法令等)、A1-5(2026年10月確認)。本情報は2026年10月時点のものです。廃業の届出の期限は制度の改正で変わった経緯があるため、届出の前に税務署または税理士に最新の期限をご確認ください。
海外での年金と保険は、出国前に入り方を確認する
国民年金は、海外に住む20歳以上65歳未満の日本人が、任意で加入できます。出国前ならお住まいの市区町村、出国後なら最後の住所地の市区町村か年金事務所に申し出て、申し出た月から加入します。社会保障協定のない国では、海外の制度に加えて、日本の制度にも入る場合があります。
日本で申告が残る場合は、出国の日までに、納税管理人を納税地の税務署へ届け出ます。出国税(国外転出時課税)は、1億円以上の有価証券等を持つ一定の居住者が対象です。納税管理人を国外転出の時までに届け出ると、その年分の確定申告期限までに申告と納税をします。詳しくは、出国税とはをご覧ください。
※出典:日本年金機構 国民年金の任意加入、任意加入の手続き、海外で働くとき、国税庁 A1-7 納税管理人の選任届出手続、タックスアンサーNo.1478(2026年10月確認)。最新の手続きは、年金事務所・市区町村・税務署にご確認ください。
海外フリーランスの出国前の手続き一覧表
| 手続き | 窓口 | タイミング | 出典 |
|---|---|---|---|
| 転出届(海外転出) | 市区町村 | 出国前(例:中央区は、1年以上海外に住む場合に出国予定日の14日前から受付) | 中央区の案内(自治体の一例) |
| 国民健康保険の資格喪失 | 市区町村 | 転出届と同時期(資格を失う日は自治体の案内に従う) | 日野市の案内(自治体の一例) |
| 国民年金の任意加入(希望する場合) | 出国前は市区町村、出国後は最後の住所地の市区町村または年金事務所 | 出国前または出国後(申し出た月から加入) | 日本年金機構 |
| 納税管理人の届出(日本で申告が残る場合) | 納税地の所轄税務署 | 出国の日まで | 国税庁 A1-7 |
| 事業の継続/廃止の届出 | 税務署 | 廃止する場合は確定申告期限まで | 国税庁 No.2090・A1-5 |
| 国外転出時課税(該当者のみ) | 税務署 | 国外転出の時までに納税管理人を届け出れば、その年分の確定申告期限まで | 国税庁 No.1478 |
※転出届・国民健康保険の扱いは自治体によって異なります。お住まいの市区町村の案内をご確認ください(2026年10月確認)
国民健康保険の扱いは海外移住と健康保険に、年金は海外移住と年金にまとめています。
5. 海外フリーランスの始め方ステップ4:渡航後に現地で住所と事業を登録する

渡航後は、順番が決まっている手続きを、期限内に進めます。
オランダは、決定通知書の日付から6か月以内に商工会議所への登録と投資を済ませる
オランダの自営業者の居住許可は、INDの決定通知書の日付から6か月以内に、商工会議所へ登録し、投資を済ませることが条件です。期限を過ぎると、許可が取り消される場合があります。
住まいが決まったら、住む自治体で住民登録(BRP)をします。1回の滞在が4か月を超える場合は、到着後5日以内に登録するよう、オランダ政府が案内しています。
ポルトガルは、居住ビザの有効期間内にAIMAで居住許可を申請する
ポルトガルは、4か月有効の居住ビザで入国し、その期間内に移民当局(AIMA)で居住許可を申請します。ポルトガル外務省のビザポータルは、居住ビザの発給時にAIMAの予約が空いていない場合、予約情報のリンクが付かないビザのステッカーがパスポートに貼られると案内しています。その場合に限り、ポルトガルに入国してから、AIMAの所定の問い合わせフォームで連絡します。
フリーランスも、現地で滞在日数などにより税務上の居住者になる場合がある
滞在先の国でも、滞在日数などで税務上の居住者になる場合があります。日本と滞在先の両方で居住者になる場合の扱いは租税条約で決まり、国税庁は、恒久的住居、利害関係の中心、常用の住居、国籍の順に判定すると説明しています。仕組みは海外移住で税金はどう変わる?で、銀行口座は海外銀行口座の開設で解説しています。
※出典:オランダ移民局(IND)Residence permit self-employed person、オランダ政府 住民登録(BRP)のFAQ、ポルトガル外務省ビザポータル ビザの種類・AIMAの予約なしで発給される居住ビザ(2025年12月3日付の告知)、国税庁 タックスアンサーNo.2875(2026年10月確認)。最新の手続きは、各国の窓口にご確認ください。
6. ヨーロッパ在住10年の私が考える、海外でフリーランスを始めるときに大切なこと

私はスイスとイギリスで、合わせて10年暮らしてきました。ただ、フリーランスとしてビザを取ったことはありません。イギリスでは、法人を作って住み続けてきました。
海外でフリーランスを始めるなら、個人で申請できる国から考える
私は駐在員としてイギリスに来ました。住み続けるために眼鏡屋を起業し、移民を雇う権利であるスポンサーシップライセンスを取って、永住権にたどり着いています。
イギリスで分かったのは、英語圏には個人向けの枠がなく、法人と雇用が前提になることでした。私の場合は、法人を作り、店舗を構え、人を雇う形でビザの道を作りました。ライセンスを基盤にしたビザで暮らした5年間は、事業を続けられるかどうかが、そのまま住み続けられるかどうかだった期間です。
これから個人で始める方が、同じ道を選ぶ必要はないと考えています。オランダやポルトガルのように、個人で申請できる国から考えるほうが、無理のない始め方になるはずです。
海外でフリーランスを始めた、私がサポートしてきた受講生の例
私がサポートしてきたウェブマーケターの方は、ワーキングホリデーから帰国し、動き出してから2週間ほどで最初の案件を5万円で受注しました。単価を上げながら月5件を並行して進め、およそ4か月で月収100万円に届いています。個人の結果で、再現を保証するものではありません。その歩みは、フリーランスの単価アップで海外移住を叶えた体験談で、本人の言葉で語られています。
今井さんは、国際協力のコンサルタントとして、国際機関が発注する調査業務を受けてきた方です。1年以上かけて準備し、2021年8月に日蘭条約のビザでオランダに渡りました。オランダ教育移住の体験談に詳しくあります。
お二人とも、仕事の実績を作ってから、住む国の手続きに進んでいます。
フリーランスは入口で、事業に育てていくと住む国を選べる
フリーランスは、自分の時間で仕事を受ける働き方なので、受けられる仕事の量には時間の上限があります。先のウェブマーケターの方も、体験談の中で、稼働できる時間には限りがあると振り返っています。
だから私は、フリーランスを入口にして、事業に育てていく形がよいと考えています。事業は、急いで大きくしようとすると、どこかで無理が出ます。短期間で一気に伸ばそうとせず、ゆっくり積み上げていくほうが、ビザを更新するときも、住む国を選び直すときも、支えになってくれます。
7. 海外でフリーランスを始める方法についてよくある質問(Q&A)

日本で始める、申請できる国を選ぶ、出国前の届出を済ませる、現地で登録する。4つのステップは、順番どおりに進めれば、一つずつ片付いていきます。
海外では、誰かが住む場所を用意してくれるわけではありません。でも、だからこそ自分の足で立てるようになります。自分の仕事があるから、この国に住み続けると自分で決められる。私は、その手応えを持って異国で暮らす毎日に、何にも代えがたい楽しさがあると感じています。
海外移住を「いつか」で終わらせないために。
ヨーロッパで開催した勉強会の特別講義を、公式LINEで公開しています。
180分超の特別講義・動画集・ロードマップ資料で
海外で継続的に収益を作る方法
後悔しない移住先の選び方
ビザ戦略
を解説しています。
海外移住や場所に縛られない生き方を実現したい方は、
公式LINEから無料で受け取ってください。












