フリーランスが海外で働く

仕事・ビジネス

フリーランスが海外で働くには?ビザ・税金・仕事の現実を整理

フリーランスという働き方には、場所に縛られない自由があります。パソコンとネット環境さえあれば、どこにいても仕事はできる。だったら海外に住めるのではないか。そう考えたことがある方は、決して少なくないはずです。

僕のところにも、「フリーランスのまま海外に出たい」という相談が年々増えています。実際、デジタルノマドビザやフリーランスビザを導入する国は世界的に広がっていて、フリーランスとして海外で働くという選択肢は、以前より現実的になりました。ただし、実際に動こうとすると、ビザの壁、税金の問題、仕事の取り方など、事前に整理しておくべき現実がいくつもあります。今回は、フリーランスが海外で働くために知っておくべき現実を、順番に整理していきます。

※ビザや税制など海外での就労に関わる制度は国・時期によって変わります。最新・正確な要件は各国大使館・公式サイトや専門家へご確認ください。

1. フリーランスは海外で働けるのか

海外のカフェテラスで過ごす女性の後ろ姿

フリーランスが海外で働ける結論とビザの壁

結論から話します。フリーランスとして海外で働くこと自体は可能です。ただ、ここで一つ、はっきりさせておきたいことがあります。「パソコンとネット環境があればどこでも働ける」という話と、「合法的に海外に住んで働く」という話は、似ているようで全く別の話だということです。

短期の旅行ビザやビザなし渡航で滞在しながら仕事を続けるという方法を取る人も一定数いますが、これは多くの国でグレーゾーンにあたります。観光目的の滞在中に就労行為を行うことは就労ビザとは別物であり、発覚すれば入国拒否や強制送還のリスクもゼロではありません。合法的に海外に住みながらフリーランスとして働き続けるには、ビザの問題を最初にクリアにしておく必要があります。この点は2章で詳しく整理します。

フリーランスと海外ノマドワーカーの違い

フリーランスとして海外で働くことを考え始めると、「ノマドワーカー」という言葉もよく耳にするのではないでしょうか。ノマドワーカーになるには?職種選びより先にやるべきことでも触れていますが、ノマドワーカーとは、場所を選ぶ自由を持って働くライフスタイルそのものを指す言葉で、フリーランスという働き方そのものとは少し違う概念です。

ノマドワーカーになるにはという記事は、そもそも「どうなるか」という入口の話を扱っています。今回のこの記事は、すでにフリーランスとして活動している、あるいはフリーランス転向を考えていて、「具体的にどうすれば海外に出られるのか」という次のステップを知りたい方に向けた内容です。まだノマドワーカーという働き方自体がピンと来ていない方は、先にそちらの記事を読んでみてください。

2. フリーランスが海外で使えるビザの選択肢

スタンプが押されたパスポートのクローズアップ

フリーランスの海外移住で広がるデジタルノマドビザ・フリーランスビザ

フリーランスや個人事業主が使えるビザの選択肢は、ここ数年で急速に広がっています。僕が発信している数字でいうと、フリーランスビザを発行する国はかつて15カ国ほどでしたが、今では43カ国にまで増えました。デジタルノマドビザに至っては、68カ国が導入しています。

ポルトガル、スペイン、ドイツ、オランダといったヨーロッパの国々に加え、ドバイ、タイ、マレーシアなど、フリーランスや個人事業主に在留資格を出す国は着実に増えています。必要とされる年収の目安は国によって差がありますが、約300万円前後がひとつの基準になっているケースが多く見られます。「フリーランスだから海外には住めない」という時代は、少しずつ終わりつつあります。

フリーランスビザが英語圏にはないという現実

ただし、ここで一つ、あまり語られていない事実をお伝えしておきます。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアといった英語圏の国には、フリーランス単体で取得できるビザが、基本的に存在しません。

「英語圏でフリーランスとして自由に働く」というイメージを持っている方は多いと思いますが、制度の現実はそれとは異なります。英語圏に住みたい場合、選択肢は大きく二つに絞られます。ひとつは、現地企業に雇用されて就労ビザを取得すること。もうひとつは、自分で法人を設立して起業家ビザ・事業ビザのルートを使うことです。フリーランスという個人の立場のまま、英語圏に長期で住み続ける制度上の入口は、ほぼ用意されていないのが実情です。

ここは、自分で事業を持っておくことの意味が変わってくるポイントだと感じています。雇用されるか、自分で法人を持つか。英語圏で暮らしたいなら、いずれにせよ「個人のフリーランス」という立場だけでは足りません。

フリーランスが海外で取れるビザの期限と永住権への接続

ビザには、必ず有効期限があります。デジタルノマドビザは1年から2年程度の期間で設定されている国が多く、国によっては更新ができない、あるいは更新条件が厳しいケースもあります。「ビザが切れたら帰国せざるを得ない」というリスクは、常に頭に入れておく必要があります。

もし永住権の取得まで視野に入れているなら、そのビザが永住権へのルートにつながっているかどうかを、事前に調べておくことをおすすめします。ビザの種類によっては、何年住み続けても永住権にはつながらない設計のものもあります。ビザ制度は国によって内容が異なり、変更される可能性もあります。この記事で触れている期間や条件はあくまで目安としてお伝えするものであり、最新・正確な情報は必ず各国大使館や専門家にご確認ください。

3. フリーランスの海外移住と税金

電卓とユーロ紙幣が置かれた税金計算のイメージ

フリーランスの海外移住と非居住者の課税ルール

海外に移住して日本で海外転出届を出すと、税務上「非居住者」という扱いになります。非居住者になると、日本の所得税の課税対象となる範囲が変わり、原則として「国内源泉所得」のみが課税対象になります。

ここで論点になるのが、日本のクライアントから継続的に報酬を受け取っているフリーランスの場合です。その報酬が国内源泉所得に該当するかどうかは、契約の形態や業務の実態によって判断が分かれるケースがあります。海外移住と税金という記事でも、非居住者の課税ルールについて詳しく整理しています。フリーランスとして海外移住を考えている方は、あわせて確認しておくといいと思います。

フリーランスの海外移住で二重課税を避けるための基本

移住先の国でも、その国の税制に基づいて税金が発生する場合があります。日本と移住先、両方の国で同じ所得に課税されてしまう、いわゆる二重課税の問題です。

これを避けるための基本として押さえておきたいのが、租税条約の有無です。日本と移住先の国との間に租税条約が結ばれているかどうかで、外国税額控除など、二重課税を回避する仕組みが使えるかどうかが変わってきます。個人事業主として海外で活動する場合の税務の実務については、別の記事でさらに詳しく扱う予定です。

このセクションは税制の論点を整理するものであり、具体的な税額計算や申告方法を案内するものではありません。個別の状況については、国際税務に詳しい税理士へ相談することをおすすめします。

4. 海外でフリーランスの仕事をどう取るか

壁に飾られた世界地図

フリーランスが海外で日本語圏の仕事を続けるパターン

海外に住みながら、日本語圏の仕事をそのまま続けるパターンがあります。クラウドワークスやランサーズといったクラウドソーシングサービス、SNS経由での受注、これまでのクライアントとのリモート継続などです。

このパターンの強みは、言語の壁がないことです。日本語で仕事を受け、生活コストの低い国に住むことで、手元に残る金額が増えるという計算も成り立ちます。時差をうまく活かせば、日本のクライアントが眠っている間に作業を進め、日本の朝までに納品するといった働き方も可能になります。

フリーランスが海外のプラットフォームを使うパターン

もう一つの道が、Upwork、Fiverr、Toptalといった海外のプラットフォームで案件を取っていくパターンです。こちらは英語力が前提になります。

プロフィールの作り込みと、実績の積み重ねが重要になります。単価は案件によって幅があり、日本語圏の案件よりも高単価な仕事に出会える可能性もありますが、世界中のフリーランスと競争することになるため、参入のハードルは日本語圏より高くなる傾向があります。

フリーランスの海外での仕事に伴う時差と通信環境の現実

実務面で見落とされがちなのが、時差と通信環境です。ヨーロッパと日本の間には7時間から8時間程度の時差があり、リアルタイムでのミーティングが難しい場面が出てきます。東南アジアであれば時差は少ないものの、国やエリアによって通信環境にばらつきがあります。

こうした点は、移住先を決める前に調べておくべき、地味だけれど実務的に重要なポイントです。

5. 海外でフリーランスのままでいいのか|構造的な限界

ノートとペンが置かれたプランニングのイメージ

フリーランスの時間売りモデルの天井

海外でフリーランスとして働き続けることは、選択肢として十分に成立します。ただ、正直にお伝えしておきたい現実もあります。フリーランスという働き方には、構造的な限界があるということです。

フリーランスの多くは、自分の時間を切り売りするモデルで成り立っています。月の稼働時間には限りがあり、単価を上げるにも限界があります。海外に住みながら日本のクライアントの仕事を受け続けるという働き方自体は問題なく成立しますが、「自由」と「安定」を両立させることは、決して簡単ではありません。案件が途切れれば収入はゼロになり、収入の天井は、いつか必ず見えてきます。

フリーランスの先にある選択肢

だからこそ、僕は「フリーランス」という働き方を、ゴールではなく通過点として捉えることをおすすめしています。

その先にある選択肢はいくつかあります。ひとつは、単価を上げて上流の仕事にシフトすることです。制作の代行業務から、コンサルティング、マーケティングの顧問業務へ。関わる領域が上流になるほど、単価も上がりやすくなります。フリーランスの単価を上げる方法で、単価アップの具体的な考え方を扱っています。

もうひとつは、自分自身のサービスや商品を持つことです。時間を切り売りする働き方から抜け出し、仕組みとして売上が立つ状態を作っていく方向性です。そして、事業の規模が大きくなってきたら、法人化して事業を広げるという選択肢も見えてきます。海外で会社を設立する方法で、法人化の考え方を整理しています。

フリーランスは、ゴールではなく通過点です。いずれの道を選ぶにしても、事業を育てるには時間がかかります。短期間で一気に、を狙うものではなく、地道に積み上げていく。この姿勢があってこそ、フリーランスの先にある選択肢は、現実のものになっていきます。

フリーランスが海外で働くために|まとめ

最後に、要点を3つに整理します。フリーランスが海外で働くこと自体は可能ですが、ビザの壁があります。特に英語圏には、フリーランス単体で取得できるビザがほとんど存在しません。税金については、非居住者になった場合の課税ルールを理解し、移住先の国の制度もあわせて事前に調べておくことが欠かせません。そして、フリーランスという時間売りのモデルには、いつか天井が来ます。フリーランスの先に、事業を持つという選択肢も視野に入れておいてください。

パソコン一台で完結する自由さと、住む場所を自分で選び続けられる自由。この二つを両立させるために、まずは知っておくべき現実を、今日整理できたのではないかと思います。

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