移住体験談

オランダ移住を子育てしながら実現|英語コーチが日本との2拠点生活を始めるまで

「子育てしながらオランダ移住なんて無理だろう」と思っていた方に、ぜひ読んでほしい体験記があります。英語教師として日本でキャリアを積み、結婚・出産・子育てを経た野口さんが、体調を崩したことをきっかけに「今しかない」と決意。英語コーチング事業を立ち上げ、オランダ移住の第一歩として2拠点生活を実現するまでの道のりをまとめました。

今回の体験者

野口さん

野口さん

日本で英語教師として働きながら子育てをしていた野口さん。体調を崩した療養中に「健康で自分がやりたいことができる時間は、思っているよりずっと短い」と気づき、若い頃からの夢だったオランダ移住へ動き出した。英語のスキルをコーチング事業へと転換し、3月に開始して同年7月には収入が大きく伸びる成果を達成。現在はオランダと日本の2拠点生活を送りながら、英語コーチとして活動を続けている。

日本とオランダを行き来しながら、英語コーチングの仕事をしている。1年前の自分にそう言っても、きっと信じなかっただろうと思います。

子育て、英語の仕事、日々の生活。それだけで精一杯だったあの頃に、海外移住なんて夢のような話でした。でも今、私はオランダで空を見上げながらこれを書いています。何かが劇的に変わったというより、ずっとあきらめていた夢が「本当に実現できるんだ」と気づいた。そんな感覚に近い変化でした。

1. 「夢の夢」だと思っていた私

オランダ・アムステルダムの運河沿いの街並み

若い頃、イギリスに留学したことがありました。その頃に心に描いた夢が「いつか世界中を旅しながら暮らしたい」というものでした。ヨーロッパの街を歩き、異なる文化の中に身を置いて、もっと大きな世界を生きてみたい。あの時の高揚感は、今でも鮮明に覚えています。

でも、帰国してからの人生は、その夢とは少し違う方向へ進んでいきました。英語の先生として働き始め、結婚して、子どもが生まれて。毎日の生活が積み重なっていくうちに、世界がどんどん遠くなっていく気がしました。

英語を教える仕事は好きでした。でも、レッスン単価は時間で決まる仕組みでした。1時間教えたら1時間分の収入。それ以上でも、それ以下でもありません。働ける時間には上限があり、子育てをしながらだとなおさらです。「もっと稼ごう」と思っても、どこかで頭打ちになる感覚がずっとありました。

それ以上に、気持ちの奥のほうでくすぶっていたのは「オランダに住みたい、ヨーロッパで暮らしたい」という気持ちでした。インスタグラムでヨーロッパに移住している日本人の投稿を見かけるたびに、心がざわざわしました。でも、その気持ちにすぐ「現実的じゃない」という声が重なりました。子どもがいる。仕事がある。言葉の問題がある。

結婚して子育てして、自分の仕事もして、という毎日が続いていたら、夢は「いつかできたらいいな」にとどまり続けました。夢の夢のままね、ずっと終わってたんです。「夢の夢」。実現する夢ではなく、夢の中だけにある夢。その言葉が、ずっと心の隅に置いてきた後悔のようなものを正確に表していました。

SNSは苦手でした。というより、アレルギー反応が出るくらい、というのが正直なところでした。自分の写真を投稿する、自分の考えを発信するということ自体が、どうも馴染めない。英語を教える力はあるのに、自分を外に出すことへの壁がありました。

そのままの状態が長く続きました。オランダ移住も海外移住も夢のまま。時間性レッスンの天井はそのまま。毎日は忙しく、変えようにも「どこから手をつければいいかさえ分からない」という感覚でした。

2. 体調を崩して気づいたこと

窓の外を見つめる女性

転機は、思わぬかたちでやってきました。体調を崩して、療養が必要になったんです。

体が動かせない時間を経験して、初めて分かったことがありました。健康で自分がやりたいことをできる時間は、自分が思っているよりもずっと短い。元気に動けることを当たり前だと思っていた。でも、実際にその当たり前が崩れてみると、今日と同じ日が明日も続く保証なんてないということが、ようやく腹の底まで落ちた瞬間でした。

療養中、海外移住についていろいろと調べるようになりました。そうした中で土居さんのインスタグラムにたどり着き、フォローしていたところ、土居さんから「一度セッションしませんか」と連絡をいただきました。そのセッションが、すべての始まりになりました。

でも、正直に言うと、土居さんとのご縁がつながる前に、すでに私の中には「今しかない」という感覚がありました。療養期間という、ある意味で立ち止まらざるを得ない時間が、逆に「動かないといけない」という気持ちを熟成させてくれたのです。

「いつかやろう」が積み重なって、気がついたら何年も経っていた。そういう経験は、多くの方に覚えがあるかもしれません。私の場合は、病気という想定外の出来事がその先送りを断ち切る役割を果たしてくれました。体が回復してきた時、頭の中には「今やらなければ一生やらない」という強い感覚がありました。

あの時に決断したから、土居さんとご縁がつながった。そのことを、今でも大切に思っています。

POINT|決断のタイミング

オランダ移住を「いつか」のままにしてきた私が動けたのは、「今しかない」という感覚が本当に腹の底まで落ちた時でした。条件が揃うのを待っていると、時間だけが過ぎていく。「まずは一歩」という決断が、その後の全部を動かしました。

3. 「英語コーチングはどうですか」と提案されて

ノートパソコンで作業する女性

土居さんとのセッションで、最初に出てきた提案が「英語コーチングをされたらいいですよ」という一言でした。

これは、私にとって想定外の言葉でした。英語を「教える」ことは長くやってきた。でも「コーチング」という発想は、自分の中には全くなかったんです。どうやってビジネス化していくかも、全く分からない状態でした。

英語教師と英語コーチの違いは何でしょうか。端的に言えば、アプローチの違いです。英語の先生は知識や技術を「教える」のが仕事です。一方、英語コーチは生徒の目標設定から伴走し、習慣づくりや自走できる力の醸成まで一緒に取り組みます。レッスン時間の中だけで完結するのではなく、毎日のルーティンの中に英語学習を組み込んでいく。そのプロセスをサポートするのがコーチングの本質です。

実際にコーチング型を取り入れてみたところ、生徒さんの反応が大きく変わりました。相手のやりたいことにコミットして伴走する。そのアプローチが、従来のレッスン型とは全く違う手応えをもたらしてくれたんです。

従来の時間性レッスンでは、レッスンの時だけ集中して終わり、というパターンになりがちでした。でも、コーチング型では生徒さんが毎日の状況を報告し、課題をこなし、スピーキングの録音を送ってきてくれます。そのやり取りを通じて、私も生徒さんの今の状態をリアルタイムで把握できるようになりました。変化がはっきりと見えるので、私自身の達成感も格段に変わりました。

ビジネスの仕組みとしても変化が生まれました。時間を売る型から、成果に伴走する型へ。1回いくらのレッスンではなく、3ヶ月間のプログラムとして価値を提供する。単価の構造が根本から変わったんです。以前の値段と今では、ものすごく違います。その一言に集約されるくらい、ビジネスモデルの転換は大きなものでした。

もちろん、最初から全部うまくいったわけではありません。集客の仕方、価格設定、ターゲットの絞り方。英語を教えるスキルはあっても、事業として動かすための知識は全くの別物でした。勢いだけでスタートしていたら、きっと違う方向に行っていた時期もあったと思います。

でも土居さんとの伴走で、「ピンポイントでその時に必要なことをアドバイスしてもらえた」ことが、最短距離でゴールに向かう力になってくれました。軌道修正が必要な時は「そっちじゃないですよ」とピンポイントで指摘していただける。だからこそ、最短でゴールに向かうことができたんです。

これは「雇われる道」ではなく、自分で事業を作る道です。時間を売るモデルから抜け出し、自分で価値の出し方と価格を決められる仕組みへ。英語という既存のスキルを、全く違う形に組み直せたことが、その後のオランダ移住への道を切り開いてくれました。

4. アレルギー反応レベルのSNS苦手を乗り越える

スマートフォンを操作する手元

事業を動かすには、集客の仕組みが必要です。土居さんの指導のもと、私が取り組むことになったのはSNSを使った発信でした。

ここで、大きな壁がありました。私はSNSが極端に苦手だったんです。

アレルギー反応が出るぐらい超苦手。インスタグラム、YouTube。自分を出して発信するということ自体に、強い抵抗感がありました。何もかも全くやったことのないことへのチャレンジでした。

では、どうやって乗り越えたのか。

最初に取り組んだのは、自分の頭の中にあるものを「言語化する」作業でした。英語を教えてきた経験の中で、自分が一番強みを発揮できるのはどの部分か。生徒さんにとって価値があるのは何か。それを言葉に落とし込む作業を、時間をかけてやりました。その結果、自分の中にすごく落とし込めて、ぶれなくなりました。

「ぶれなくなった」。この変化が大きかったと思います。自分が何者で、誰の役に立てて、何を提供できるのかがクリアになれば、発信するべき内容が見えてくる。何を発信していいか分からない状態では、SNSは単なる苦痛でしかありません。でも、軸が定まると、発信するべき言葉が自然に出てくるようになりました。

もう一つ、私が意識していたのは行動のスピードでした。

分からないことはすぐに聞く。やってみて違ったらまた聞く。PDCAを高速で回し続ける。土居さんには「行動量が桁違い」と言っていただいたこともあります。その行動量が、SNS苦手を乗り越える原動力になりました。

重要なのは、土居さんに提案されたからではない、という点です。SNS苦手を乗り越えたのは、自分の足で動いたからでした。伴走していただける環境はあった。でも、発信を続けたのも、質問を投げ続けたのも、試行錯誤を重ねたのも、すべて自分自身の行動でした。

軌道修正が必要な局面では、土居さんがピンポイントで指摘してくれる。でもその後を動かすのは自分自身です。自分で考えて、自分で動いて、自分で結果を作っていく。それが事業を作るということだと、このプロセスを通じて改めて実感しました。

SNSが苦手だった私が、自分の価値を言語化し、発信し、生徒さんを集められるようになる。その変化は、英語コーチングのスキルを磨くことと並行して起きていきました。苦手を克服しようとするのではなく、「発信するべき自分の軸」が先にできたことで、苦手意識を越えていけた。その順序が重要だったと思います。

5. オランダ移住と2拠点生活のいま

オランダの街並みと自転車

3月に土居さんのコンサルティングを始め、同年7月には収入が大きく伸びる成果が出ました。自分でも驚くほどの変化でした。

そして今、私はオランダと日本の2拠点生活を送っています。

オランダに行き、帰り、また行く。そのサイクルを回しながら、英語コーチングの仕事はどちらにいても変わらない質で続けることができています。本当に内容も濃さも変わらず提供できているというのを、実際にオランダに来てみて強く実感しています。場所が変わっても、コーチングの質はきちんと維持できる。その手応えが、2拠点生活への確信になっています。

東京にいてもオランダにいても、生徒さんに届く価値は変わらない。毎日の報告を受け取り、課題を返して、スピーキングの録音に対してフィードバックを送る。その仕事の流れは、どこにいても同じように成立します。これが、オンラインで仕事をすることの本質的な自由さです。

目指しているのは、現在の2拠点生活をさらに進め、いずれはオランダに完全移住することです。子育てをしながら、事業を動かしながら、その先の移住設計も同時に進んでいます。

ここで一つ大切なことを添えておきたいと思います。私の話は、スタートから短期間で変化が起きたように見えます。でも、それは「早く大きく稼ぐ」ことを目指したわけではありません。英語を教えるスキルはもともと持っていた。その土台の上に、ビジネスの仕組みを少しずつ乗せていった。焦らず積み重ねてきたから、今の状態があります。

土居さんがよく話していることがあります。「成長スピードを早めすぎると絶対に潰れる」。私自身の変化を振り返ってみても、その言葉の意味がよく分かります。既存のスキルと新しい仕組みを丁寧につなぎ、一歩一歩進んでいった。それが再現性のある変化につながりました。地道に積み上げていくことが、最終的には最も確実な道なのだと、自分の体験を通じて実感しています。

若い頃にイギリスに留学していた時の夢、「世界中を旅しながら暮らしたい」が、少しずつ現実に近づいています。

今年の初めは、こんなことが達成できるとは思っていませんでした。でも、どう進んでいけばいいかを学んでいくうちに、私が思い描いていたオランダ移住が「必ず達成できることなんだ」とすごく近くなった。遠くにあると思っていたものが、手の届く場所にある。それを、静かな実感とともに感じています。

POINT|野口さんの移住設計のポイント

① 今あるスキル(英語教師)を事業として再設計した。
② SNS苦手を乗り越えたのは「発信の軸が定まった」から。
③ 2拠点から段階的に、将来の完全移住へ向けて逆算している。

6. まとめ:オランダ移住体験から学んだこと

ノートに書き込む手元

私の体験談から浮かび上がることを、3つの学びとして整理してみます。

学び① 決断のタイミングは「準備が整ってから」ではない

「もう少し準備してから」「もう少し条件が揃ってから」を待っていると、時間だけが過ぎていきます。私が動き出せたのは、準備が整ったからではなく、「今しかない」という感覚が腹の底まで落ちたからでした。最初の一歩を踏み出す決断が、その後の全部を引き寄せました。

学び② スキルの棚卸しが、事業への橋渡しになる

私はゼロから新しいスキルを身につけたわけではありません。長年積み上げてきた英語指導の力を、コーチングという形に組み直した。「今のスキルでは無理」と諦める前に、そのスキルを別の切り口で見直してみることが大切です。自分の価値は、自分が思っているより多くの使い方があるのです。

学び③ SNS苦手でも、軸さえ定まれば発信できる

SNSが苦手だから発信できない。そう感じている方は多いと思います。私の場合、最初に取り組んだのは「自分の価値の言語化」でした。発信するべき内容が明確になれば、SNSは道具に過ぎません。苦手意識より先に、「何を伝えるか」を固めることが鍵でした。


「いつかできたらいいな」が「やっていける、絶対に達成できる」に変わった。その変化は、スキルや資金の問題ではなく、最初の決断と、正しい仕組みを知ったことによるものでした。

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