移住体験談

ニュージーランド移住を事業売却で実現|赤字2店舗をV字回復させた経営者ママの体験談

海外に出たい。でも事業を抱えている。そんな葛藤を抱える経営者は少なくありません。「事業を整理しないと移住できない」と分かっていながら、どこから手をつければいいかが見えず、時間だけが過ぎていく。ニュージーランド移住を考える方のなかにも、そうした状況にある方がいるのではないでしょうか。今回は、東京で2店舗を経営しながら赤字に追い詰められ、V字回復を経て黒字で事業を売却、2024年4月にニュージーランド移住を果たした清水さんの体験記をまとめました。

今回の体験者

清水さんのプロフィール写真

清水さん

子供2人のママ経営者。東京で2店舗を経営するなかで2店舗目が赤字に転落し、閉店も視野に入れながら追い詰められた時期を過ごした。土居さんとの出会いをきっかけに経営を立て直し、黒字の状態で事業を売却。2024年4月、2人の子供とともにニュージーランドへ移住した。

いまニュージーランドで子供たちと暮らしている私が、1年前まで赤字の店を抱えて途方に暮れていた、と言ったら信じてもらえるでしょうか。

「もう閉めてしまおう」と思った日がありました。借りてきたお金がどんどん減っていって、先が全く見えなくて。移住したい気持ちはずっとあったのに、事業がこの状態では誰にも渡せない。逃げるように手放すしかないと思っていた。

そこから、今の景色に辿り着くまでの話をさせてください。

※ビザ要件・移住手続きの詳細は時期・状況によって異なります。最新の正確な情報はニュージーランド移民局(Immigration New Zealand)等の公式機関や、専門家にご確認ください。

1. ニュージーランド移住の前にいた場所|2店舗経営と赤字の重圧

東京のモダンなオフィス街の街並み

東京で自分のお店を2店舗、経営していました。子供が2人いるママでもあって、仕事と子育てを同時に回していた時期です。

1店舗目は順調でした。それが自信になって、2店舗目を出すことにした。でも今思えば、あれは「調子に乗っていた」というか、ちゃんとした準備が足りていなかった。2店舗目を出してから、想定していたより経営がずっときつかった。忙しさも倍になったのに、うまくいかなくて。しかも1店舗目があるから、新しい方にも充分に関われない。ただただ出費だけが積み重なっていくという状態が続きました。

「お金がどんどん減ってく感じ。見切り発射しすぎたんだと思うんですけど……」

そう振り返るくらい、当時は本当に苦しかった。自分のお金がひたすら減っていくのを見ながら、でも何をどうすればいいか分からなくて。ビジネスの判断に迷い、家族のこともあり、頭の中がずっとざわざわしていました。

移住したいという気持ちはずっとありました。子供の言語のことが特に引っかかっていた。日本の教育のままでいいのかという疑問は、ずっと頭にあって。コロナ禍に「なんだこの国」と思った瞬間があって、「この国の外に出るってどうなんだろう」と考えたのが、移住を本格的に意識したきっかけでした。

英語が多少話せることが、自分にとっての大きなチケットだと感じていました。10代で英語環境に入った人と、大人になってから学んだ人では、やはり全然違う。子供たちがネイティブレベルの英語を身につけられたら、それだけで人生の選択肢が大きく広がる。

日本の学校は、自分たちが子供のころと中身がほとんど変わっていないと感じていました。学校公開に行っても、世の中はものすごく変わっているのに、学校の中だけがまるで時が止まっているように見えた。「私たちの時代とこの中はものすごい変わってるのに、学校の中だけ江戸みたいな感じ」という清水さんの言葉が印象的です。それが意味ないなとずっと思っていたそうです。

でも現実は、2店舗目が赤字のまま。「売却したい、海外に行きたい」という気持ちはあるけれど、赤字の事業は誰にも渡せない。ゴールが見えない焦りと、お金が減り続けるプレッシャーと、子育ての責任とが重なって、どんどん追い詰められていきました。

ニュージーランドを選んだのは、子供たちの様子がひとつのきっかけです。学校に行きたくない時期があって、その時に「ニュージーランドはのんびりしていて、そういう子供を受け入れてくれる」という話を聞いた。なんとなくひらめいたという感じだったんですが、調べれば調べるほど自分たちに合っていると感じていきました。

でも、そこに辿り着くための「事業の整理」が、当時の私には全く見えていなかった。

2. ニュージーランド移住を夢見ながら「投げやり」の日々|M&Aに逃げようとした私

経営に行き詰まる女性

2店舗目の赤字が続く中で、私の気持ちはどんどん投げやりになっていきました。

「赤字だから、もう閉じてしまえばいい」。そう思うようになったのは、ある意味でSOSのサインだったと思います。もう考えたくなかった。判断することも、先を読むことも、全部疲れてしまって。「なくしちゃえばいい」という感覚になっていた。

そこで相談したのが、M&Aの専門家でした。「今すぐ手放したい」「やめたい」という気持ちで相談に行ったんですが、もちろんうまくいきませんでした。赤字のまま売るということが、いかに難しいか。そもそも誰も買いたくない状態だったんです。移住の資金を得るためにも売却したいのに、2店舗目が赤字のままでは売れない。そのことはわかっていたはずなのに、投げやりになっていた私は、出口を探すことよりも「逃げる」ことばかり考えていました。

事業を持ちながら移住を考える、というのはとてもリアルな葛藤です。「移住したい」という夢と、「事業をどうするか」という現実が、同時にのしかかってくる。移住の準備をする時間的・精神的な余裕もないまま、毎日の経営に追われ続ける。

いま振り返ると、あの時の私に足りていたのは、「正しい順番で考える力」だったと思います。赤字だから閉じる、ではなく。赤字を立て直してから売る。その順番が見えていれば、もっと違うアプローチができたはずなのに、追い詰められているとそれが見えなくなる。

「閉めようか、それとも閉めて売るかみたいな状態で、瀬戸際だった」と後から振り返りましたが、本当にその通りでした。出口が見えない、どこに相談していいかも分からない、そんな状態でした。

そんな時に、土居さんと出会いました。

3. ニュージーランド移住への転機

テーブルの上のコーヒーカップと穏やかな相談風景

土居さんに経営の相談をしたのは、目黒に店舗を出してちょっとしたころでした。移住を考えていたので、会社の売却についても相談したかった。でも当時の私の状態といえば、もうとにかく頭がいっぱいで、冷静に話せるような余裕もなかった。

最初に言われたのが「いったん落ち着いて、整理しましょう」という一言でした。

その言葉が、本当にありがたかった。M&Aに相談した時は「赤字だからどうにもならない」という感じでしたが、土居さんは違いました。

「新しく事業を作るところじゃなくて、まずはこれを立て直すところからですね」。土居さんのその一言で、焦って新しいことに飛びつこうとしていた自分に気づけました。経営者の目線で、今ある課題に向き合う順番を整理してくれたんです。

「こういうやり方があるよって色々教えてくださって、結果的にはアドバイス通りに、補助金みたいなところも使いながらV字回復するとこまで持っていけた」

活用できる制度や補助金があることも教えてもらい、経営を立て直していく道筋がようやく見えてきた。

土居さんについて聞かれると、こう答えるしかありません。

「愛があるんですよ。この人をどうにかしようって思ってくれてるのが、もうめちゃくちゃわかって。自分の思い通りにしようとかこの人を変えてやろうとかじゃなくて、この人の人生を本当に良くしてあげようという思いのある人」

同じ経営者で本音を話せる相手は、なかなかいませんでした。特に男性の経営者だと自分の話をする人が多い中で、土居さんは聞く力があって、共感がとても上手だと感じました。あんまり厳しすぎず、ガチガチのビジネス感でもないけど、いつの間にか導いてもらっている、そんな感覚です。自分自身もコーチングの仕事をしているからこそ、そのスキルの高さを客観的に実感しました。しょうもないことを言っても笑いで受け止めてくれるし、冷静にさせてもらえる。それが当時の精神状態では、本当に救いでした。

経営だけでなく、移住のこと、子供の教育のこと、お金の話も含めた多方面の相談ができる場所があった、というのが私にとってとても大きかったです。

「人生1回で何か大きなことにチャレンジしたいけど、何をどうしたらいいかわからないみたいな人とか、一緒に考えてくれる人が欲しいなという人には、すごくいいと思う。メンターみたいな感じ」

4. 赤字からV字回復、そして黒字売却

ビジネスの成功を祝う握手

土居さんとの相談を経て、経営の立て直しが始まりました。

焦って新しいことをしようとするのをやめて、まず2店舗目の経営課題に向き合った。補助金や融資を活用しながら、手を打ち始めた。最初はどうなるか全く分からなかったけれど、じわじわと状況が変わっていきました。

そしてV字回復。売却に向けて動けるタイミングが来た。

「イメージよりもっと高い金額で売却することができた」

黒字で堂々と渡せたのは、本当にすっきりしました。赤字のまま投げ出すのではなく、黒字の状態で、自信を持って手渡せた。その達成感は、金額以上のものでした。

あれだけ「閉めてしまいたい」「早く逃げたい」と思っていた事業が、黒字で売れた。V字回復には明確なターニングポイントがありました。それまで「行政の書類ってめんどくさい」と敬遠していた補助金の手続きにもきちんと取り組み、資金面での土台を作った。「やってよかった」と今なら笑って言えるのは、逃げずに向き合ったからこそです。

振り返ると、「焦りで大きく動いた」ことは一度もありませんでした。経営の課題を一つひとつ整理して、地道に立て直した。短期間で劇的に変えようとしたわけではなく、正しい順番で手を打ち続けた結果が、V字回復でした。

逃げの売却ではなく、立て直してから売る。その一手が、移住の可能性を広げてくれました。

2024年4月、私は2人の子供とともにニュージーランドへ移住しました。

移住の準備は、全部大変でした。ビザの手配、子供の学校のこと、引っ越しの手配。ゴールが決まった状態で、全てが同時進行。うまくできるのかどうかもわからないという怖さはありました。それでも、一つひとつ前に進みました。

5. ニュージーランド移住のその先へ|事業を立て直す力が国を選ぶ力になる

ニュージーランドの緑豊かな自然と家族

ニュージーランドに来て、清水さんが最初に思ったのは「日本にすごく似ている」ということだったそうです。

「英語なだけだなって、すごい思った」

もちろん英語という言語の壁はあります。でも、街の雰囲気、人の温かさ、清潔さ、治安の良さ。「日本に似ている」という第一印象は、子供2人を連れての移住でも、大きな安心感につながりました。

ニュージーランドについて聞かれると、清水さんはこんな言葉で話してくれました。

「情報量も少ないし、自然は多いし、人はやっぱり洗練されているし、DXもものすごく進んでいるので、とても暮らしやすい。治安もめっちゃいいんですよね。のんびりしたかったりする人には、もうとてもおすすめです」

子供たちが学校に行きたくない時期があって、ニュージーランドの「のんびりとした受け入れ方」を聞いてひらめいたと話していた清水さん。実際に来てみて、その印象は正しかったようです。

ここで考えたいのが、事業を立て直す力と、移住する力は、根っこが同じだということです。

清水さんが経営難から抜け出したのは、「投げやりに逃げる」から「正しい順番で向き合う」への転換でした。赤字だから閉じる、ではなく。赤字を立て直してから、誇りを持って渡す。その力は、「何が本当に必要か」を見極め、一つひとつ積み上げていく力です。

それは移住においても同じです。「今の状況から逃げるために海外に行く」と「事業も生活もきちんと整理して、選んで移住する」では、到着した場所での土台が全く違う。清水さんがニュージーランドで子供たちと暮らしているのは、逃げ切ったからではなく、立て直して自分の足で立ったからです。

海外移住は、人生を変える選択です。その選択が本当の自由になるかどうかは、「自分で立てるかどうか」にかかっていると土居さんは繰り返し語っています。雇用に依存せず、場所に縛られず、自分の力で事業を回せる状態を作ること。それが先で、住む国は後から選べる。清水さんの体験はまさに、その順番の正しさを証明しています。

ニュージーランドは、移住先の選択肢として独特の魅力があります。英語圏でありながら日本人に馴染みやすい環境、充実したインフラとDX化、穏やかな治安、子供の教育環境。「のんびり」という言葉の裏に、実はとても整った生活基盤があります。

ただし、ニュージーランド移住にも、ビザの選択や要件の確認は不可欠です。技能移民・起業家・投資家など複数のルートがあり、家族構成や職歴・資産状況によって最適なルートが異なります。「何となく行きたい」で動くのではなく、自分に合ったルートを最初から設計することが、清水さんの体験を通じて得られる最大の学びです。

6. まとめ|ニュージーランド移住を考えているあなたへ

ニュージーランドの街並み

清水さんの体験から、3つの学びを整理します。

赤字のまま逃げるより、立て直してから動く

清水さんが最初に相談したM&Aの専門家には、赤字のままでは話が進まなかった。当然です。事業を誰かに渡せる状態にする、それが先でした。土居さんの「いったん落ち着いて考えましょう」という一言が、焦りから冷静さへと引き戻してくれました。「正しい順番で手を打つ」という視点が、移住の可能性を開きました。

経営者の「自分で動く力」が、移住の土台になる

事業を持っている人が移住を考える時、よく「事業をどうにかしてから」と後回しにしがちです。でも清水さんのケースは逆でした。事業の立て直しに向き合ったことが、結果として移住の資金と自信の両方をもたらした。稼ぐ力、立て直す力、やり切る力は、移住先でも必ず活きる。その力を育てることが、本当の意味での移住準備です。

のんびりを求めるなら、ニュージーランドはちょうどいい

清水さんは言っていました。「何を求めているかによる」と。のんびりしたい、子供ものびのびと育てたい、英語環境を与えたい、そういう方向性であれば、ニュージーランドはとても合っている選択肢です。治安、DX化、自然環境、日本との文化的近さ。初めての海外移住先として、ハードルが高くない国でもあります。

ニュージーランド移住は、逃げ場ではなく、選んだ場所です。清水さんが黒字で事業を手放し、子供たちと一緒に移住できたのは、逃げずに向き合ったからです。

移住したい気持ちがある。でも今の状況がある。そのどちらも本当のことで、その両方と向き合える人に、清水さんはこんなメッセージを残しています。

「人生1回で何か大きなことにチャレンジしたいとか、やりたいことがまだちょっと決まってないけど一緒に考えてくれる人が欲しいとか、自分で成功している人はどこにいるのかなっていう人には、すごくいいと思う」

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