子どもの教育環境を変えたい。海外のインターナショナルスクールに通わせたい。そう考え始めたとき、多くの保護者が最初にぶつかる壁が「いったい費用はどのくらいかかるのか」という疑問だ。
日本国内のインターナショナルスクールの情報はインターネット上に数多く見つかる。しかし、海外に移住してインターナショナルスクールに通わせる場合の国別の費用データは、ほとんど出回っていないのが実情だ。この記事では、ヨーロッパ・アジア・オセアニアの主要国について、インターナショナルスクールの費用(年間授業料)の相場を国別に整理する。あわせて費用を左右する要素と、学費だけで移住先を選ぶことの落とし穴についても解説する。
目次
※本記事の金額は2026年7月25日時点の為替レート(1ユーロ=186円、1ポンド=218円、1米ドル=164円、1マレーシアリンギット=40円、1豪ドル=114円、1スイスフラン=200円、1タイバーツ=4.9円)で換算している。為替相場は日々変動するため、最新の金額は各校公式サイトでご確認ください。
1. インターナショナルスクールの費用は「国」で大きく変わる

インターナショナルスクールの費用は、国・都市・カリキュラムによって年間50万円台から500万円以上まで、非常に幅がある。「インターの費用はいくら」とひとことで語れるものではなく、どの要素で差が生まれるのかを先に押さえておくことで、このあとの国別データも正しく読み解けるようになる。
学費の内訳を知る(授業料・入学金・施設費・教材費)
インターナショナルスクールの費用というと授業料(Tuition Fee)だけをイメージしがちだが、実際にはそれ以外にも複数の費用がかかる。入学時に一度だけ支払う入学金・登録料(Registration Fee)、学校の設備投資に充てられる施設維持費(Capital Levy)、教材費、スクールバス代、制服代、課外活動費などだ。これらを合計すると、公表されている年間授業料に対して10〜20%程度上乗せになるケースが多い。年間授業料だけを比較して「安い・高い」を判断すると、実際の負担額を見誤ってしまう。
カリキュラムで費用が変わる(IB・英国式・米国式)
同じ国、同じ都市であっても、採用しているカリキュラムによってインターナショナルスクールの費用は変わる。IB(国際バカロレア)の認定校は、認定基準の維持や教員研修にコストがかかるため、学費が高めに設定される傾向がある。英国式(IGCSE・Aレベル)は国によって価格帯の幅が特に大きく、米国式(AP)は北米色の強い都市部でやや高額になりやすい。同じ国の中でもカリキュラムの違いによって、年間の学費に50万〜100万円ほどの差が出ることも珍しくない。
2. ヨーロッパのインターナショナルスクール費用

ヨーロッパは、教育移住を考える保護者の間でも人気の高いエリアだ。インターナショナルスクールの費用データという点では、ヨーロッパ主要国の情報がもっとも整理されている。
オランダのインターナショナルスクール費用
オランダには、政府の認定を受けた「公教育としてのインターナショナルスクール」があり、年間の授業料はおよそ6,000〜9,200ユーロ(約112万〜171万円)に抑えられているケースがある。学年が上がるほど授業料も高くなり、高等部では9,000ユーロ台に達する学校もある(AICS公式Fee Schedule 2025/2026参照)。一方、完全私立のインターナショナルスクールは学校ごとの差が非常に大きい。初等部で年間2万〜2万8,000ユーロ(約372万〜521万円)、中等部で2万3,000〜3万4,000ユーロ(約428万〜632万円)、IBディプロマ課程になると3万2,000〜3万6,000ユーロ(約595万〜670万円)に達する学校もある。アムステルダムの著名校を例に取ると、初等部の時点で2万7,000ユーロを超えるケースもあり、同じ都市内でも学校選びで年間100万円以上の差が出ることは珍しくない(ISA・BSA各校公式Fee Schedule 2026/2027参照)。
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イギリスのインターナショナルスクール費用
ロンドンのインターナショナルスクールは、世界でも指折りの学費水準として知られる。年間授業料は初等部でおよそ2万4,000ポンド(約523万円)、中等部・IBディプロマ課程になると3万8,000ポンド(約828万円)前後まで上がるのが一般的で、学校全体で見ると1万8,000〜4万2,000ポンド(約392万〜916万円)というレンジになる。上位校では入学金や施設維持費を含めると、年間3万〜4万ポンド(約654万〜872万円)を超えることも珍しくない。
フランス・ドイツ・スイスのインターナショナルスクール費用
フランス(パリ)は、幼稚園部門で年間1万6,000ユーロ(約298万円)程度から、リセ・IBディプロマ課程になると3万8,000ユーロ(約707万円)に達する学校もあり、多くの家庭は年間2万2,000〜3万2,000ユーロ(約409万〜595万円)を目安に学校選びをしている。ドイツは都市によって幅が大きく、ベルリンには初等部で年間8,000〜1万3,000ユーロ(約149万〜242万円)程度の比較的抑えめな学校がある一方、ミュンヘンやフランクフルトの上位校では初等部で2万1,000〜3万ユーロ(約391万〜558万円)、中等部・IBディプロマ課程で3万4,000ユーロ(約632万円)を超えるケースもある。そしてスイスは世界でも屈指の学費水準で知られる国だ。チューリッヒの日帰り通学制インターでも、初等部で年間2万8,000〜3万3,000スイスフラン(約560万〜660万円)、中等部で3万6,000〜4万スイスフラン(約720万〜800万円)に及び(ZIS公式Fee Schedule 2026/2027参照)、寮付き(ボーディング)の名門校になると年間8万〜13万スイスフラン(約1,600万〜2,600万円)を超え、最高峰の学校では15万スイスフラン台(約3,000万円超)に達する例もある。
※フランス・タイ・シンガポールの学費データは二次集計メディアの情報を参照しており、学校公式の一次ソースとは誤差がある場合がある。最新・正確な学費は各校公式サイトのFee Scheduleをご確認ください。
3. アジアのインターナショナルスクール費用

アジアも、教育移住先として検討されることが多いエリアだ。ヨーロッパに比べると学費水準は幅広く、選択肢の多さが特徴になる。
マレーシアのインターナショナルスクール費用
マレーシア(クアラルンプール近郊)は、近年日本人の教育移住先として注目度が高まっている国のひとつ。インターナショナルスクールの年間費用は、初等部で3万5,000〜8万5,000リンギット(約140万〜340万円)、中等部前期で6万〜10万リンギット(約240万〜400万円)、中等部後期(IGCSE相当)で7万〜11万リンギット(約280万〜440万円)、シックスフォーム・IBディプロマ課程になると8万〜13万リンギット(約320万〜520万円)まで上がる。「マレーシアは学費が安い」というイメージが先行しがちだが、上位校では初等部の時点で8万リンギット台に達するケースもあり(GIS公式Fee Schedule参照)、学費レンジはロンドンや香港の中堅校に迫る水準になっている点は見落とされやすい。
タイ・シンガポールのインターナショナルスクール費用
タイ(バンコク)のインターナショナルスクールは、初等部で年間50万〜85万バーツ(約245万〜417万円)、中等部で70万〜95万バーツ(約343万〜466万円)、高等部・IBディプロマ課程で85万〜115万バーツ(約417万〜564万円)というレンジが目安とされている。シンガポールはアジアの中でも学費水準が高いことで知られ、年間2万5,000〜4万5,000米ドル相当(約410万〜738万円)程度とされる。バンコクとシンガポールを比べると、シンガポールの方が2〜3割ほど高い傾向にある。
※タイ・シンガポールの学費データは二次集計メディアの情報に基づいており、学校公式PDF等での裏取りが完了していない。実際の学費は学校・学年によって上記レンジを超えるケースもあるため、候補校の公式Fee Scheduleで必ず最新の金額を確認してほしい。
4. オセアニアのインターナショナルスクール費用

英語圏で教育水準が高いオセアニアも、教育移住の候補として名前が挙がりやすい地域だ。
オーストラリア・ニュージーランドのインターナショナルスクール費用
オーストラリア(シドニー)のインターナショナルスクールは、幼児部門で年間1万2,000〜2万2,000豪ドル(約137万〜251万円)、初等部で1万8,000〜3万5,000豪ドル(約205万〜399万円)、中等部前期で2万8,000〜4万2,000豪ドル(約319万〜479万円)、後期・IBディプロマ課程で3万2,000〜5万豪ドル(約365万〜570万円)というレンジ。上位校になると初等部だけで4万2,000〜5万豪ドル(約479万〜570万円)、中等部で5万豪ドル台後半(約600万円超)に達することもある。
一方ニュージーランドは、公立校の教育水準の高さで知られる国だ。あえてインターナショナルスクールを選ばず、現地の公立校に子どもを通わせる教育移住者も少なくない。費用だけでなく、現地の公教育の質も含めて検討する視点が、オセアニアではとくに重要になる。
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5. インターナショナルスクールの費用を左右する5つの要素

ここまで国別の相場を見てきたが、同じ国の中でも学校によって費用は大きく異なる。インターナショナルスクールの費用を左右する要素は、主に5つある。
① カリキュラムの種類 IB認定校は認定基準の維持や教員の質にコストがかかるため、学費が高めに設定される傾向がある。英国式は国による価格帯の幅が大きく、米国式は北米色の強い都市部でやや高額になりやすい。
② 立地(都市部か郊外か) 同じ国・同じ学校ブランドでも、首都圏と地方都市では年間50万〜100万円ほどの差が出ることがある。
③ 学年(初等部か中等部か) 一般的に、中等部・高等部の方が初等部よりも学費は高い。専門科目の教員や実験設備、進学指導にかかるコストが上乗せされるためだ。
④ 言語プログラム 英語のみのプログラムに対して、バイリンガル(英語+現地語など)プログラムは追加コストがかかる学校もある。
⑤ 学校の規模と歴史 施設が充実した老舗の大規模校ほど学費は高くなりやすい一方、新設校は開校キャンペーン価格を設定しているケースもある。
これらの要素を踏まえると、「国」の相場だけでなく「その国のどのタイプの学校を選ぶか」によって、実際の負担額は大きく変わってくることが分かる。
6. インターナショナルスクールの費用だけで移住先を決めてはいけない理由

ここまで国別の相場を見てきたが、インターナショナルスクールの費用だけを比較して移住先を決めるのは危険だ。
まず、学費と生活費はセットで考える必要がある。マレーシアやタイは学費だけを見ると割安に感じられるが、家賃や食費、医療保険、一時帰国のための渡航費まで含めたトータルコストで見ると、想定していたほど差が出ないケースも珍しくない。逆にオランダのように学費が高めに見える国でも、児童手当のような公的支援があり、実質的な家計負担が下がる場合もある。
そしてもうひとつ、費用だけで妥協して心が喜ばない国を選ぶと、長続きしないという現実がある。教育移住は数ヶ月で終わるものではなく、子どもが卒業するまでの5年、10年という長期戦になる。学費の安さだけで選んだ国で、親自身がストレスを抱えたまま暮らし続けるのは、本末転倒だ。
費用は確かに大事な判断材料だが、それだけで住む国を決めるのではなく、自分と家族が長く暮らしたいと思える場所を選ぶことが、教育移住を成功させる土台になる。
そのうえで、住む国を自由に選べるかどうかは、結局のところ「場所に縛られずに稼ぐ力を持てているか」にかかっている。雇われる働き方のままだと、会社の都合や為替の変動に生活が左右されやすく、学費が上がった年に住む国を変えるという選択肢を取りづらい。もちろん、これは短期間で一気に実現できるものではなく、地道に積み上げていくものだ。まずは自分の力で事業を作り、継続的に稼げる仕組みを整えることが、教育移住という長期プロジェクトを支える土台になる。
7. インターナショナルスクールの費用に関するよくある質問

まとめ|インターナショナルスクールの費用は「国」より「暮らし全体」で考える
インターナショナルスクールの費用は、国、カリキュラム、立地によって大きく異なる。イギリスやスイスは世界でも高額な水準にあり、マレーシアやタイには比較的抑えられた選択肢もある。ただし、学費の数字だけを見て移住先を決めるのではなく、生活費まで含めたトータルコストと、自分と家族がその国で長く幸せに暮らせるかどうかを軸に考えることが、教育移住を成功させる鍵になる。2026年現在、教育移住を検討する家庭は増えているが、費用の情報だけが独り歩きしないよう、暮らし全体を見据えた判断をしていきたい。
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