仕事・ビジネス

海外でゼロから事業を作る6ステップ|収益化までのロードマップ

「海外で起業したい」。そう思ったとき、最初にぶつかる壁は「何から始めればいいか分からない」ことだと思います。国選び、ビザ、収益化、法人化。情報を集めれば集めるほど選択肢が増えて、かえって動けなくなっていく人を、私はこれまで何人も見てきました。

この記事では、実際に海外で事業を営む経営者たちの歩みをもとに「6つの段階」として整理したロードマップを紹介します。ただし、これは全員がこの通りに進む決まった手順ではありません。特にスケールの手段や仕組み化の方法は人によって異なります。あくまで一つの道筋として、正しい方向に積み上げれば個人でも到達できるということをお伝えしたいと思います。

ご注意:本記事の税率・ビザ制度等の情報は執筆時点のものです。各国の制度は変更される可能性があるため、実際の申請・手続きの前に必ず各国政府機関・専門家へ最新情報をご確認ください。

1. 海外起業のロードマップ全体像|6ステップ

ノートに計画を書き込むデスクの様子

海外起業の始め方を整理すると、大きく6つの段階に分けて考えることができます。①行きたい国を定義する、②収益構造を見直す、③事業をスケールさせる、④仕組み化で効率を上げる、⑤法人を作る、⑥事業を多角化する。

ただし、これは「全員がこの通りに進む」という決まった道ではありません。特に③と④は人によって手段がまったく異なります。マーケティングで価値を出す人もいれば、自分の専門技術を軸にスケールする人もいる。AIエージェントで仕組み化する人もいれば、信頼できるパートナーと組んで体制を作る人もいる。この記事では私自身が見てきた中で再現性の高い一例として、③にマーケティング、④にAIエージェントを取り上げていますが、あくまで選択肢の一つとして読んでください。

ステップ 内容 備考
ステップ1 行きたい国を定義する
ステップ2 収益構造を見直す
ステップ3 事業をスケールさせる 例:マーケティング ※人によって手段は異なる
ステップ4 仕組み化で効率を上げる 例:AIエージェント ※人によって手段は異なる
ステップ5 法人を作る
ステップ6(オプション) 事業を多角化する

大事なのは、この6段階を一直線に進むものだと思わないことです。実際には行ったり来たりしながら、段階的に積み上がっていきます。①②の土台づくりと⑤⑥の発展フェーズは多くの人に共通しますが、③④の「どうやってスケールさせるか」は、その人の強みや事業の性質によって最適な手段が変わります。

私がこのロードマップを設計するときに大切にしているのは、逆算思考です。海外移住は「行ってから考える」ものではなく、最初から永住権まで見据えたルートを逆算して設計するべきだと考えています。事業の作り方も同じで、最終的にどこまで到達したいのかをイメージしたうえで、今どのステップにいるのかを把握することが、遠回りを避ける一番の近道になります。

2. ステップ1:行きたい国を定義する

デスクに置かれた地球儀

「心が増える国」を基準に選ぶ

海外起業の始め方として最初にやるべきことは、行き先の国を決めることではなく、「なぜその国なのか」を言語化することです。私がいつもお伝えしているのは、節税で国を選ぶな、心が増える国を選べということです。

税金がゼロに近い国に行けば、たしかに手元に残るお金は増えるかもしれません。しかし、それで幸せになれるかどうかはまったく別の問題です。自分がどんな暮らしをしたいのか、どんな文化に囲まれていたいのか、家族にどんな時間を過ごしてほしいのか。税率や物価だけでは測れない価値が、住む国にはあります。ここを妥協して決めた移住は、長続きしないケースを何度も見てきました。

ビザ制度から逆算する

行きたい国のイメージが固まったら、次にその国に合法的に住み続けるためのビザ要件を調べます。ここが海外起業ロードマップの中でも見落とされがちなポイントです。

ビザ要件は国によって大きく異なります。法人設立が事業ビザの条件になっている国であれば、本来は後半に位置するステップ5の法人化が前倒しになります。逆に、一定額以上の収入証明を求める国であれば、ステップ2・ステップ3で扱う収益構造づくりの優先度が一気に上がります。つまり、国の選択とビザ戦略は切り離して考えることができません。国別のビザ要件については、それぞれの国を扱った記事もあわせてご覧ください。

3. ステップ2:収益構造を見直す

ノートパソコンに向かう女性の手元

今の収入モデルの「キャップ」を知る

海外起業の始め方の中で、私が最も重要だと考えているのがこのステップです。今取り組んでいる収益モデルに「キャップ(上限)」がないかを確認してください。

例えばアフィリエイトは月40万円前後で頭打ちになるケースが多く、せどりのような時間切り売り型の物販も同様の壁にぶつかります。自分の稼働時間そのものが収益の上限になるモデルだからです。私がよく言うのは、「キャップが40万、50万のものをやっても、そこまで行ったら終わりで、あとは疲弊するだけ」ということです。海外での生活コストを考えると、月40万〜50万円の天井では、余裕をもって暮らすのは正直厳しいのが現実です。

スケールできるビジネスモデルへ

では、どうすればこのキャップを外せるのか。答えは、自分のスキルで戦うモデルへの移行です。マーケティング、コンサルティング、ファネル構築といったスキルは、深めれば深めるほど単価が上がり、上限が天井知らずになっていきます。

物販であっても、単なる「せどり」ではなく、自分のデザインスキルを商品そのものに組み込んで単価を大きく引き上げた受講生の例もあります。海外なんて、リモートで何かをコントロールしているだけでは力を発揮できません。自分のスキルで戦わないと戦っていけないのです。ただし、この移行には時間がかかります。ゆっくり積み上げていく前提で取り組んでください。収益構造を見直す際に見落としがちなリスクについては、こちらの記事も参考にしてください。

4. ステップ3:事業をスケールさせる(例:マーケティング)

打ち合わせをする人の手元とテーブル

スケールの手段は人それぞれ

ステップ2で収益構造を見直したら、次は事業をスケールさせるフェーズです。ここでの「スケール」は、自分のスキルを武器にして、収益の天井を引き上げることを意味します。

手段は人によって異なります。マーケティングに集中する人もいれば、専門技術や人脈を活かしてスケールする人もいます。ここでは、私が見てきた中で特に再現性が高いと感じている「マーケティング」を一例として紹介します。

一例:マーケティングで価値を出す

私の定義では、マーケティングとは「事業の売上を上げる仕組みを設計すること」です。これが強力なスキルである理由は、場所を問わず、業界を問わず、価値を提供できるからです。

デザインやプログラミングも大切なスキルですが、これらはマーケティングの設計に従って実行する役割にあたります。優劣の話ではなく、役割の違いです。マーケティングを軸にする道を選ぶ場合は、ここを深く学ぶことが事業拡大の鍵になります。

案件を受注して深いビジネスに取り組む

マーケティングは、独学だけで身につくものではありません。実際にクライアントの売上に責任を持って取り組んで初めて、本当のスキルになります。BtoB、つまり企業を相手にした案件から始めるのが、最初の一歩として現実的です。

「やってみるしかないのは分かっているけれど、そのきっかけがない」「どうやったらいいか分からない」。この壁を突破するには、誰かのサポートを受けながら始めるのが現実的です。私自身、受講生のコンサルティングをする中で、最初は5万円ほどの小さな案件から始めて、半年から一年かけて月100万円、200万円と積み上がっていった例を何度も見てきました。ここでもゆっくり積み上げることが前提です。

5. ステップ4:仕組み化で効率を上げる(例:AIエージェント)

ノートパソコンの画面を操作する手元

事業を仕組み化するフェーズ

ステップ3で事業がスケールし始めたら、次は業務を仕組み化し、自分一人でも回せる体制を作る段階です。

仕組み化の手段もまた、人によって異なります。外注パートナーに業務を任せる人もいれば、ツールやシステムを組み合わせて自動化する人もいます。ここでは、私自身が活用していて再現性が高いと感じている「AIエージェント」を一例として紹介します。

一例:AIエージェントで業務を代行する

AIエージェントは、記事作成やリサーチ、メール対応、ファネル構築の一部自動化など、これまで人に外注していた業務を代行してくれます。ただし、AIはあくまで拡張機能であり、事業の中心に置くものではありません。最終的にどちらの道を選ぶか、誰と組むか、何に投資するかといった決断は、人間にしかできません。AIには人生がないので、決断そのものを任せることはできないのです。売上に責任を持ってコントロールできるのは、いつも人間の側だと私は考えています。

一人で億を目指す時代

かつて、年商1億円規模の事業を作るには組織化がほぼ必須でした。しかし、ツールやAIの進化によって、個人でもそこまで到達できる時代になっています。

パリで35年事業を営む青木さんは個人事業のまま年商1億円を突破しましたし、私が伴走している別の受講生も、個人のまま年商4,000万円から1億円へと積み上げている最中です。個人でもそのレベルまで持っていけるということです。ただし、これは一年で行き着く話ではありません。時間をかけて、ゆっくり積み上げた結果としてたどり着く場所です。

6. ステップ5:法人を作る

書類にサインする手元

法人化のタイミング

収益が安定してきたら、法人化を検討するタイミングです。分岐点になるのは、個人事業の税率が法人税率を上回るときです。日本では個人事業主の所得税・住民税の最高税率が約55%に達する一方、法人税は約23%です。この差が大きくなってきたら、法人化を検討する意味が出てきます。

ただし、法人化そのものが目的になってはいけません。事業の中身が伴っていないのに、形だけ法人を作っても意味がないというのが私の考えです。まず事業を育てること。法人化はその先にある選択肢の一つです。

ビザと税金のメリット

海外では、法人を持っていることがビザ取得の条件になっている国があります。英語圏を中心に、起業家向けビザの多くが法人設立を前提としています。法人化には、税金のコントロールとビザ取得という両面でのメリットがあるということです。

法人化の具体的な手順や、事業会社と資産運用会社を分ける設計については、別の記事で詳しく取り上げています。ここではロードマップ全体の中での位置づけとして押さえておいてください。

7. ステップ6:事業を多角化する

パリの街角にあるカフェテラスの風景

BtoBからBtoCへの展開

ステップ1からステップ5までの基盤が安定したら、6つ目のオプションとして事業の多角化があります。あくまでオプションであり、今の事業に満足しているなら、無理に広げる必要はありません。

パリで35年事業を営む青木さんは、もともとBtoB、つまりフランス市場向けに企業をサポートする事業を続けてきました。そこに加えて、個人起業家や「フランスで事業を展開したい」という個人向けのサポートを始めたところ、想定以上の反響があり、契約が次々と決まっていきました。結果として、BtoBの事業自体にも勢いが戻り、相乗効果で年商1億円という節目に到達しています。

相乗効果を生む設計

多角化のポイントは、まったく別の事業を始めることではありません。コア事業で培ったスキルや知見、ネットワークを活かせる領域に広げることです。青木さんの場合、フランス市場で培ったディレクションスキルという土台は変えず、その提供先をBtoBからBtoCへと広げました。同じスキルセットを別の市場に展開しているからこそ、学習コストが低く、成功の確率も高くなります。

年齢を重ねると、BtoBの効率だけでは測れない喜びを感じるようになる人が多いという実感もあります。個人のお客様と向き合う中で、誰かの人生が変わる瞬間に立ち会える。事業の選択も、最終的には「心が増えるかどうか」で判断していい。これは国選びだけでなく、事業の広げ方にも通じる考え方だと思っています。

まとめ|正しい一歩を、今日から

海外起業のロードマップを振り返ります。①行きたい国を定義する、②収益構造を見直す、③事業をスケールさせる、④仕組み化で効率を上げる、⑤法人を作る、⑥事業を多角化する。この記事では③にマーケティング、④にAIエージェントを一例として取り上げましたが、スケールの手段も仕組み化の方法も、人によって最適解は異なります。大事なのは、自分の強みと事業の性質に合ったやり方を選ぶことです。

この6ステップは、一年で駆け抜けるものではありません。しかし、正しい方向に一歩ずつ積み上げた先に、場所を選ばず自分の力で生きていく自由があります。

情報を集めるフェーズは、もう十分です。次は、決めるフェーズに進んでください。

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