お金・生活費

海外で銀行口座を開設する方法|日本人が使える送金・口座の選び方

海外移住や海外での事業運営を考えたとき、必ずつまずくのが「銀行口座をどう作るか」という問題です。日本の口座だけでは現地通貨での支払いも、クライアントからの海外送金の受け取りもスムーズにいきません。

私自身、イギリスへの起業移住をきっかけに、日本の口座・Wise・現地銀行・海外証券口座を組み合わせて事業を回してきました。今回は、海外で銀行口座を開設する方法を、日本にいながら開設できるサービスと現地に到着してから開設する方法の2パターンに分けて、実務でつまずきやすいポイントとあわせてお伝えします。

※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としています。金融機関の商品内容・手数料・税務上の取り扱いは変更される可能性があるため、最新・正確な情報は各金融機関の公式サイトや税理士・専門家にご確認ください。

1. 海外で銀行口座を開設する方法は何がある?(2つのパターン)

海外の銀行カードを手にする様子

海外で銀行口座を開設する方法は、大きく分けて「日本にいながら開設できるサービスを使う方法」と「現地に到着してから開設する方法」の2パターンです。会社員として海外赴任する場合は、多くのケースで会社側が現地銀行の口座開設を手配してくれます。しかし個人事業主として海外に出る場合は、この手配を全て自分で行う必要があります。

日本にいながら開設できるサービス

渡航前の準備段階でも口座を持てるサービスがあります。

Wiseは、160の国・地域で利用でき、40通貨以上を保有できるマルチカレンシー口座です。日本国内からオンラインで開設でき、現地の口座番号やIBANが発行されるため、渡航前から海外送金の受け皿として使えます。

SMBC信託銀行プレスティアは、日本の銀行でありながら外貨預金・海外送金に強く、複数の外貨を一つの口座で管理できます。日本の銀行という安心感を持ちながら海外取引を始めたい方に向いています。

Revolutも同様に、日本にいながらオンラインで開設できるマルチカレンシー口座で、海外旅行や短期の海外滞在時の決済に使われることが多いサービスです。

現地到着後に開設する現地銀行口座

一方、現地の生活口座として本格的に使う銀行口座は、多くの場合、居住ビザの取得と現地の住所登録を終えてからでないと開設できません。オランダのINGやABN AMRO、イギリスの主要銀行などが代表的な例です。現地の家賃引き落としや給与・報酬受け取り、日常の買い物には、この現地銀行口座が中心になります。

つまり、「渡航前にWiseなどで受け皿を作っておき、現地に住所を構えたタイミングで現地銀行を追加する」という順番が、個人事業主として海外に出る場合の現実的な流れです。

2. 海外銀行口座を開設するメリット・デメリット

ヨーロッパの街並みと建物のファサード

海外銀行口座は、単に「海外にお金を置いておく」ためのものではなく、事業を運営するための実務インフラとして捉えるのが本質です。

メリット

海外銀行口座を持つことで得られる実務上のメリットは、主に次の4つです。

現地通貨のまま受け取り・支払いができるため、家賃や生活費の支払いのたびに両替する手間がなくなります。為替手数料を都度払う必要がなくなり、長期的なコストを抑えられます。現地での取引履歴が積み上がることで、住宅ローンやクレジットカードなど、現地での信用構築にもつながります。また、資産を日本と現地の複数国に分けて持つことで、地理的な分散にもなります。

デメリット

一方で、見落としてはいけないデメリットも3つあります。

国によって口座開設のハードルが大きく異なります。滞在許可証や納税者番号が必須な国も多く、非居住者には門戸を閉ざしている銀行もあります。また、海外に一定額以上の資産を持つと、日本側で国外財産調書の提出義務が発生する場合があります。口座を維持するだけで月額手数料がかかる銀行も少なくありません。

海外口座は「高金利で得をする」「税金を減らせる」といった発想で開設するものではありません。あくまで事業を海外で回すための実務上の必要性から持つもの、という位置づけで考えるのが実態に合っています。

3. 海外口座の開設は違法?|金融庁の注意喚起と非居住者の扱い

書類を確認しながら手続きをする手元

結論から言うと、海外で銀行口座を開設すること自体は違法ではありません。海外に住み、海外で事業を行う以上、現地の口座を持つのはむしろ自然なことです。ただし、知っておくべき注意点が3つあります。

一つ目は、金融庁が過去に、海外の銀行を名乗って高金利を謳う悪質な勧誘や、実態の不明な海外投資商品への注意喚起を行っている点です。正規の金融機関であれば通常は問題ありませんが、うますぎる話には注意が必要です。

二つ目は、非居住者と居住者で課税の扱いが異なる点です。日本を出国して非居住者になると、日本の所得税法上の取り扱いが変わります。どの国の税制上の居住者にあたるかによって、申告すべき所得の範囲が変わってくるため、渡航前に一度、税理士に相談しておくことをおすすめします。

三つ目は、CRS(共通報告基準)という国際的な自動情報交換の仕組みです。OECDが主導するこの制度により、海外の金融機関に開設した口座情報は、各国の税務当局間で自動的に共有されます。「海外に口座を作れば日本から見えなくなる」という発想は、現在の国際的な枠組みでは通用しません。

※税務上の取り扱いの詳細は、国税庁金融庁の公式情報、または税理士等の専門家にご確認ください。

4. Wiseとは?手数料・使い方を徹底解説

各国の紙幣が並ぶ様子

海外移住の準備段階で、最初に検討されることが多いのがWiseです。ここでは手数料の仕組みと具体的な使い方を整理します。

Wiseの手数料の仕組み

Wiseの手数料は、大きく分けて「固定手数料」と「為替手数料」の2層で構成されています。銀行の海外送金でよくある不透明な手数料と違い、送金前の画面で受取額まで含めて事前に確認できるのが特徴です。

たとえば10万円を海外に送金する場合、実際にいくらの手数料がかかるかは、送金元通貨・送金先通貨・受け取り方法(銀行口座宛てかカード宛てか)によって変動します。目安としては、銀行の窓口で行う海外送金よりも手数料が低く抑えられるケースが多いというのが実感です。正確な手数料は日々の為替レートによって変わるため、送金前に必ずWise公式サイトの送金シミュレーションで確認してください。

マルチカレンシー口座

Wiseの口座は、40通貨以上を一つのアカウントで保有できるマルチカレンシー口座です。ユーロやポンドなど主要通貨についてはIBAN(国際銀行口座番号)が発行されるため、海外のクライアントから見ても「現地の銀行口座に振り込む」のと同じ感覚で報酬を受け取ってもらえます。個人事業主として海外のクライアントと取引する場合、この受け皿があるかどうかで請求のしやすさが大きく変わります。

Wiseデビットカード

Wiseにはデビットカードが付帯しており、口座に入っている通貨のまま海外のATMで現地通貨を引き出せます。一定額までは手数料なしでATM出金できる仕組みがあり(無料枠の詳細はWiseアプリ内で確認できます)、移住初日、まだ現地銀行の口座が開設できていない段階でも、このカード一枚で生活をスタートできます。

注意点・限界

一方で、Wiseにも限界があります。Wiseはあくまで個人・法人向けの決済・送金サービスであり、フルバンキングサービスではありません。現地での住宅ローンの審査など、伝統的な銀行口座の実績が問われる場面では利用できないケースがほとんどです。

私の経験では、「Wise+現地銀行」の組み合わせが正解です。Wiseアカウントで現地の銀行口座と日本の銀行口座をひも付けておけば、どちらの方向にも柔軟に送金できる状態を作れます。この受け皿を先に作っておくことが、海外に出た後の資金繰りのストレスを大きく減らしてくれます。

5. 海外移住する個人事業主が実際に必要な口座構成

ノートパソコンとコーヒーのある作業スペース

会社員の海外赴任であれば、会社が現地の給与振込口座を用意してくれます。しかし個人事業主として海外に出る場合、口座構成そのものを自分で設計する必要があります。

必須の3点セット

私の実感として、海外で事業を続ける個人事業主に必要な口座は、次の3つに整理できます。

一つ目はWiseです。渡航前から開設でき、クライアントからの報酬受け取りと、日本・現地間の資金移動のハブになります。

二つ目は現地銀行です。家賃の引き落とし、公共料金の支払い、現地でのクレジットカード審査など、生活の基盤として現地銀行口座がなければ立ち行かない場面が多くあります。

三つ目は海外証券口座です。Interactive Brokersのような海外の証券会社に口座を持つことで、日本の証券口座だけに資産を集中させず、地理的にも通貨的にも分散した資産形成ができます。

開設の順序

この3つは同時に開設できるものではなく、順番があります。移住前にまずWiseを開設して受け皿を作り、渡航後、居住ビザと住所登録が整った段階で現地銀行を開設します。そして生活が安定してから、海外証券口座の開設に進むという流れが現実的です。最初から全てを一気に整えようとすると、書類の不備や審査の停滞で身動きが取れなくなることがあります。

日本の口座はどうする?

「海外に出るなら日本の口座は解約すべきか」という質問もよく受けますが、答えは口座の種類によって異なります。メガバンクの口座は、非居住者になった後も一定の条件のもとで維持できるケースが多く、実家への送金や日本での確定申告時の還付受け取りなどに使えるため、基本的には残しておくことをおすすめします。一方、一部のネット銀行では非居住者になると口座の維持自体ができず、解約が必要になる場合があります。渡航前に、利用している各銀行に非居住者になった場合の取り扱いを確認しておくと安心です。

口座設計は、事業設計の一部です。「まずはとりあえずWiseだけ」「行ってから考えよう」ではなく、事業をどう回していくかから逆算して、最初から必要な口座構成を組んでおくことが、後々の手間を大きく減らしてくれます。

6. 海外口座開設に必要な書類・手順の一般的な流れ

パスポートのビザ査証スタンプのクローズアップ

国や銀行によって細部は異なりますが、一般的な必要書類と手順は共通しています。

必要書類

パスポート、居住ビザ、現地の住所を証明する書類(賃貸契約書や公共料金の請求書等)、現地の納税者番号、個人事業主として活動する場合は事業登録証が求められることが多いです。

開設までのステップ

一般的な流れは、まず現地の自治体で住民登録を行い、その後に納税者番号を取得します。この納税者番号を持って銀行に口座開設を申し込み、審査を経て口座番号が発行される、という順序です。国によっては住民登録から口座開設まで数週間かかることもあります。

つまずきやすいポイント

実際に手続きを進めると、いくつかの壁にぶつかります。まず言語の壁です。窓口の担当者が英語に対応していない国もあり、現地語での書類記入が必要になることがあります。次に、フリーランス・個人事業主に対する銀行側の審査の厳しさです。安定した給与所得者と比べて、収入の変動が大きい個人事業主は、銀行から見るとリスクが高いと判断されやすい傾向があります。さらに、口座を維持するだけで一定の手数料がかかる銀行も多く、開設後のランニングコストも事前に確認しておく必要があります。

7. よくある質問(Q&A)

ノートとペンが置かれた机

マイナンバーは海外口座の開設に必要ですか?

金融機関によって求められる書類は異なります。日本の銀行が提供する外貨サービス(SMBC信託プレスティア等)ではマイナンバーの提示を求められることが一般的ですが、Wiseなど海外発のサービスやEU圏の現地銀行では、マイナンバーではなくパスポートや居住ビザ、現地の納税者番号が求められます。

海外口座の資産には日本の税金がかかりますか?

居住者・非居住者のどちらに該当するかによって課税の範囲が変わります。また、海外に一定額以上の資産を持つ場合は国外財産調書の提出義務が生じることがあります。個別の状況によって判断が異なるため、税理士等の専門家に確認することをおすすめします。

Wiseと現地銀行、どちらの手数料が安いですか?

一概にどちらが安いとは言えません。国際送金や複数通貨での受け取りが多い場合はWiseの手数料体系が有利になりやすく、現地での日常的な支払いや口座引き落としが中心になる場合は現地銀行が実質的なコストを抑えやすい傾向があります。用途によって使い分けるのが実務的です。

海外転出届を出したら日本の口座はどうなりますか?

銀行によって対応が異なります。多くのメガバンクは非居住者になった後も一定の条件のもとで口座を維持できますが、一部のネット銀行では非居住者になると口座を維持できず、解約を求められる場合があります。渡航前に利用中の金融機関に確認しておくことをおすすめします。

現地の言語ができなくても口座は開設できますか?

可能なケースもありますが、簡単ではありません。都市部の銀行では英語対応の窓口があることも多い一方、現地語での書類記入が必須の銀行もあります。日本にいながら英語で手続きを完結できるWiseのようなサービスを先に開設しておき、現地銀行は生活の中で少しずつ整えていくという進め方が、心理的な負担を減らしてくれます。

まとめ

海外で銀行口座を開設する方法は、「日本にいながら開設できるサービス」と「現地到着後に開設する現地銀行」の2段構えで考えるのが現実的です。会社員の海外赴任と違い、個人事業主は口座構成そのものを自分で設計しなければなりません。Wise、現地銀行、海外証券口座という3点セットを、事業の状況に合わせて順番に整えていくこと。それが、海外での事業運営を支える土台になります。

海外移住を「いつか」で終わらせないために。

ヨーロッパで開催した勉強会の特別講義を、公式LINEで公開しています。

180分超の特別講義・動画集・ロードマップ資料

海外で継続的に収益を作る方法
後悔しない移住先の選び方
ビザ戦略

を解説しています。

海外移住や場所に縛られない生き方を実現したい方は、
公式LINEから無料で受け取ってください。

公式LINEで無料で受け取る →

関連記事

  1. 海外移住したら国民年金はどうなる?任意加入の判断基準と手続きを解説

  2. 海外移住後の確定申告は必要?非居住者の税務義務を整理

  3. 海外移住で税金はどう変わる?個人事業主が知っておくべき全体像

  4. 海外送金サービス比較|Wise・Revolutの手数料と選び方

  5. 海外移住の費用はいくら?初期費用・生活費・ビザ代を国別に比較

  6. 海外移住の完全ガイド|おすすめの国・費用・ビザ・仕事の始め方を徹底解説…

  7. 海外移住したらNISA口座はどうなる?非居住者のNISA継続・売却ルー…

  8. 出国税とは|国外転出時課税制度の対象者と海外移住での注意点

SPECIAL POSTS
  1. お金・生活費

    海外移住で税金はどう変わる?個人事業主が知ってお…
  2. お金・生活費

    海外移住したらNISA口座はどうなる?非居住者の…
  3. お金・生活費

    海外送金サービス比較|Wise・Revolutの…
  4. お金・生活費

    海外で銀行口座を開設する方法|日本人が使える送金…
PICK UP
  1. お金・生活費