海外で車を運転する予定がある方にとって、国際運転免許証は出発前に準備しておきたい書類のひとつです。取得方法自体はシンプルですが、いざ調べてみると「有効期限は1年でいいのか」「移住先ではそのまま使えるのか」など、次々と疑問が出てくるのではないでしょうか。
この記事では、国際運転免許証の取得方法から申請に必要な書類、有効期限、そして長期滞在者が知っておくべき現地免許への切り替えまで、移住を見据えた視点で整理します。短期の旅行であれば取得して終わりですが、移住や長期滞在を考えている場合は、その先まで見通しておくことが大切です。
目次
※本記事の情報は2026年7月時点のものです。制度や手数料は変更される場合がありますので、申請前に必ず各都道府県警察および渡航先の公式機関の最新情報をご確認ください。
1. 国際運転免許証とは

国際運転免許証とは、ジュネーブ条約(1949年の道路交通に関する条約)に基づき、日本の運転免許を持つ人が海外で一時的に運転できるようにするための書類です。
道路交通法107条の2では正式名称を「国外運転免許証」としていますが、本記事では一般的に広く使われている「国際運転免許証」の表記で統一します。「国際免許」という略称も同じ意味で使われることがあります。
国際運転免許証でできること・できないこと
まず押さえておきたいのは、国際運転免許証はそれ自体が独立した免許ではないという点です。あくまで日本の運転免許の内容を翻訳し、国際的に通用する形で証明する書類にすぎません。そのため、運転する際は日本の有効な運転免許証と必ずセットで携帯する必要があります。
「国際運転免許証さえ持っていれば運転できる」と思い込み、日本の免許証を現地に持っていかずに取り締まりを受けてしまうケースも実際にあります。渡航前に、両方の免許証をひとつにまとめて保管しておくと安心です。
2. 国際運転免許証の取得方法と申請手続き

国際運転免許証の取得方法は、基本的に住民登録をしている都道府県の窓口で手続きを行う形です。
国際運転免許証の申請窓口
申請できるのは、各都道府県の運転免許試験場(運転免許センター)と、一部の警察署です。海外渡航の日程が迫っている場合は、即日発行に対応している運転免許試験場での申請が確実です。警察署によっては国際運転免許証の取り扱いをしていない場合もあるため、事前に管轄の窓口へ確認しておくとよいでしょう。
国際運転免許証の取得に必要な書類
申請時には、主に次の書類が必要になります。
① 有効な日本の運転免許証。② パスポートまたは渡航を証明する書類(航空券の予約控えなど)。③ 証明写真(縦4.5cm×横3.5cm、6か月以内に撮影したもの)。④ 申請手数料。
ここで注意したいのは、免許証の有効期限が渡航期間をカバーしているかどうかです。滞在中に日本の免許証自体の更新時期を迎えてしまう場合は、渡航前に更新を済ませておく必要があります。
出発の1〜2週間前には申請を済ませておくのが安心です。窓口が混み合う時期もあるため、余裕を持ったスケジュールで動くことをおすすめします。
国際運転免許証の申請手数料と発行までの日数
申請手数料は都道府県によって異なりますが、多くの都道府県で2,250円前後です(各都道府県警察公式サイトより)。手数料は改定されることがありますので、申請前に各都道府県警察の公式サイトで最新額をご確認ください。
発行までの所要時間は、窓口でその場で交付される即日対応から数日かかる場合まで、都道府県によって差があります。
主要都道府県の申請窓口・手数料の目安(2026年7月時点)
| 都道府県 | 手数料 | 主な申請窓口 |
|---|---|---|
| 東京都 | 2,250円 | 運転免許試験場、一部警察署 |
| 神奈川県 | 2,250円 | 運転免許センター |
| 大阪府 | 2,250円 | 運転免許試験場 |
| 愛知県 | 2,250円 | 運転免許試験場 |
| 福岡県 | 要確認 | 運転免許試験場 |
※各都道府県警察公式サイトの情報をもとに作成。金額は変更される場合があるため、申請前に必ず最新情報をご確認ください。
3. 国際運転免許証の有効期限と使えない国一覧

国際運転免許証の有効期限は発行日から1年間
国際運転免許証の有効期限は、発行日から1年間です。ここで見落とされがちなのが、この1年間は「現地に到着してからの1年」ではなく、日本で発行した日から起算するという点です。
たとえば渡航の3か月前に取得した場合、現地で実際に使える期間は残り9か月ほどになります。移住や長期滞在を予定している方は、この実質的な使用可能期間を踏まえてスケジュールを組む必要があります。
国際運転免許証が使えない国とジュネーブ条約
日本はジュネーブ条約のみに加盟しており、ウィーン条約には加盟していません。そのため、ウィーン条約のみを締結している国(ドイツ、ブラジルなど)では、日本の国際運転免許証は法的には無効です。
ただし、ドイツのように二国間協定によって日本の運転免許証での運転を別途認めている国もあります。条約の加盟状況だけで単純に判断すると誤ってしまうことがあるため、渡航先ごとの実際の運用を確認しておくことが大切です。
中国、台湾、ベトナムなど、ジュネーブ条約に未加盟かつ二国間協定もない国では、日本の国際運転免許証は使用できません。台湾については、日本の運転免許証の中国語翻訳文(JAF発行)を携帯することで運転できる制度があります。
主要国の対応状況(2026年7月時点)
| 国名 | ジュネーブ条約 | 日本の国際運転免許証 | 備考 |
|---|---|---|---|
| オランダ | 加盟 | 運転可 | 長期滞在者は現地免許への切り替えが必要 |
| フランス | 加盟(※) | 条件あり・要確認 | ジュネーブ様式の国際運転免許証を発給していない国のため、運転可否は渡航前に在仏大使館に確認を |
| イギリス | 加盟 | 運転可 | 同上 |
| スペイン | 加盟 | 運転可 | 同上 |
| ポルトガル | 加盟 | 運転可 | 同上 |
| ドイツ | 未加盟(二国間協定あり) | 条件付きで運転可 | 事前確認が必須 |
| 台湾 | 未加盟 | 運転不可 | 免許証の中国語翻訳文が必要 |
※外務省・各国政府機関の公表情報をもとに作成。最新の加盟状況・協定内容は外務省公式サイトでご確認ください。
4. 1年を超える長期滞在者が直面する問題

国際運転免許証の取得方法や有効期限を調べる記事の多くは、短期の旅行を前提にしています。しかし移住や1年を超える長期滞在を計画している場合、話はそこで終わりません。
多くの国では、入国後一定期間以内に現地の運転免許へ切り替えることを求める制度があります。たとえばオランダは入国後185日以内、イギリスは12か月以内が目安とされています。ポルトガルも居住開始後一定期間内の切り替えが必要です。この切り替え期限を過ぎてしまうと、実技試験を含む現地の運転免許試験を一から受け直さなければならない国もあります。
「とりあえず国際運転免許証を取って渡航し、現地で考えよう」というスケジュールでは、切り替えのタイミングを逃してしまうことがあります。
一時帰国して国際運転免許証を再取得するという方法もありますが、再発行の条件や手続きの詳細は都道府県によって異なる場合があります。一時帰国の際に再申請を検討される方は、事前に各都道府県の運転免許試験場に最新の手続き要件を確認しておくと安心です。
POINT|長期滞在者が確認しておきたいこと
移住を計画している方は、出発前に渡航先の現地免許への切り替え条件を確認しておくことが重要です。国際運転免許証はあくまで一時的な手段であり、暮らしの土台になるのは現地免許への切り替えです。行ってから考えるのではなく、出発前に出口まで見通しておくことで、現地での生活がずっとスムーズになります。
5. 現地免許への切り替え方法を国別に解説

現地免許への切り替え方法は国によって大きく異なります。ここでは、ヨーロッパの移住先として関心が高い国を中心に整理します。
オランダの運転免許切り替え方法
日蘭条約に基づき、日本の運転免許証はオランダの運転免許証への書き換え(omwisseling)が可能です。申請先はオランダの車両管理局RDW。必要書類の提出と手数料の支払いを経て、試験なしで切り替えられるのが特徴です。前述のとおり、入国後185日以内に手続きを行う必要があります。
イギリスの運転免許切り替え方法
日本の運転免許証は、イギリスの運転免許証への交換(Exchange)が可能です。申請先はDVLA(イギリス運転免許庁)。入国から12か月以内という猶予期間が設けられています。
ポルトガルの運転免許切り替え方法
D7ビザなどで長期滞在する場合、居住開始後一定期間内にIMT(ポルトガル交通局)での免許書き換え手続きが必要です。書類は現地語での提出が求められる場合があるため、余裕を持って準備を進めておくと安心です。
フランスの運転免許切り替え方法
日仏協定に基づき、日本の運転免許証をフランスの免許証に交換できます。申請方法は変更されることがあり、近年はオンライン申請システム(ANTS)への移行が進んでいます。最新の手続き方法は在フランス日本国大使館の公式サイトでご確認ください。
スペインの運転免許切り替え方法
申請先はDGT(スペイン交通総局)。日西間の二国間協定に基づき、日本の運転免許証は試験免除でスペインの免許証に切り替えることができます。
国別の現地免許切り替え早見表
| 国 | 切り替え可否 | 試験免除 | 申請先 | 猶予期間の目安 |
|---|---|---|---|---|
| オランダ | 可 | あり | RDW | 入国後185日以内 |
| イギリス | 可 | あり | DVLA | 入国後12か月以内 |
| ポルトガル | 可 | 国により条件あり | IMT | 居住開始後一定期間内 |
| フランス | 可 | あり | ANTS(オンライン申請) | 居住開始後一定期間内 |
| スペイン | 可 | あり | DGT | 居住開始後一定期間内 |
※各国政府機関の公表情報をもとに作成。制度は変更される場合があります。申請前に現地の公式機関または在外日本大使館のサイトで最新情報をご確認ください。
オランダ移住やイギリス移住そのものの手続き・ビザについては、それぞれ別記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
オランダ移住の完全ガイド|日蘭条約を使った個人事業ルートとは
イギリス移住の完全ガイド
フランス移住の完全ガイド|ビザの選び方と、日本の仕事を続けながら移住する方法
ポルトガル移住の完全ガイド|D7ビザ・デジタルノマドビザの取得方法と費用
スペイン移住の完全ガイド|デジタルノマドビザで叶える地中海生活
6. よくある質問

7. まとめ:国際運転免許証の取得方法を押さえたら、その先の暮らし方も設計する

国際運転免許証の取得方法について、ポイントを振り返ります。
① 取得方法自体は都道府県の運転免許試験場での申請でシンプルに完結します。② 有効期限は発行日から1年間で、長期滞在者は現地免許への切り替えが必要になります。③ 渡航先ごとの制度を出発前に確認し、逆算して準備しておくことが大切です。
運転免許の手続きひとつをとっても、行ってから考えるのではなく、出発前に出口まで見通しておくことで、現地での生活はずっとスムーズになります。これは移住準備全体にも通じる考え方です。
※本記事は2026年7月時点の情報です。制度や手数料は変更される場合があります。申請前に各都道府県警察および渡航先の公式機関の最新情報を必ずご確認ください。
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